【建築のタネ】フレームとヴォイド
フレームとヴォイド
──「何もない」が生む空間の力
フレームを組むと、そこには物理的には何もない空間、つまり「ヴォイド」が生まれます。しかし、このヴォイドはただの空白ではなく、建築空間において重要な意味や体験を生み出す要素となります。

■ヴォイドがもたらす心理的影響
ヴォイドは人々に視覚的な広がりや心理的なゆとりを与え、空間の質を高める効果を持っています。巨大な吹き抜けなどがまさにそれですね。
建築設計においては、「空白」をうまく活かすことで、魅力的な空間体験を創出することが可能です。
なお、ヴォイドが成立するためにはその外枠であるフレームが必要という、両者の関係もよく覚えておいてください。※巻末にて追加解説
■見えない空間の役割
フレームに囲まれた空間には屋根や壁がなくとも、人は「建物の中にいる」という感覚を持つことができます。風や光が自由に通り抜けるその空間は、建物の一部であると同時に、環境と繋がる「中間領域」を形成しています。

■デザイン要素としてのフレーム
さらに「フレーム」は建築のシルエットやプロポーションを調整する重要なデザイン要素でもあります。
例えば安藤忠雄氏設計の「六甲の集合住宅」では、構造的には必須ではないフレームをあえて伸ばすことで、建物全体のプロポーションを整え、視覚的な統一感を実現しています。

写真:Google Arts & Culture より
画面中央出隅のフレームなど、構造的には不要な部分が意外と多いのですが、
それによって絶妙な見た目の良さを獲得しています。
■まとめ
建築設計においてフレームとヴォイドを意識的に活用することは、視覚的・心理的な効果を高め、空間をより魅力的で意味深いものにすることに繋がります。空間のデザインを考える際には、「ヴォイド」の可能性をぜひ検討してみてください。
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▽追加解説:「フレームとヴォイド」と「ソリッドとヴォイド」
少し追加解説です。
いわば「無」である「ヴォイド」にどうやって形を与えるのか…
よくよく考えると結構難しい課題ですよね。
「無」を形づくりなさい、とは……
しかし、方法が2つあります。
少し解説していきますね。
・フレームとヴォイド
方法の1つは「囲う」方法です。
今ほど説明したフレームで囲う方法です。

ここでは便宜的に「フレーム」と呼んでいますが、ヴォイドの外側を決めてしまうという捉え方も可能ですので、下記のモデルも成り立ちます。

内部に立方体のヴォイドが存在します。
・ソリッドとヴォイド
そしてもう1つの方法は「穿つ(うがつ)」方法です。

つまり、ソリッド(塊/マス)からヴォイドの形状を抜く方法とも言えます。
3DCGで「ブーリアン演算」をやる人にはおなじみかもしれませんが、欠けたソリッド部分によってヴォイドに明確な造形を付与することが可能になるのです。
この「ソリッドとヴォイド」という弁証法を語ったのは、建築家 レム・コールハースであり、自身の著書「S,M,L,XL」の中で、その関係を語っています。

著者:O.M.A. / レム・コールハース / ブルース・マウ
書影:OMA Webサイトより
注意したいのは下記の文章です。
”I’m doing my best to avoid the japanese word void”
「日本語の 「空白」という言葉を避けるために最善を尽くしている。」と直訳できますが…
これはつまり、日本におけるヴォイド(空白)の考えと混同しないように、ということです。「the japanese word void」は先に述べた「フレームとヴォイド」の関係です。これは個別に考えるべきであるというのです。
「フレームとヴォイド」「ソリッドとヴォイド」は、それぞれ異なるヴォイドの扱い方として覚えておくとよいでしょう。
以上、「フレームとヴォイド」でした。

