戦略とは『断捨離』だ
想定事業の課題分析と戦略づくり【第3回】
戦略とは『断捨離』だ
前回まで、事業の課題を正しく把握し、分析するためには視点の転換が重要だと述べた。今回は、その分析結果を具体的な「戦略」として落とし込む方法について考えてみよう。
世の中にはさまざまな戦略論が溢れているが、突き詰めて考えると、戦略の本質とは「何をやるか」よりもむしろ「何をやらないか」にあると言える。
これは意外に感じるかもしれない。多くの企業は、何か新しいことを始めたり、新しい市場に手を出すことで成長しようと考える。確かにそれ自体は間違っていないが、本当に効果的な戦略とは「不要なものを徹底的に削ぎ落とすこと」によって生まれる。
例えば、アップルは多くの製品ラインを持つ企業だったが、スティーブ・ジョブズが復帰して最初に行ったことは、多くの製品ラインを整理し、本当に価値のある少数の製品に集中することだった。その結果がiPhoneやMacなどの世界的ヒットである。
企業が課題分析をした結果、ありがちなのが「あれもこれもやろう」と手を広げることだ。
しかし、資源は無限ではない。何でもやろうとすることは、結局何もできないことと同じだ。戦略の真髄は「リソースの集中」にあり、そのためには明確な優先順位をつけ、選択と集中を徹底する必要がある。
では、「捨てる」ためには何が必要だろうか。
それは勇気であり、覚悟である。事業を減らす、製品を廃止する、市場から撤退する、これらの決断は簡単ではない。しかし、その痛みを伴う決断こそが、組織に真の成長をもたらす。
もう一つ重要なのは、「何を捨てるか」の判断基準だ。その基準を明確にするためには、「自社の強みは何か」「競合が真似できない独自の価値は何か」という問いを自問する必要がある。
競争優位性がある分野に資源を集中させ、他の分野からは勇気を持って撤退する。これが最もシンプルで最も効果的な戦略の本質である。
ビジネスにおける「捨てる」ことは、個人の生活においても同じことが言える。身の回りを整理し、本当に大切なものだけを残すことで、より豊かな人生を送ることができるのと同じだ。
次回の最終回では、これまでの内容をまとめながら、実際に戦略を運用するための「行動計画」の作り方について解説したい。
戦略は実行して初めて意味がある。机上の空論で終わらせないために必要なステップを具体的に示そう。
