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売上のために一番必要なのは社内マーケティングだった

自己紹介の記事で、

パワハラによって異動寸前だった私がマーケティング戦略を担当し、最終的に過去最高売上を40%更新するまでの話を書きました。


売上を伸ばしたと聞くと、


「広告が当たったのではないか」


「データ分析が優れていたのではないか」


「画期的なキャンペーンを考えたのではないか」


と思われるかもしれません。


もちろん、それらも重要でした。


しかし、私が売上を伸ばすために最も力を注いだのは、実は消費者向けのマーケティングではありません。


「社内マーケティング」でした。


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■ 売上は、一人では伸ばせない


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どれほど優れた戦略を考えても、私一人では実行できません。


経営層には、施策の必要性を理解してもらう。


他部署には、データや人員を提供してもらう。


現場には、これまでの運用を変えてもらう。


システム部門には、アイデアを実装可能な形にしてもらう。


営業や運用担当者には、実際の顧客接点で動いてもらう。


売上を伸ばすという目的を達成するためには、多くのステークホルダーを動かす必要がありました。


そして当然ですが、全員が私と同じ目的を持っているわけではありません。


経営層は、全社の売上や利益を見る。


現場は、日々の業務負荷を気にする。


他部署には、別の目標と優先順位がある。


システム部門は、開発コストや安全性、保守性を考える。


私が、


「この施策は売上につながります」


と正しさを説明するだけで、全員が動いてくれるわけではないのです。


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■ 私にとってのマーケティング


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私はマーケティングを、次のように定義しています。


「自分が望む状態を目的として定め、その状態に向けて他者が動く構造を分析し、他者を動かす仕組みをつくること」


マーケティングは、広告を出すことではありません。


SNSを運用することでもありません。


商品を魅力的に見せることでもありません。


それらは、目的を達成するための手段にすぎません。


最初に、自分が実現したい状態を決める。


次に、その状態を実現するために、誰に、どのような行動をしてもらう必要があるかを考える。


そして、その人が動く条件を分析し、自然に行動が生まれる仕組みをつくる。


これが、私にとってのマーケティングです。


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■ 消費者も、上司も、同じ人間である


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マーケティングは、一般的に消費者を対象とする活動だと考えられています。


しかし、消費者も、上司も、経営者も、他部署の担当者も、全員が意思決定をする人間です。


消費者は、複数の商品から買うものを選びます。


上司は、複数の部下から重要な仕事を任せる相手を選びます。


経営者は、複数の提案から投資する案件を選びます。


採用担当者は、複数の候補者から採用する人を選びます。


選んでいる対象が違うだけで、起きていることの本質は同じです。


人は、限られた情報と時間の中で、


「どの選択肢が自分にとって価値があるか」


「どの選択肢なら失敗する可能性が低いか」


を判断しています。


だから私は、社内のステークホルダーに対しても、消費者を分析するときと同じように考えました。


・この人は何を実現したいのか


・何を評価されるのか


・何を負担に感じるのか


・何をリスクだと考えるのか


・どのような情報があれば判断できるのか


・誰の合意があれば動きやすくなるのか


商品の良さを一方的に伝えても売れないように、企画の正しさを主張するだけでは社内の人は動きません。


重要なのは、相手の目的や制約を理解し、


「私が望む状態」と「相手が望む状態」


が重なる構造をつくることです。


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■ 「自分をマーケティングする」とは何か


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自分をマーケティングすると聞くと、


強みを発信すること。


SNSで知名度を上げること。


自分を魅力的に見せること。


実績をアピールすること。


そうした自己PRを想像する人が多いと思います。


しかし、本質はそこではありません。


最初に考えるべきなのは、


「自分はどう見られたいか」


ではなく、


「自分はどのような状態を実現したいか」


です。


・昇進したい


・年収を上げたい


・重要な仕事を任されたい


・転職市場で評価されたい


・専門家として相談されたい


・自分の考えを社会に広めたい


目的によって、動かすべき相手も、必要な認識も、伝えるべき情報も変わります。


昇進したいのであれば、上司や経営層に、


「次の役割を任せられる人」


だと判断してもらう必要があります。


転職したいのであれば、社内での実績を、社外の採用担当者にも価値が分かる言葉へ翻訳する必要があります。


重要な仕事を任されたいのであれば、能力を示すだけではなく、


「この人なら安心して任せられる」


という認識をつくる必要があります。


つまり、自分をマーケティングするとは、自分をよく見せることではありません。


自分が望む状態を実現するために、他者の認識と意思決定を設計することです。


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■ 能力があれば評価される、は半分だけ正しい


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成果を出していれば、いつか評価される。


そう考える人は少なくありません。


しかし、評価とは成果そのものではありません。


成果について、他者が行う意思決定です。


どれほど成果を出しても、


・誰の成果なのか分からない


・本人の貢献範囲が見えない


・何が難しかったのか伝わっていない


・再現性があるのか判断できない


・会社の評価基準と結びついていない


という状態では、成果が評価に変換されないことがあります。


これは、能力が足りないのではありません。


成果から評価に至る構造が、うまくつながっていないのです。


良い商品も、知られていなければ買われません。


思い出されなければ、候補にも入りません。


売り場になければ、選ぶこともできません。


人も同じです。


能力を高めるだけではなく、その能力が相手に認識され、理解され、記憶され、選択肢に入る状態をつくる必要があります。


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■ 自分をマーケティングする5つの手順


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【1】望む状態を決める


「評価されたい」ではなく、


「半年以内にリーダーを任されたい」


など、他者に求める行動が分かる状態まで具体化します。


【2】動かすべき相手を特定する


上司、経営者、人事、顧客、採用担当者など、目的の実現に必要な意思決定者を明らかにします。


【3】相手の意思決定構造を分析する


相手の目的、評価基準、持っている情報、感じているリスク、置かれている制約を理解します。


【4】必要な認識を設計する


「成果を出せる」


「安心して任せられる」


「複雑な問題を整理できる」


など、相手の行動につながる認識を明確にします。


【5】認識を行動に変える仕組みをつくる


成果を定期的に共有する。


判断プロセスを言語化する。


小さな仕事で信頼を積む。


相談される接点を増やす。


一度のアピールではなく、継続的な仕組みとして設計することが重要です。


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■ 自分を売るのではなく、選ばれる構造をつくる


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自分をマーケティングすることは、自分を実力以上に見せることではありません。


相手を操ることでもありません。


相手の目的や制約を理解し、自分の価値が相手にとっての「選ぶ理由」になる状態をつくることです。


私は売上を伸ばすために、消費者だけではなく、多くの社内ステークホルダーをマーケティングしました。


そして、この考え方は自分のキャリアにも使えます。


自分が望む状態を定める。


その実現に必要な他者の意思決定を特定する。


相手が動く構造を分析する。


そして、自分が選ばれる仕組みをつくる。


「自分をマーケティングするとは、自分を売り込むことではない。


自分が望む未来に向けて、他者の意思決定が動く構造を設計することである」


自分の人生を、偶然の評価に委ねない。


そのために必要なのが、自分自身を対象としたマーケティングなのです。

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