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3はないよ!!!!

  目次

「いいねえ純銀!! オラ出せ! 出せるだけ出せ! 限度ぎりぎりまで出せ!」
「あ、あれは普通の銀と違って安定した物質ではないので、数時間で勝手に分解されてしまうでありますよ?」
「ハァ~~~~~~~~~~~~つっかえ」

 と、そこで烈火、何かに気づいたように斜め上を見る!

「……いや待てよ? こいつが出した銀を売っ払ってからからすぐトンズラこけばいんじゃね?」

 ナチュラルにクズ発言!!

「そ、そんなの絶対ダメでありますよっ!」

 シャーリィ殿下もジト目で烈火にビシビシとチョップを連打!

「うっせーなぁ、冗談だ冗談。どーせエルフどもは貴金属とかまったく興味ねえんだろ? つかいつまでチョップやってんだこの貧乳」

 烈火、殿下の首根っこを掴んで持ち上げ、何故か自分の肩に座らせた。
 それだけで姫君は機嫌を直し、目をキラキラさせる。高いところがお好みらしい。
 フィンですら烈火の偉丈夫ぶりにはけっこう迫力を覚えているのだが、彼女は本当にまったく物怖じしない。

「……ま、とにかくだ」

 さりげなく殿下の両足を抱えながら、烈火はフィンをビシッと指さした。

「おめーは俺に借金をした。返済の義務ってやつが生じたぜ。オークどもをぶっ殺すだけじゃなく、金も用意することを考えろや。それしないうちに元の世界にトンズラしようなんて虫のいいこと考えんじゃねえぞコラァ」
「え……」

 その瞬間、フィンの胸に、何か不可解な温かみが差した。
 それが何なのか、自覚もできないままに、心が少し軽くなるのを感じる。

「……了解でありますっ! 受けた恩は必ず返すでありますっ!」
「おう。言っとくけどマジのガチで取り立てるからな?」
「えへへ、ご心配は無用であります。セツの大義に身命を捧げた軍人として、その精神と伝統に恥じる行いは決してしないでありますっ!」
「……お、おう、わかってんならいいんだよ」

 シュワンシュワンシュワンシュワン……
 みたいな音を立てて、相変わらずフィンの体からは黄金の炎のようなものが立ち上っていた。頭に違和感を覚えて触れてみると、何故か髪が逆立っている。

「……あの、ところでレッカどの」
「あぁ?」
「このうっとおしい炎みたいなものって、どうにかならないでありますか?」
「うっとおしいとかホザくんじゃねえバカおめーどれだけの少年がそれを出すために「はぁぁぁぁー!」とか言いながら力んだと思ってんだよバカおめー今おめーは全国の子供たちの夢を体現してんだよ! むしろ泣いて喜ぶべきそうすべき」
「えぇー……」

 ※何分かしたら消えました。

 ●

「疑問点はもうひとつ。ヴォルダガッダや〈道化師〉のような超戦力がゐながら何故今まで王都は制圧されなかったのか。今回の動乱が始まってから半月が経過したと聞くが、彼らが本気なのならもっと早くに王都は蹂躙されておらねば道理にそぐわぬ。」
「そ、それは、確かにそうですが……」

 総十郎は、一瞬で思考を巡らせる。
 ヴォルダガッダ、〈道化師〉、〈鉄仮面〉。この三者は、恐らく三人とも目的が違うのだ。自らの目的のために残りの二人を利用している――そういう関係なのであろう。ゆえに、その動きは総体として見たらちぐはぐで非効率的なものとなった。
 大前提として、ヴォルダガッダと〈鉄仮面〉にとって、総十郎ら異界の英雄の存在は完全に想定外であったはずである。そのうえで、いつでも落とせる王都を泳がせ続けた理由とは――

 恐らく、ヴォルダガッダ以外の二人は、オブスキュア王国をすぐに滅ぼすつもりがない。しかし適度に危機を与えて追い詰めるつもりはあった。そのためにオークどもは利用されている。
 ヴォルダガッダはそれを知っているが、自らの覇道のために〈道化師〉と〈鉄仮面〉利用するつもりである。何故ならこの二人が持つ『帝国の新兵器』と『大軍を高速で輸送する手段』はオブスキュア攻略になくてはならぬものであるから。
 二人の方からすれば、ヴォルダガッダに早々とオブスキュア王国を滅ぼされては困る。ゆえに『お前の軍勢を運んでやらぬぞ』という脅しをかけて、今のところヴォルダガッダの行動を押しとどめている。しかしいつまでもそんな脅しをかけ続けるのならば、ヴォルダガッダはしびれを切らして独自行動を始めてしまうであろう。そこで二人は期限を設けることにした。その期限が来るまでは、都市を包囲するにとどめよ、という契約を交わしたのだ。
 そして、『帝国の新兵器』とやらを破壊できる存在が王国側についたことによって、その期限が前倒しになる可能性はあった。

「……まぁ、現時点であれこれ考えてもしょうがないな。ともかく、敵はヘリテージにあり。小生と黒神がゆくとしよう。」
〈ちょーっと待ってほしいでありますっ!〉

 不意に、フィンの声がした。
 横を見ると、戦術妖精の〈エンヴィー〉くんが翅を閃かせて滞空していた。

「おやフィンくん。なにやら声に元気が戻ったようであるが。」

 戦術妖精を初めてみたエルフ騎士たちが騒然となるなか、総十郎は艶やかに微笑んだ。

〈シャーリィ殿下とレッカどののおかげでもう元気でありますっ。それよりも、今後の動きを決めるにあたって、殿下から大事な話があるであります〉

【続く】

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