世界一やさしくて楽しくて、だけどできる限り理論に基づいた『Hello VFX』試し読み①
2025年6月に発売した「Hello VFX」より、1章をご紹介します!
著者の三宅 智之さんは、2000年生まれ、東京・池袋出身のVFXアーティストです。小学生の頃より独学で映像制作を始め、XやYouTubeにて「38912 DIGITAL」名義で作品を発表しました。早稲田大学在学中にCGWORLDのライターを務める傍ら本書を執筆し、卒業後、株式会社白組に入社しています。学生時代の参加作品に、映画『ゴジラ-1.0』『シン・仮面ライダー』『シン・ウルトラファイト』、MV『絶絶絶絶対聖域』などがあります。
VFXとは、実写やCG、ミニチュアなどあらゆる素材を組み合わせて、現実には撮影が困難な映像をつくる技術を言います。
書籍のPVを見て頂ければ、VFXがどういうものかが少し分かると思います。

Chapter 1 VFXとは
はじめに
空を飛んでみたい、宇宙に行ってみたい、魔法を使ってみたい。そんな人々の夢を映像で表現する技術が、映像の魔術とも言われるVFXです。VFXを使えば人間が想像できる映像はほぼ全て描くことができます。
VFXとは、実写・CG、時にミニチュアなど「ありとあらゆる素材を組み合わせて映像を作る技術」の総称です。VFXによって、同じ予算や期間の中で表現できる幅がグンと広がるので、今や数多くの映画やCM、MVにVFXが使
われています。そして昨今、VFXの敷居は下がり、その技術の多くは誰でも触れられるものになりました。やる気さえあれば、誰でも頭で思い描いた空想の世界をVFXで描くことができるのです。
本書は「世界一やさしくて楽しくて、だけど出来る限り理論に基づいたVFXの本」を目指して書きました。まずは手順通りに手を動かしてみてください。気がついたら、自分の手で作りあげた作品が出来上がっているはずです。その後に理論の話を読めば、どんな場面にも対応できる力を身につけられます。
本書は楽しく読み進められるように、作例にもかなりの力を入れて作りこみました。もちろん、好きにアレンジしていただいてOKです。楽しく、自由に進めてみてください。本書を通してとっても楽しいVFXという魔法に触れて楽しんでいただけたら幸いです!
あなたも今日から映像の魔法使いです!
さぁ、はじめよう! Hello VFX!!!

本書で扱う範囲
本書は、実写やCGなどの素材を組み合わせて1つの映像を完成させる「合成」の工程に焦点を当てています。
CG制作や実写撮影のテクニックについては、すでに多くの書籍やチュートリアルがあるため、本書では最低限の説明にとどめ、VFXに特化した内容を目指しています。
実務でも活用できるVFXのテクニックやノウハウを、実践を通じて一緒に学んでいきましょう!
おすすめの学び方

仕組みが分からなくても、まず手を動かしてみるのが大事です。
真似しているだけでも、技術は少しずつ手に馴染んでいくものです。そのあと理論を学ぶことで馴染んだ手の動きとロジックが繋がって、より自由に技術を触ることができるようになります。
本書では、実践→理論という構成になっています。まずは分からなくても手順通りに手を動かしてみてください!

プロがやっている正しい方法を学びたい、と感じる方も多いでしょう。しかし、プロはプロの数だけやり方があるため、唯一の「正しい方法」はありません。映像の場合、極論で言えば作りたい絵ができていれば正解です。はじめのうちは「正しさ」の幻想を捨てて、好きに自由にやってみるのがおすすめです。自分で手を動かしていけば、自分の「正しさ」の引き出しが増えるはずです。

本書は、章順を無視して読み進められる構成になっています。
作りたいものがあれば、次の「VFXチャート」を使って、あなたの表現のために必要な技術から学んでみてください。作りたいものを作るのが、習得の早道です。
今は特に作りたいものが思いつかなければ、章順がおすすめの学習順になっているので、頭から始めてみましょう!
VFXチャート

なぜBlenderとDaVinci Resolve?
本書では、オープンソースで無料で始められる3DCGソフトのBlenderと、動画編集ソフトのDaVinci Resolve(無償版)に内蔵しているコンポジットツールのFusionを採用しています。これらを本書で採用している理由は、「無償でも商用利用できる点・業界標準ソフトに移行しやすい点」の2つです。
他ソフトと比較しながらより詳しくご説明します。

Mayaや3ds Maxは、業界標準なことが最も大きな強みです。CGアーティストへの就職を目指しているなら使い方を学んでおくべきでしょう。しかし、商用版は非常に価格が高い点には注意が必要です。
一方、Blnederは無料(オープンソース)でMayaや3ds Maxとほぼ同じ機能を兼ね備えているので、VFXを始めたい人には広くおすすめできるソフトです。近年Blenderも商用プロジェクトで使われる機会が増えてきましたし、基本的なCGの作り方や考え方はどのソフトも同じなので、まずBlenderを習得したあとにMayaを習得するのもオススメです。


VFX業界で最も広く使われているのは、Nukeです。コンポジターの就職を目指しているなら、使い方を学んでおくべきでしょう。しかし、CGソフト同様にNukeの商用版は非常に価格が高い点には注意が必要です。
一方、DaVinci Resolveに内蔵されているFusionは、無償版でも十分使えるほか、より機能が充実している有償版のコストパフォーマンスも非常に優れています。そしてNukeと使用感や考え方が似ており、機能も十分揃っているため、VFXを始めたい人には広くおすすめできるソフトです。
After EffectsはかつてVFX業界でも広く使われていたソフトでしたが、現在VFX業界では下火です。UIがPhotoshopに似たレイヤー方式のため、操作が感覚的な一方で複雑なVFX処理には向かない特徴があります。NukeやFusionとは使用感も考え方も異なるので、移行の難易度も比較的高いです。
まずはDaVinci ResolveのFusionを学ぶことで、そのまま商用利用することもできますし、Nukeにスムーズに移行することもできます。
⇒ 「2章の試し読み」に続く
試し読みは、以上となります。
書籍版は、こちら。
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