重大なご報告|兼業どんぐり農家になりました
大変、ご無沙汰しております。
皆さまはどんぐりの作付けや収穫量はご存じないと思いますが、実は近年のどんぐり大不作なのです。どんぐり農家がどんぐりを拾えないというのは、死活問題です。
とても生活が維持できなくなってしまいました。
三好商店で富彦などに廃棄弁当をねだる者、山を下りて、郡央や県北、県央で寸借詐欺をはたらく者まであらわれる始末。
ところが山主は『昨今の世界的なインフレ、輸送費などの値上げ等』を理由に山民の共済費を一人12,000円から19,800円に値上げすると一方的に通達し、どんぐりも10000個収めていたのが、50000個と言い出しやがったのです。
これは都会で共済費19,800円というのは貨幣価値の違いを考えると、30万の部屋に住む以上の感覚で、どんぐり5000個というのは毎日、弁当の半分を差し出す感覚です。
しかも山主はアホの太郎が「インフレっち、なんなんですか?」と何度も何度も聞いたら、顔を真っ赤にして「なんか高くなるヤツであろう!知るか!」と木の枝で太郎を何度も打ち据えやがった。
そりゃグチる。皆でどんぐり焼酎をチビチビやりながら、文句も言うし、
テレビ局のGPCに匿名で山主の悪口をたくさん送りたくもなる。
つい、『若造山主に一揆起こしちゃるわ』とはがきに書いて送ってしまった。
MCの栄一さんはかなりウケていた。

しかしこれが良くなかった。翌日、どんぐり地区の男衆全員が山主に呼び出された。
「誰が一揆起こすのか言え」
「闇リス(スパイ)から聞いて、本当は分かっちいるのだ」
「はがきに足が生えて、勝手に栄一めの元へ歩いて行ったのか」
「全員、目をつぶって言ったやつは手を上げろ」
男衆全員が正座させられ何時間も許してもらえなかった。
他の地域の皆さんがどうかは知らないが、この山で一揆と脱山(出奔)というのは、本当に重罪なのだ。
「お前が一揆と言ったに違いあるまい」
「こいつは栄一さんの番組ばかり見ちおるからな!」
足のしびれが限界を超えたころ、幸次と幸三のアホ兄弟がわめき始めた。
地区では最上位階級の県立農業卒一派のリーダーの実良も
「もう良かろう。貴様、白状しろ!」と言い出した。
自分と同じ関谷学園卒一派の滉先輩や、純也は
「どんぐり拾うのさえ飽きて30分と続けられないコヤツが一揆などできるわけなかろうが!」
と庇ってくれたのだが……
しかし、若造山主に何度も木の枝で頭を小突かれ、
50回は舌打ちされ、自白もしないまま、
「辺泥庵にて蟄居せい!」
と言われてしまった。

寝っ転がって辺泥庵でスマホ見たりしていたが、いい加減飽きたので、山を12個は超えて出奔した。まあ、時々、顔を出して、どんぐりが落ちるころ戻ればバレやしないだろう。
郡北から群央へ抜け、そこからバスで2時間ほどで県央に出た。
しかし、県央には闇リス(スパイ)も多いので、そこから都会に向かって歩いた。

記憶をなくすほど歩いて武蔵なんとか駅が出てきたが、ウロウロ移動するうちに海が出てきて、下総という場所に流れ着いた。
金が全くなく、どんぐり漬けとその辺の山菜しか食べることができないで、求人会社の何とかリーチとか何とかエージェントに電話した。
「絶対、高給の仕事がいい」と伝えたが、「どんぐりを拾うのは本当に早いです」というと、みんな電話を切りやがる。都会は冷たい。
仕方なく、『正社員随時募集中 16歳から80歳ぐらいまで』という看板の会社の下総何とかという会社のドアを叩き、「頼もう!」と叫んだ。
ヨボヨボのじいさんが出てきて、顎で席に座れと促しやがった上、いきなり面接させられることになった。
「当社を志望した動機はなんなの?」
「関谷学園など聞いたこともないが?」
「どんぐり拾えるからなんなの?」
「具体的にどう貢献できるの?」
なんだかよくわからないが、答えるたびため息をついて、ボールペンをテーブルの上に投げ出すのが凄くイライラした。
しかし、そういうのは若造山主の説教で慣れているので、
「俺の目を見てくれ。じいさんが本物なら分かるはずだ」
と言ってやると、「明日から来い」という話になった。

入社してから知ったが、その会社は千葉では有名な千葉テレビ、千葉日報に並ぶというか、多少離されているが、千葉の三大メディアの一角
下総メデアグループの中核企業・下総ヱンターテヰンメント社で、配属先は創業家直属のエリート部署だという”諜報部”という部署だった。
簡単にいうと”誰が会長・社長の悪口を、なんと言っているか”を毎日調べ、会長と社長の悪口を一件報告すると1万円もらえる仕事だった。
役員の悪口なら2千円、部長だと1千円だった。
バンバン密告しないと食えないので、会長と社長の悪口を誘発しようとすごく努力したのに、みんな警戒して全然悪口を言わないので、すごくイライラした。
「つまんないし、1か月で6千円なので辞めます」
辞表を諜報部長の影山の額に叩きつけてやった。
しかし、マイコン部の取締役部長の山田が呼び止めた。
「君は俺のスマホを無線で繋いでくれたろう?」
異様に電波が入らず、社内の連絡は全員トランシーバーという会社だ、
山田のスマホをwi-fiに繋いでやったことを、非常に高く評価されて引き留められた。
なんでも、下総ヱンターテヰンメント社は、これからIT人材が大切になって来る気がするとのことで、諜報部からマイコン部パソコン通信課のメディア係内、制作室に配属するから、そこの制作員になれと言われた。
「制作室の制作員はなんか格好良くない。まだ諜報員の方が格好良かったからやりたくない」
そう抗議したところ、制作室を”森林”という名前から取って”スタジオ ホレストウッズ”と改称して一国一城の主にしてやると言われた。
それでも給料6千円なので渋っていると、制作員の呼び方を”エグゼクティブクロスメディアクリエイター”にしてくれるというので、さすがに入社一か月で凄く登り詰めた感を感じ、残留してやることにした。

給料については、下総ヱンターテヰンメント社は超実力主義だから、インセンティブ制というやつらしく、以前同様に毎月変わる。今月はすごい頑張ったし、凄い頑張ったことを口うるさくアピールしてやったので、結構増えてなんと総額で8万円オーバーだった!
とりあえず、スタジオ・ホレストウッズのエグゼクティブ クロスメディア クリエイターとして励み、アニメ作品を7本製作した。
一番説明したい自分の頑張りの詳細は、また追ってご紹介させて頂きたいが、とりあえず、自分がすごく頑張った証拠だけは他の人にも知ってもらいたいので、一番新しく制作した番組を皆様に見ていただき、こやつは頑張っているのだと強く感じて頂きたいです。
製作 下総ヱンターテヰンメント社
放映 日本フイルム無線放送系列(地上波アナログ放送)にて放送中
