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冬の空気の中、孤独がゆっくりカタチを変える時

冬の光の下で、胸の奥の静かな場所がじんわりと温まっていく
そんな“心の温度の変化”をそっと映し出す物語
『ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ』


冷たさを帯びた聖歌の響きとともに、三人の孤独がそっと寄り添っている。
理解し合おうと無理に踏み込むわけでもなく、劇的な変化が起こるわけでもない。
それなのに、同じ食堂で同じ湯気に包まれているだけで、心の隅がすこしずつ緩んでいく。

やわらかいピアノの旋律が流れ始める頃、ポールの固く閉じた日々は、アンガスの痛みとぶつかったことで軌道をゆっくり変えていく。
メアリーの深い喪失も、ふたりと過ごす時間の中で、ほつれ目を見つけるようにほどけていった。

チェリージュビリーの炎がふわりと立ち上がる瞬間、三人の表情にあたたかい影が落ちる。
同じ甘さと香りを分け合って、少しだけ世界の輪郭が変わっていく。
孤独が消えるわけじゃないけれど、“安心して帰れる場所”の気配を感じた時間だった。

“過去が人生を決めるわけじゃない”
大きく曲がれなくていい。
人生には、まだ小さな曲がり角が残っている。
そこに進む勇気を、この作品が静かに照らしてくれた。

軽やかなリズムが刻まれ、三人の心の温度がそっと動いていく。
ほんの少し先で待っている、雪解けの季節に向かって。


【作品紹介】
作品名:ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
監督:アレクサンダー・ペイン
公開年:2023年
あらすじ:
冬休み、寄宿学校に残された三人。
行き場をなくした怒りも、笑えない思い出も、
寒い日々の中で少しずつ形を変えていく。
同じテーブルを囲む時間が、
やがて彼らの未来の向きをそっと変えていった。


今日もまた、映画の音と暮らしの音のあいだで、
静かな余韻に耳をすませている。



〈シネマシリーズ〉第一回目『映画に恋した日』はこちらから❄︎

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シネマと音のあいだで 眩しい光と音のあいだで、心が少し和らぐような映画を。 今日も静かな余韻を分かち合えたら嬉しいです。