【第4回】BEAVER×FREEDOM - 新卒から設計者は育てられる!(前編)

【この記事は何?】
この記事は住宅設計を得意とする一級建築士事務所(建築士100名以上所属)である「FREEDOM」社に対する、一連のインタビュー記事の第4回目の記事になります。(記事一覧)
【第4回概要】
・FREEDOM社がなぜ「設計サポート室」を立ち上げたのか
・新卒を“即戦力”に変える教育カリキュラムの全体像
・教育が会社全体の価値観をどう変えたのか
…を、現場目線で紐解いていきます。
【誰向けの記事?】
これから住宅の設計者を目指す大学生へ。
そして「新卒をどう育てるか」に悩む会社に向けた記事です。

おつかれさまです!BEAVERの中の人、のののです。
今回はBEAVER×FREEDOM 連載4回目の記事になります。
▼前回の記事はこちらです。
今回もよろしくおねがいします!
引き続き、FREEDOM 人材戦略推進部の谷崎さんにインタビューさせていただきます!

よろしくお願いします!

そして、今回はFREEDOM社の教育部門の担当者である、I さんにもお越しいただいています。初めまして!本日はよろしくお願いします。

初めまして!よろしくお願いします!
▼FREEDOM社さんコラボの記事一覧はこちら▼


今回もあらかじめ、
BEAVERから質問事項を用意して、
事前にお答えいただくスタイル
を取りました。そのやり取りを一緒に見ながら、気になる内容を深掘りしていこうと思います。

【質問1】
FREEDOM社(フリーダムアーキテクツ)には、新卒社員が最初に配属され、実務をこなしながら育成を受ける専門の教育機関「設計サポート室」があると伺っています。
一般的な「現場で覚える」文化とは異なり、あえて教育専門の部署(設計サポート室)を設けている最大のメリットは何でしょうか?


インタビュー前の事前質問ですが、
たくさん書いていただきありがとうございました!
まず前提の質問をさせていただきたいのですが
「設計サポート室」が誕生した経緯を教えてください。
🖊用語メモ:設計サポート室
FREEDOM社で新卒社員が最初に所属する教育部門

「設計サポート室」を立ち上げたのが私になります。
上層部も現場任せの育成に限界を感じていて、「これやらない?」と任命された感じです。
それで「はい」って。笑

そんな経緯が…!笑
研修が無かったと書かれていましたが、
教育部門という形を取らなければならなかったのはなぜですか?

今までOJT文化で来ていたけれど、前線で活躍している先輩設計士たちは忙しいし、その先輩設計者自身も教えてもらってきたことが無いんですよね。
教わったわけではないから教え方が分からないんです。

たしかに…。よく勘違いされがちですが
「教える能力」って誰にでも備わっているわけではないんですよね…。それこそ経験値が大事なのに。

そうなんです。新卒採用自体は「設計サポート室」立ち上げより2年くらい前から開始していました。その時は、新卒者に対してあくまで遠巻きに面倒を見ていた、みたいな状況でした。そういった環境なので、当時は辞めてしまう人もいました。
当時は、ある程度のレベルにならないと引き上げてもらえないみたいな文化があって、現場の人間も面倒見ている余裕が無かった、という経緯があります。
ですから、そこでの反省を踏まえて、「設計サポート室」を立ち上げまして、その1期生が、今で4年目…来年度(2026.04)で5年目になります。

新卒の専門教育機関である「設計サポート室」ができたことで何が大きく変わりましたか?

何が大きく変わったか…というと「研修という型」ができたことですかね。

たしかに、そもそも無かったものができた!これは大きいですね。

もう1つは新卒者に任せる仕事を現場から吸い上げたことです。
「新卒はこれをやれば活躍してもらえる」、という状況をつくりました。
「この子たちがいてくれると助かる!」という状況を作ったのが、変化として大きかったです。
実際に今までの新卒が活躍してくれているので、先輩設計士たちも新卒を歓迎してくれています。しかも初歩的なことを教えなくてもいいので、設計士同士の建築の話をしてくれます!

これはお互いにいい関係ですよね。
新入社員なのに、すぐ役に立てるし、やる気が出る!現場もすごく助かる!
これは制度や組織設計の勝利なんじゃないか、と思います。


あとは I さん、一番の大きな変化はあれじゃないですか?
「新卒って育てられるんだ!」って会社が気づいたこと
だと思いますね。

それって本当に最近の話ですよね!
ここ1年くらい!

のののさんに背景を共有しますと
実は今まで、会社が新卒を取ることに慎重な姿勢だったんですよ。
逆に今は「新卒をもっと増やせないの?」って。笑

ここ最近で逆転しました。
4年~5年目にして、そこの評価を勝ち取りましたよね!

