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息抜きから生まれた絵本『隅田川の平日マジック』忙しいあなたに贈る、小さな非日常の物語。

こんにちは、Bell note です。

前回の記事でも少し触れましたが、いま私は「寅子シリーズ」の長編小説『久兵衛、最期の事件』の執筆を進めています。ただ、長い物語を形にしていく過程では、どうしても煮詰まってしまう瞬間があります。そんなとき、私はよく「気分転換」に別の創作をしてしまうのです。

悪く言えば、飽きっぽい。こらえ性がない。noteを始めた当初から、記事を書いては形を変えてきました。ひとつのことを続けるより、横道に逸れてまた戻る。そんな繰り返しの中で、不思議とインスピレーションが湧いてくることを、何度か経験してきました。

この記事を書くきっかけもまさにその延長線上でした。長編の執筆が煮詰まり、少し息苦しくなっていたところで、
おすもうナッツさんの記事
『相撲マニアック編と、近況と。(独り言雑記回)』でコメントをいくつか交換したことがきっかけで、

「すぐ手の届く非日常を旅として味わう」感覚を思い出したことがあり、ちょっとした息抜きのつもりで筆をとって……今回2回目の「大人のための絵本」を作ってみました。


🖋絵本に込めたもの

今回の絵本は、忙しい日常の中でも、すぐ近くにある小さな非日常を描いています。
隅田川の水上バスに乗るだけで、都会の景色は全く違って見えてくる。
ほんの数時間で、旅をしたような気持ちになれる。

「遠くに行かなくても、非日常はすぐそこにある」
そんな実感を、少しユーモラスに表現しました。

舞台は仕事に忙殺された人たちのオフィスから始まり、平日の街並み、橋巡り、やがて夕暮れの両国国技館へと続いていきます。
その中で、登場人物のBell noteは、『ちょっとした余白』と『思いがけない出会い』を見つけ、非日常の呼吸を取り戻していきます。

それでは、絵本「隅田川の平日マジック」をご覧ください。


高層ビルの一室。書類の山に囲まれた朝。
息をすることさえ重く感じる始まりでした。

机に向かって深く俯きました。
心はすでに、ここにはありませんでした。
ふと窓辺に目をやると、川を走る一隻の水上バス。
それは遠い自由のかけらのように見えました。

立ち上がる瞬間、胸の奥で何かがほどけました。
半日の自由、それだけで世界が変わると信じて。

空いた電車の窓から川沿いの景色が流れます。
心もまた、少しずつ流れ始めました。

平日の船着きデッキ。
観光地なのに、不思議なほど静けさに満ちていました。
ベルノートの手には小さなチケット。
わずか数枚の紙切れが、非日常の扉をひらきます。

空席だらけの広い船内。
窓際に腰掛けると、ゆったりとした時間が流れ始めました。

川面にきらめく光。
その揺らぎに、心まで揺れをゆだねられます。

大きな勝鬨橋が頭上を覆います。
歴史の重みをくぐり抜けるようでした。
連なる橋が、街を鮮やかに彩っていました。
川の旅は、色彩の旅でもありました。

高層ビルを見上げながら、川風を受けます。
同じ景色なのに、角度が変わるだけで別世界。
目を閉じると、川風がやさしく頬を撫でました。
忙しさの残響が、少しずつ遠のいていきます。

西の空がオレンジ色に染まります。
川面もまた、夕暮れを映しこんでいました。
遠くに国技館の屋根が見えてきました。
船は、物語の終着点に向かって進みます。

岸辺で誰かが手を振っていました。

そこにいたのは、思いがけない人たち。
満面の笑顔が、川辺を照らす光のようでした。

思わず大きく手を振り返します。
言葉より先に、心が動いていました。

夕日に染まる国技館。
静かに立つその姿は、今日の旅を締めくくる舞台のようでした。

日常と非日常のあいだに、確かにあったひととき。
それは明日への呼吸を取り戻す、静かな魔法でした。

🖋あとがき

ちょっとした息抜きのように生まれたこの絵本ですが、そこに込めた思いは決して「おまけ」ではありません。
「非日常」とは、わざわざ遠くへ旅に出なければ見つからないものではなく、日々の風景や小さな習慣の中に、ふと顔を出すものだと私は思っています。

そして私の創作コンセプト「非日常のキリトリ線」も、冷静に振り返れば「長くひとつのことを続けるのが苦手」という自分の弱さから生まれたのかもしれません。物事に向き合いきれず、横道へ逸れてしまう――その行き来の中で、ふと形になる。その繰り返しが、今の私の姿なのかもしれません。この絵本もまた、そのひとつ。

忙しい毎日の中で、ほんのひとときでも、あなた自身の“非日常のキリトリ線”を見つけていただけたなら、それが何よりの喜びです。

最後に
今回の絵本には、先日両国を訪れたおすもうナッツさんにも、ささやかにご登場いただきました。遊び心として受け取っていただければ幸いです。


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