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あたまふわふわ娘たち

  目次

「レッカどのとリーネどのは相変わらず仲良しさんでありますね」
「うむ、あれを仲良しと取れる君の真善美そろった感性は、まことに愛すべきものであると小生は思うよ。」
「なんだかよくわかんないけど、ありがとうでありますっ!」
「……フィンくん、少し変わったかね?」
「そう、でありますか?」
「うむ、表情が柔らかくなった。よい顔である。」
「えへへ……」

 照れて俯くフィン。この人に褒められると、なんであれすごく嬉しくなってしまうのであった。

「なんでキサマはそう尊敬とか感謝とか示したくなる気をいちいち削ぐようなことばっかり言うんだッ!!!! わ、わたしだってありがとうぐらい言いたいわッ!!!! なのになのにっ! む、む、胸をどうのこうのとか!!!! もぉ~~~~~~~~~ばかーッ!!!!」

 打擲! 打擲! 打擲! 上腕に擦れて胸が別の生き物のようにふるふると踊った。
 そこへ、見送りに来ていたエルフたちの中から、ライラと数名の娘たちが近づいてきた。

「ねえねえリーネさま。おっぱいぐらい別に触らせてあげればいいじゃん減るものでもなし。人族におっぱい触ってもらえる経験なんてそうそうないよ?」
「そうそうあってたまるかそんな経験!!!!」

 「ねー」「ねー」と頷き合うライラたちに、リーネは振り返って突っ込む。

「レッカさま。代わりにあたしたちのおっぱい触る? 確かそんな約束してたよね?」
「え~してたの? そんな約束~」「いいなー」「あたしもあたしも!」

 リーネほど大きくないが、形よく実った胸を張り、エルフ娘たちは烈火に向いた。

「「「「はい、どーぞ♪」」」」

 うずくまって痛みに悶えていた烈火は、めこっ、と地面から顔を上げ、ライラたちを見上げた。
 苔まみれのその顔が、見る見る青ざめてゆく。両目が影に覆われて、その下に黒い縦線が何本も伸びる。

「おめーら……」

 その場で跳ね起き、仁王立ちで腕を組む。
 キリッと精悍な表情を取り繕う。

「簡単に胸を触らせるとか言うんじゃないッ!! もっと自分を大事にしろッ!!!!」
「ちょっとまてえええええええええ!!!! その優しさをなんでわたしには振り向けられないんだ!!!!」
「うるっせええええええええええ!!!! 乳ゴリラに発言権はねえエエエエエエエエ!!!!」
「えへへ、レッカさまやーさしー」「ちょっと照れちゃってる?」「え~、レッカさまかわゆ~」

「……あれを見るに、リーネどのの貞操観念は、小生からするとまっとうであるが、エルフ社会にあってはかなり「お堅い」部類なのであるなあ。」
「ソーチャンどのソーチャンどの、テーソーカンネンってなんでありますか?」
「いや、詮無いことを言った。忘れてくれたまえ。」
「えー、気になるであります」
「ふむ……まぁ、どれだけ真面目であるか、というようなことだ。」
「では小官のテーソーカンネンはとても高いと自認しているでありますっ!」
「う、うむ。異論はないが、あまりその言葉は使わぬ方がよいと小生は思う。」

 ともかく、樹精鹿のクレイスとラズリが、騎士たちに轡を取られてやってきた。

「シュネービッチェン卿。二株とも連れてきましたぞ」
「あぁ! すまないラナンキュラスどの。とんだ手間をかけさせてしまったな」
「構いませんよ。我らはこれよりオンディーナ周辺のオーク残党を掃討します。ご武運を」
「ふふ。お互いにな」

 拳を突き合わせ、笑みを交わす。
 口ぶりからすると、リーネのほうが他の騎士たちよりもやや目上のようだ。国家元首も女王であるようだし、オブスキュア王国はゆるやかな女性優位社会なのだろう。

「そうだ! フィンどの!」

 クレイスとラズリを伴って、リーネはフィンのほうへと歩み寄ってきた。

「今回は組み合わせを変えましょう。わたしと一緒にラズリに乗っていただけますか?」
「構わないでありますけど、どうして?」

 彼女はてっきり殿下と一緒に騎乗するものと思っていただけに、意外な申し出だった。
 リーネは少しまごついたのち、がばりと頭を下げた。

「その、まだきちんとお礼を言ってなかったなと思いまして。本当に、ありがとうございました! あなたのおかげで、わたしは五体満足で生きています! その、最初はあんまり可愛らしいお姿でしたので、正直なところあなたを侮っていました。しかし、もはやそのような無礼はいたしません。あなたは卓抜した戦士にして癒し手です。どうかこれからも力をお貸しください」

 フィンは目を丸くしてそれを聞いていたが、やがてにっこりと笑う。

「リーネどの」

 促されてリーネが顔を上げると、フィンは拳を突き出していた。

「ごっつんするであります!」
「あぁ、ふふ、はい!」

 二人は拳を合わせた。

【続く】

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