徳島の旅(前編)
※個人ブログ2024.9.13の記事よりnoteへ転載
榊さんが個展をやるという話を聞いたのは5月下旬だった。
そして、今までの集大成的なartbook「精霊の森」が完成されたのは8月頃。
次のartbookが今までの集大成のような節目の作品になる。森で生まれた作品なので、海に帰したかった。海岸が近くて静かな場所。これ以上はないという理想郷を見つけたので即契約。精霊もきっと喜んでくれるだろう。 pic.twitter.com/6ieYG20pVT
— 榊和也 (@kazuyasakaki) June 30, 2024
精霊の森と一緒に個展のDMが同封されていた。
孤独に押しつぶされそうになっていたので、早速、貪るように精霊の森を読む。満たされた。
榊さんに以下の感想を送った。
榊さま
こんにちは。
「精霊の森」、何度か読み返しています。
心が満たされました。本を読んで涙したのはこの生涯で2冊目でしょうか。あまりないです。
最後の「どこにいるの」「ここにいるよ」の狼の遠吠えは歌ですね。
6年ほど榊さんの絵を見てきていますが、最初の頃と変わったのは動物が出てきたことでしょうか。
最初は不思議だなと思ってましたが、この本を読んで納得するものがありました。
今回は言葉も添えられてさらに立体的になり、物語の方向性がはっきりと感じられるようになっています。
その言葉は榊さんの声でもあり、森にいる精霊の声でもあるのだと。
榊さんが森の中でいて感じているであろう身体感覚、身体の内側の奥深くにある宇宙のようなもの、それと共鳴するような声。
発せられ、それに応えるかたちで森の中で響いている声。
それをつむいでいくことは榊さんの背負ってきた十字架のようなもので、この本や絵は精霊たちの共鳴の扉、精霊へ捧げられたものだと思いました。
素晴らしい本を、ほんとうにありがとうございます。
精霊の声が届いたんだね。成果を求めないとはいえ、作り手は生身の人間なので、こういう感想はほんとに励みになります。ありがとう。 https://t.co/KbXlHaoe8V
— 榊和也 (@kazuyasakaki) August 19, 2024
絵を描くのに、技術で解決するんじゃなくて、インスピレーションが来るまでひたすら待つしかないんだ、というような話をされていた。
DM作ったの久しぶりだから新鮮だな。いまどきはSNSで告知が一般的だから、その逆を行こう。手触りや質感。デジタルでは伝わらないことに情熱を注ぐ。 pic.twitter.com/rdLN3HlrJI
— 榊和也 (@kazuyasakaki) July 24, 2024
DMに書かれている会場の場所を鉛筆で絶妙に隠している(笑)
SNSでは告知しないという逆の発想。この展示の場所を知っているのは、精霊の森を購入した人か、画材屋さんなど近しいところだけだろう。何だか秘密の会合のようだ。
画家の榊和也さんが個展をするそうです。この機会はなかなかないと思います。
— Hiroyuki Ohtake (@bamboobasstake1) July 1, 2024
僕は彼の絵が好きです。何より魂に響いてきます。アトリエや森の中でイーゼルにかかっている原画をSNS越しで見てきましたが、キャンバスからはみ出る静かな炎を感じていました。
これを実際に目で聴いたらどうなるのか。 https://t.co/FYSfAMJVjB
学校の課題を早めに済ませて、自分のポートフォリオサイトのデザインを考えていた。将来の就職に向けて、あとは来年に受ける講座で、多摩地区のクリエイターズオーディションに向けて。自分はwebで何を表現したいのか、自分を掘り下げて考えていた。有意義な時間。卒業までには公開したい。
榊さんの個展の日が近づいてきた。
「榊さんのことだから、この先もう何十年と個展をやらないかもしれない。時間があるのは今しかない。行けるのは今しかない」と思い、旅費も厳しいので東京~徳島まで夜行バスで行こうと思った。日曜夜の便で行こうと思っていたが、すでに満席。その日は諦めて寝ることにした。翌日になって、どうもずっと心に引っかかっている。木曜は打ち合わせがあるから、水曜には帰りたい。日程を1日ずらして月曜夜の便を取ることができた。帰りは東京行きのバスが満席だったので、高速バスで神戸まで行き、そこから電車と新幹線で東京まで行くルートにすることにした。
あとは、ずっと行きたいと思っていた神山にある宇佐八幡神社の場所を調べると、車じゃないといけない距離だった。なので仕方ない、個展に行ければ良いかと思っていた。
夜行バスなんて高校生の時以来か?約8時間の旅。道路を走る振動とクーラーが効き過ぎていてあまり眠れず。朝6時に徳島駅に着いた。
まだ展示が始まるまで時間があるなぁと思っていた。神社は仕方ないなと、行かない予定だった。
駅前をフラフラしていたら、レンタサイクルやってるところがたまたま目に入って、「まてよ自転車だったら…」と移動時間を計算して、片道3時間で着くなと思って(実際はそれ以上かかった)、自転車をかりて6時40分頃に出発。
いつも自分のことは計画性なくてその場の即興で予定を決めてしまうが、即興音楽やっている影響だろうか。。。
自転車旅の一連のことはツイートした。
レンタサイクルして旅してる。何やってんだ俺は。
— Hiroyuki Ohtake (@bamboobasstake1) September 10, 2024
雨は降ったり止んだり。虹が迎えてくれた。 pic.twitter.com/9HDOzmadZ8






