調査報告書を読んで② 根拠のない盲目的な信頼について
【お詫び】
昨日8月7日にお知らせした「辺野古転覆事件の全容解明と再発防止を求める会」のお問い合わせフォームに不具合があり、8月7日20:30から8月8日11:30までの間にいただいたお問い合わせを、受信できていませんでした。現在は復旧しています。
せっかく思いを寄せて送ってくださったメッセージを、受け取ることができていなかったこと、本当に申し訳なく思っています。該当の時間帯に送ってくださった方は、重ねてのお手数をおかけしてしまいますが、もう一度お送りいただけないでしょうか。必ず拝読いたします。
学校法人同志社の特別調査委員会による調査報告書について、私が考えたことを3回に分けて書いています。
2回目は、この報告書が、最後まで解けなかった問いについてです。
1回目記事: https://note.com/beloved_tomoka/n/na6ae86916d89
報告書は、学校が船長にすべてを委ねた理由を、こう表現しています。
「根拠のない盲目的な信頼」
そして、その信頼がなぜ生まれたのかについて、教員たちへの聴き取りを重ねた上で、こう結論づけています。
牧師であることや平和活動に従事する人との印象を基礎とする漠然としたものとしかいいようがなく、何らかの客観的ないし合理的な根拠は見出せなかった
牧師である。平和活動に従事している。 確かめられたのは、印象と属性だけだというのです。 なぜ信じたのかは、調査委員会にも、分からなかったのです。
私はこの認定を、そのまま受け取ることができずにいます。
本当に、何も知らなかったのだろうか。「信じていた」という言葉は、事故の後から振り返ったとき、いちばん都合のよい説明になってはいないだろうか。
その解明は捜査に委ね、ここから先は、報告書の内容を前提に進めます。
「信頼」を疑う機会は、何度も、目の前にあった
船長には、著書があります。
『沖縄・辺野古の抗議船「不屈」からの便り』(2019年)
この本は、学校の図書館にも所蔵されていました。船長本人からの寄贈品だったと聞いています。(現在は、蔵書リストからは外れているようです。)
「抗議船」とタイトルにあり、寄贈を受けた学校は、少なくともこの本の存在と題名を知っていたはずです。
その著書の内容にも報告書は触れています。
(報告書では船長は「c1氏」と記号で表記されています)
辺野古の海は見ている分にはきれいですが、船を走らせるとなると本当に怖い海なのです。
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最も危険なのは暴力的な海上保安庁とのやりとりです。今までもけがを負わされたり失神させられた船長、追突されて大破した船、しまいには転覆させられた船まであります。
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ある日などは一日のうちに三回海上保安官に乗り込まれました。
三回のうち二回は眼鏡を飛ばされ、一回はあおむけに押し倒されてその上に馬乗りになられてしまいました。そんな状況を心配したカヌーメンバーとフェイスブックでやりとりをしたものを紹介します。
《Hさん》c1さーん、昨日はほんっとうにお疲れさまでした。身体大丈夫でしたか?不屈がガンガン爆走しているのをしっかり見ました♪笑 あの船に乗ったらヤバい!さすが、c1さん!笑 と思ってみてましたー。
《c1》はい、けがはありませんでした。あの波風の中で一日船を操縦したせいなのか、海保と密着ダンスをしたせいなのか、筋肉痛&腰が痛いです。「ヤバい」は「すごくいい!最高!」のほうのヤバいですよね笑
事故の1年前、研修旅行の開会礼拝の壇上で、船長本人が、生徒と教員を前にこう語っています。
けれど危険な場面もあります。実際に仲間の船長が抗議活動にいって海で亡くなっています。海では実に簡単に人が死ぬ。ごく身近に見聞きしています。海に出て心がけることは生きて帰ってくることなんですね。大げさに聞こえるかもしれませんが、事故が起こってアッという間に人が死ぬことがあります。
そして、今年。
「ここから入ったら法令違反で逮捕する」と線引きされているんです。私たちはあえてそこを越えて入っていって抗議します。
だから当然、陸では警察の機動隊に、海では海上保安庁に拘束されます。でも、逮捕にまでは至らず、拘束されて遠くまで連れて行かれ、安全なところまで行ったら解放される。これを連日繰り返しているんです。
その2日後に生徒が乗る船の船長が、そう語っていたのです。疑い、確かめ、立ち止まる時間は、まだ2日ありました。
信じたとする理由は、印象という漠然としたもの。
疑う理由は、もっと明確に、繰り返し提示されていました。
それでも、疑いが会議の場に出されたことは、一度もなかったといいます。
委員会は、この「なぜ」に、組織の面から答えようとしています。他人任せの連鎖。長く続くものに意見を言いにくい雰囲気。教員がほとんど異動しない、閉じた組織。
それでも、最後まで残るのです。
なぜ、誰一人、声を上げなかったのか。 委員会の答えは、突き詰めれば「分からない」でした。
答えは教員の中に
私は、ここからは学校側の仕事だと思っています。
この「なぜ」の答えを、分かる人たちがいます。教員一人ひとりです。
なぜ信頼していたのですか。
信頼していたのではなく、考えたことがなかったのですか。
おかしいと思った瞬間は、本当に、一度もなかったのですか。
もしあったのなら、なぜ、言わなかったのですか。
言えなかったのだとしたら、何が、そうさせたのですか。
これは、処罰のための問いではありません。
特別調査委員会が調べても「分からない」で終わったものの答えは、一人ひとりの正直な告白の中にあるはずです。それを積み上げて、自分たちの言葉で原因を見出さない限り、組織の形をいくら変えても、次の「盲目的な信頼」が、またどこかで生まれます。
報告書は、「分からない」と言いました。
分かるまで問い続けることは、学校にしかできません。
それが行われたとき、初めて、再発防止という言葉に中身が宿るのだと思います。
次回の記事は、この「なぜ」の答えにつながっているかもしれない、報告書が「調べなかったこと」について書きます。
【お知らせ】
このたび、「辺野古転覆事件の全容解明と再発防止を求める会」を設立しました。
事故の全容解明と責任の所在の明確化、そして再発防止の実現には、長い時間と、専門家の力が必要です。個人としての発信に加えて、継続的に活動していくための組織として、会を立ち上げました。あわせて、活動資金のためのクラウドファンディングを立ち上げました。いただいた寄付金は会計規程に基づき適切に管理し、収支概要は当ホームページおよびnote等で定期的に公開します。
▶︎ 会の概要・設立の経緯・寄付金口座について:https://belovedtomoka.jp
▶︎ クラウドファンディングはこちら:
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