こーれは…面白い話になってきました!笑
会社全体の風向きが変わってきたのってどんなきっかけだったんですか?
すごく気になります。

会社が一時的に新卒者の受け入れ人数を減らすことにした時期があったんです。

結果的に、その年の新卒者採用が減ったわけなんですが、そうしたら、現場のサポートメンバーが減った影響で、会社の各所でひずみが出てしまったんです!
こういった影響が露骨に出たことで、新卒者がこなしていた「設計サポート室」での業務の大切さと、この体制や仕組みの存在感が会社全体に知れ渡ったんです。

実感として
「新卒者の存在価値が会社全体に知れ渡った」と!
それが1年前。
そうやって、新卒者の立ち位置が強固なものになったんですね!

今となっては新卒者をもっと増やせない?もっと早く育てられない?みたいに言われます。笑

価値観が大きく変わりましたね!
「新卒から設計者は育てられる!」って。

グループ会社もそういった雰囲気になってますね。新卒から育てられないか?って、検討しているようです。

ビルド社もX社も新卒採用に前向きになったということですよね?
これはつまりフリーダムアーキテクツさんを皮切りに起こった大きな変化ですね!ますます今後に期待感が高まりますね!
🖊用語メモ
・ビルド:フリーダムビルド(フリーダムグループの施工部門)
・X:フリーダムX(フリーダムグループのテック部門)
・フリーダムアーキテクツ(フリーダムグループの設計部門)


次の質問にいきますね!

【質問2】
以前のインタビュー内容から、「社内外注」という形で実際の業務を受けながら、教育担当がサポートするスタイルをとっているとのことですが、「教育」と「納期のある実務」のバランスをどのように管理していますか?


すごく丁寧に書いていただきありがとうございます!
前提として、納期に余裕がある現場、という前提はやっぱり重要ですよね。
〆切は明日です!みたいな状況では教育どころではないわけで…。
徐々に新卒者メンバー内で優先順位を決めさせるなど、ある程度の裁量を与えているようですが、新卒者がこなすタスクに関して、「手を出さない」という判断ポイントはありますか?
どこまでは見守り、どこから介入するのか、この線引きはどうやりますか?

何か問題が発生していないかをチーム全体で確認し合うようにしています。
また、怒られないって思ってもらえる環境。心理的安全性を確保することを心掛けています。

問題を隠さなくなりますよね。そういう環境を用意できると。

メンバー間(新卒間)でわからないことは相談し合っていることがあるので、ここは「見守りモード」です。
基本的には「ふーん…」って遠巻きで観察してます。笑

もし、ちょっと話の内容がズレ始めたり、「それは違くない!?」みたいな会話が聞こえてきたらどうしますか?笑

「今どんな感じ?」って話しかけに行ってキャッチしますね。笑
でも、どの子も優秀なので、そういうことはそこまで発生しないです。

ここまでの話をまとめると、
FREEDOM社の教育は「教えること」もそうですが、「任せ方」もうまく設計している感じがありますね!


前回のインタビューで、「入社して5年先までの新人研修カリキュラム」がすでに組まれているというお話がありました。
ここからはカリキュラムに関する質問です。

【質問3】
1年目から5年目まで、どのようなステップで技術(作図・法規など)を習得していくのでしょうか。そのロードマップを教えてください。



詳細なご説明ありがとうございます!
「学習」に関しては基本設計→実施設計の順番というのはセオリー通りのようですね。基本から応用(実施)の流れです。

「教えることは決まっている」ということでしたが、ここはどのように教育していますか?

弊社のシステム内にレクチャー動画を用意していて、最初の3か月はそれを自分のペースで学習してもらっています。
そこに対してテストを実施して、わかっていない部分をフォローしてあげる感じですね。個別のフィードバックをしていきます。

なるほど。
教えることに関しては最初のこの部分(基礎学習)はなるべく省力化しているわけですね。

そうです。そこに対して時間は割かないようにしていますね。
いつも同じことを喋ることになるので。

それは「教育の型」ができてきたからこそできる方法ですね!
カリキュラム全体を見ると…
まずは座学からスタートしつつ、打合せに参加することで、自分がサポートという立場で描いたものが、現場で「実際に使われているシーン」に同席することになる。
こういう機会を作ることで、「自分事」に落とし込まれるわけですね!合理的ですね。
( [1]→[2]のプロセス)

そして、次が実施設計のフェーズ([3])。ここは少し手をかける部分が増えてきそうですね。
ただ、実施設計の場合も基本設計と同じように、打合せに同席して、自分事にしていく。( [3]→[4]のプロセス)
…と、だいたいそんな感じでしょうか?