片道約30km。帰りの榊さんの展示場所をプラスすると約40kmなので、計70km。
徳島市~佐那河内~神山、結果的に3つの地域を越えたことになる。
坂道が続き、あぁ、考えが甘かったと思った。途中で力尽きて自転車を転がすしかなかった。雨も降ったり止んだり。汗なのか雨なのかびしょびしょの状態に。道も分からないので、スマホのグーグルマップで確認しながら。途中から疲れを通り越し、ランナーズハイというやつか、瞑想状態で自転車を漕いでいた。どうしても行きたいのだ、あの神社に。なぜだかわからないけど確信があり、使命感のようなものがあった。だって、あの時、約束したから。。。
↓ここに書いている。「いつか宇佐八幡神社に参拝しに行きたいと思う」って。5年前に。
それから、病気でボロボロの時に(2023年2月)、まだ未完成だった詩「光の樹」を完成させ、この神社の大楠に捧げた。この詩が中心の柱となって拙著「光の樹」が生まれた。そう、あの大楠がいなかったら「光の樹」も自分の中から生まれなかった。

でも、人間関係が色々と変わってしまい、今、この本の中に書かれている人で連絡を取っているのは榊さんだけだった。榊さん本人と絵に対面することで、この光の樹の旅も一区切りになる。次のステージに進むためにも必要なことだった。
神社は、大きな樹に囲まれ神聖な空気だった。



ここに来れたことへの感謝と、将来の願いを込めて参拝し、大楠の近くで龍神祝詞と、この大楠に捧げた自作の詩「光の樹」を読み上げた。自分で勝手に決めたことだけど、これで約束を果たしたと思った。フッと身体の中から抜けるものがあった。邪気が払われたようで気持ち的に軽くなり、帰路はひたすら黙々と自転車を漕いだ。相変わらず雨は降ったり止んだり激しいが、行きに比べて坂道が多くなっていたので爽快だった。しかし、途中から両腕が赤く腫れてきた。疲れが限界にきてるから持病のアトピーの症状かと思ったが、これは日射による火傷だったと思う。
佐那河内と神山の間にあるトンネルで、タルコフスキーの映画「ストーカー」を思い出した。

今思うのは、あの神社の大楠のことを教えてくれたのが榊さんの絵で、その絵は映画のストーカーのように、望みを叶えてくれるゾーン(神社)に導いてくれたものだったと思った。(後編へ続く)
この方は会場に来る前に自転車で神山に行っている。40代半ば、持病がある上に普段は自転車に乗らない人が、いきなり「この暑さ」の中、70km以上走るなんて今も信じられない。そりゃあ霊(たま)も現れる。きっと一緒についてきたのだろう。 https://t.co/v2bdSTZEOx
— 榊和也 (@kazuyasakaki) September 11, 2024
