【建築のタネ】光の射す方へ
光の射す方へ
─光に集まる習性を持つ生き物は?─
No.066
…「虫」を思い浮かべた人も多いでしょうが、人間もそうです。光にわらわら集まります。暗闇にいたら、光の方へ行きたくなるのが人の性なのです。この本能を建築デザインに活かす方法を探ります。

■ 光が人を導くメカニズム
人は暗い場所にいると、自然と光のある方へ向かいます。これは本能的な行動であり、心理学的にも「光環境は移動行動を促す」ことが確認されています。 この性質を利用すれば、建築空間においても人々の流れを意図的にデザインすることができます。
「The Movement of People Toward Lights」(明暗による方向選択の実証)(1974)が、Taylor & Socovによって発表されている。
【要約】
仕切りを挟んだ左右対象の廊下/出口を明度だけで操作。参加者は目隠し後、両方開放された後に光のある方へ歩く。最初に右へ向かう「位置バイアス」の補正も意識的に行った。
結果 明度が等しいと右へ進む傾向が6割程だったが、少しでも一方が明るいと約2/3が明るい方向へ移動した。明るさの増減に伴い、選択行動が統計的に変化した。
■ 建築における活用事例
例えば、美術館や劇場では、暗い空間から明るいエリアへと視線を導くことで、訪問者が無意識に動線に従うよう設計されているケースが散見されます。特に展示空間では、明るいエリアに重点を置くことで、自然と人の流れをコントロール可能になります。
また、地下鉄の出口では、天窓やガラスを活用し、外部の自然光を取り入れることで、出口方向への誘導効果を生み出すことが可能です。実際、空港や駅のコンコースなどでは、意識せずとも出口へと向かえるように光の配置が工夫されていることが多いのです。

設計:安藤忠雄
© Fujitsuka Mitsumasa
■まとめ ─光が持つ「道しるべ」の力
このように、光は単なる照明の役割を超えて、空間体験をデザインする強力なツールとなります。適切な明暗のコントラストを作ることで、人々の移動を自然に促し、より直感的な動線を生み出すことができるのです。
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「人が緊急時にどのような動きをするか」という
研究成果の発展と近い形で研究されてきました。
たしかに非常灯や誘導灯もそういった
役割がありますね。