そういうことです。
実際に実施設計ってどうするのか?どう決まっていくのか?を打ち合わせ同席を経て、間近で体験します。

そうすることで
自分がやってきた仕事の意義を、確かな体感を持って知るわけですね。
…で、ここからようやく
ヘルメットをかぶって現場へ行くっていう感じですか?笑

設計図を書くだけでは現場は出来上がりません。
工事現場へ赴き、チェックすることも設計の業務の1つです。
なお、監理者の服装は作業着のこともありますが、
普段の仕事着(スーツなど)+ヘルメット他保護具という服装になります。

現場も、最初はただついていくだけです。現場がどうやって完成していくのか、現場の職人さんたちがどんな単語を使っているのかとか、部材の名前や現場用語を覚えていく感じですね。

場の空気感や現場スピードの体感、それから単語の理解は大切ですね!
「ネコ持ってきて!」とか。カラス・ワニ・ピラニア。笑

(製品名が業界の一般呼称(例:フクビ)になっていたり、地域差もあります)
現場に行くと、座学とのギャップがすごいわけですが、ここに至るまでで何年くらいですかね?

だいたい、現場に行くのは2年目の後半~3年くらいです。


ここまで現場にはまず行かない感じですか?
FREEDOMさんのnoteにも現場にはすぐ出さない理由をお話されていますね。

完成物件の見学には行くんですが、基礎的な知識が入っていないと、行ってもピンと来ないんですよね。

なるほど。ここまでの一連のフローの中で、ここがつまづきやすい、みたいなポイントはありますか?

案件対応でつまづくことが多いですね。特に、実施設計の担当者になったとき。

あれっ!?
ここ…実施設計が先なんですね。
実施設計→基本設計になってますね。気づかなかったです。


実施設計の実務が先なんです。
過去の経験値的に、実施設計できちんと実施図面に向き合って、しっかりと現場での納まりを把握したほうがその後でとても活躍できるんですよ。この順だと、基本設計・提案内容がふわっとした夢物語みたいな提案にならないので。竣工がイメージできる設計士は強いです!

あー…夢物語と言うと、まさにコンペとか設計課題みたいな提案ですね。
学ぶときは、基本→実施だけど、実務は実施→基本という順番なわけですね。

学ぶときは基本設計でも実施設計でも0→1の業務はさせないんですよ。提案や検討は担当者としてデビューしてからです。

0→1という応用の前に、基礎の体得をということですね。
ここまでで一通りですね。ここまでで何年が理想ですか?

目標は5年くらいです。


前回の記事で言う、谷崎さんの理想としては10年で一人前に!とのことでしたが。そこから5年、自分の物件をこなす、ということですかね?

おそらくここまで5年でいければ、あと3年で一人前になれると思います。

FREEDOMで8年やれれば、住宅設計者としてはもうどこに出てもやっていけると思いますね!そう自負しています。笑

素晴らしいですね…!
まさに「新卒は育てられる!」を体現したようなカリキュラム。
その辺の「成長の再現性」について、下記の事前質問にはこう答えていただいていました。

【質問4】
過去には2年かけていた研修を短縮するなど、試行錯誤を重ねて現在の形になったとのことですが、「成長の再現性」を持たせるために最も改善したポイントはどこですか?


また詳細に書いていただきました!
貴重な情報ありがとうございます!
なるほど…研修教材を作るだけでなく、その背後にある環境づくりから取り組んでいるということなんですね。
こちらの内容と、先ほどのロードマップの内容を合わせると、研修には一定の順番はありつつも、基本理念として、とにかくいち早く「役に立つ」ことができる教育カリキュラムを構築している。
そして、新卒者でも即戦力として実践をこなせる仕事を、現場から棚卸しして仕組み化している、ということですよね?

現場はやってもらえると助かるし、新卒者は役に立てる実感を得られる環境にいる。だから会社にとって新卒者の価値が高い!これはお互いにとって非常にいい環境になっている、と。

そういうことです!
新卒者が役に立つ状況を作るのが私たちの役割ですね。


ありがとうございます。研修内容、非常にわかりやすかったです!
≪ 記事前半はここまで! ≫
前半のまとめ
ここまで、FREEDOM社の「設計サポート室」を軸に、新卒社員をどのように育て、どのように実務と接続しているのかを見てきました。
この仕組みの本質は、「教育のための教育」ではなく、「現場で本当に役に立つ人材を、再現性をもって育てること」。
FREEDOM社の新卒社員は、守られる存在でも、現場の負担でもなく、きちんと設計された環境の中で“価値を発揮できる戦力”になっています。
その結果、現場は助かり、育成は回り、会社全体の価値観までが変わっていった、というその貴重な過程についてお訊きできました。
今回の記事は、教育部門設立における、0から1への道程の記録であり、強い意志があれば再現可能な大変貴重な内容です。事前質問への回答もかなり詳細に書いていただきましたので、記事を一通り読んだうえで、再びIさんの回答内容を読んでいただければ、また違う発見があると思います。
後編もお楽しみに!
▼つづき(後編)はこちら!
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