Bee Flower Stories Kanazawa #9 | 6月の早朝。花を探して、師匠たちと出会う。
NPOらいふね広報担当、たいらとんです。
6月の初めに採取した花粉団子の解析も無事完了し、再び花散策に出かけた「7人の侍」。
今回も、なかなか面白い出来事がありました。
6月13日(土曜日)午前6時。金沢城石川門の前で待ち合わせ。
今回のターゲットは、ザクロ、ハゼノキ、ソヨゴ。
これらの植物の花粉が、香林坊のビルの上のミツバチの巣箱で見つかりました。
どこで咲いているのかな?
今回も、花の師匠、金沢城・兼六園研究会の吉谷さんからの情報をもとに作成した花マップを手に、早朝散策を決行しました。
兼六園でカキノキを見つける!
その前に、前回見つけられなかったカキノキを確認するため、まずは兼六園へ向かいました。
吉谷さんに、前回の体験学習会でお会いした際、その場所を確認して、もう一度探します。
「まだ小さいらしいよ……」
という重要情報をもとに、みんなで目をこらしていると、メンバーの一人から、
「あ、見つけた」
との声。
「どれ、どれ、どれ……」
他のメンバーも続きます。
その様子に気づいた近くの方が、
「みなさん、いったい何を探しているんですか?」
と興味津々で声をかけてくださいました。
「カキです!! 見つけたんです!!」
「はあ……カキですか」
植物愛好会らしき団体が、朝から一生懸命探しているのだから、さぞ珍しい植物だろうと思われたかもしれません。
がっかりさせてごめんなさい。
我々は、カキノキが見たかったんです。
えっへん。

お印の植物って……
さあ、気をよくして、次の目標はザクロ。
実は、ザクロは楽勝だと高を括(くく)っていました。
というのも、金沢21世紀美術館の敷地内で、真っ赤な花を咲かせたザクロを見ていたからです。

この赤い花を目印に探せば、兼六園でもすぐ見つかるだろう。
そう思っていたところ……
全然、見つからない。
「赤い花が咲いているはず」
ここにあるとされていた時雨亭のまわりを、みんなで手分けして探しましたが、やっぱり見つかりません。
後で聞いたところ、どうも見事に剪定されていて、花がなかったそうです。
うーん、これじゃあ、しょうがない。
だって、私たち、「花のないザクロ」ってどんなのか、知らなかったんだもの……。
すっきりしないけれど、次に行きましょう。
途中、メンバーの一人が、時雨亭から少し下りてきた瓢池のほとりに白い花が咲いているのを見つけました。
みんなで、
「これ、なんだろうね」
と見上げていると、
不意に後ろから、ニコニコと年配の女性が近づいてきます。
「それはね、あずさ、っていいます。」


さらに続きます。
「令和天皇のお印ですよ」
令和天皇?
今の天皇陛下?!
お印って、なんか聞いたことがある。
急に出てきた言葉を、頭の中で探します。
お印とは、日本の皇族が身の回りの品や公的な持ち物などにつけるシンボルマークのことらしい。
へー。
突然、思いがけない話が出てきて、みんなびっくりです。
ひとしきりワイワイとなったあと、
「じゃあ、さようなら。みなさん、今日は一日よい日でありますように(とかいう雰囲気の言葉だったような・・)」
そのご婦人はニコッと笑い、どこかに去っていかれました。
おー。自然体の登場の仕方と、さわやかな去り方……。
なんか上品な方だったな……。
きっと、兼六園の花のことも、いろいろご存じなのでしょう。
ザクロのことも聞いておけばよかった。
本命については少し残念。
でも、なんだか満たされた一同。
元気が出たところで、次に移動します。
※あとで調べたところ、これはキササゲという植物のようでした。中国では「梓」と呼ばれることがあるそうです。ただし、日本では「梓」という名前はいくつかの植物に使われてきたようで、天皇陛下のお印の「梓」がどの植物を指すのかについては、少し注意が必要そうです。
またしても、意外な情報源に出会う。
次の目標は、金沢城の中にあるハゼノキです。
ウルシ科の木で、秋には鮮やかに紅葉します。
印象的なのは、この花粉。
鮮やかな黄金。表面がメッシュ状で目立つ。
代表は、この花粉を見るたびに
「黄金のらっかせい!」
とうれしそう。
どんな花なのか、実物をみたいなあ。。

地図上のピンマークを目指して、石川門のところを通りかかると、3人の女性が門の下を歩いていました。
そのうちのお一人が、門の下で説明しています。
「ここは江戸時代に……」
お二人は観光客のようです。
あれ。
ガイドさんかな。
こんな朝早くに?
添乗員さんじゃあなさそう、
だって、マラソンのTシャツを着ているから....。
そう思いながら横を通り過ぎるときに、軽く声をかけてみました。
「ボランティアガイドさんですか?」
「いえいえ。今、ランニング中で、たまたまお二人が門を見ていたので」
なるほど。
こちらも、さっきのご婦人のように物知りな方でした。
歴史好きの方なのかな。
自分の好きなものを一生懸命見ている人を見つけると、ついつい教えたくなる。
そういうことって、ありますよね。
なんだか、ほっこりしてきます。
こちらも、ついつい口が軽くなります。
「私たちは、今、ハゼノキを探しているんです」
すると、
「ああ、ハゼノキなら、兼六園の小立野口の近くにありますよ」
なんですと?!
「花は咲いてないと思うけど...」
今のハゼノキの様子をご存知みたい。
果たして、ハゼノキのこと気にしてる人って世の中にどれくらいいるんだろう??
でも、とにかく、意外なチャンス。
地図アプリを見せながら、
「どこですか?」
と、詳しく聞いてしまいました。
最後に「ハゼノキさがし、がんばってくださーい」
そう言って、颯爽とランニングに戻っていかれました。
またしても、さわやかで、かっこいい。
こちらはちゃんと予定通り、金沢城管理事務所のちかくで見つかりました。
ついでに、後日、今回教えていただいた場所を確認しに行くと、ちゃんとハゼノキがありました。
高いところには、もう実がついています。
もう少し早ければ、花も見られたのでしょう。
来年は、もっと早く来てみよう。
貴重な情報、ありがとうございました!



最後に、モチノキ科モチノキ属のソヨゴを見つけに、鼠多門の近くへ。
うーん、これは見つからない。
結局、みんなでいろいろ見て回りましたが、わかりませんでした。
※あとで吉谷師匠から、「花も実もないと、わかりづらいかもしれませんね。モミの木の下にある小さな木です」とヒントを教えていただきました。
ふと、鼠多門のあたりから金沢城の方向を見ると、玉泉院丸の池や庭越しに、金沢城へ向かってのぼっていく人が小さく見えました。

この庭園は、池のまわりを歩いて楽しむ池泉回遊式の大名庭園で、池底から石垣の最上段まで22メートルもの高低差を生かした立体的な造形で知られています。
なるほど。
この風景は、広さや高さ、人の小ささまで感じられるように設計されているのかな。
そんな気持ちになりました。
ソヨゴは見つからなかったけど、なんか納得感はあったなあ。
結局、今日はこのあたりで解散。
目的の木や花が全部見つかったわけではありません。
でも、いろんな花、素敵な方たち、迫力の風景との出会いがありました。
今日も楽しかった〜。
花マップ、新しい方法を編み出す!
今回わかったこと。
早朝の金沢城・兼六園は、なかなかの情報通が集まる場所です。
昼間は観光客でごった返している兼六園。
でも、早朝、ここにいるのは、ちょっと特別な人たち。
見た目は普通。
でも、実は濃密な情報を持っている。
私たちが知りたい情報をもっている人も、きっとたくさんいるはず。
つまり、私たちの師匠たちだ!
あとは、どうやってつながるのか、です。
アイデア1。
メンバーがのぼり旗を持って、
「今、これこれこれを探しています!」
と歩く。
気づいた誰かが教えてくれるのではないかな。
でも、のぼり旗を用意するのは大変そう。

アイデア2。
大きなスケッチブックにマジックで、
「○○の花を探しています」
と書いて、出会う人、出会う人に見せて回る?
ちょっと勇気が必要?

アイデア3。
注意深く観察し、これはと思う人とアイコンタクトであいさつ。
「実は、私たち、今、○○を探しています」
と、そっと打ち明けてみる?
(探偵か!)
いや、今のままでもいいのかもしれない。
ワイワイがやがややっていると、きっと誰かが私たちを見てるはず。
遠くからそっと。興味深そうに、しかもニコニコして見ている人が。
その人を見逃さず、
コミュニケーションをとること。
それが、楽しい出会いにつながるはず。
素敵な出会いがある場所。
それが、早朝の金沢城・兼六園。
次回の花散策。
探すのは、花だけではありません。
師匠も探します。
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