課題分析の本質は『視点の転換』だ
想定事業の課題分析と戦略づくり【第2回】
課題分析の本質は『視点の転換』にある
前回のコラムで、事業が課題を見誤る理由について触れた。今回は、その課題をどう分析するか、つまり正しい視点をどう持つべきかについて考えてみたい。
事業の現場では、データを活用し「分析」を行うことが推奨されている。だが、実際には、膨大なデータの山に埋もれ、本質を見失うことも少なくない。分析は本来、事業の課題を明確にし、次の行動を決めるためのものであるはずなのに、なぜそんな皮肉なことが起こるのか。
答えは簡単だ。分析を「目的」にしてしまい、本来の「課題解決」という目的がどこかへ消えてしまうからだ。これはまるで、地図をじっと眺めること自体が旅の目的になってしまい、実際に旅に出ることを忘れるようなものだ。
データや数字を使うと、それだけで何となく説得力があるように感じてしまう。確かにデータは重要だが、それ自体が課題を解決してくれるわけではない。大切なのは、そのデータから何を読み取り、どのような「視点」を持って分析するかということだ。
視点の転換とは具体的にどういうことか。
一例を挙げよう。
あるレストランチェーンが売上低下に悩んでいたとする。普通は売上の数字を詳細に調べ、客数や客単価に注目するだろう。しかし、視点を変えて「お客はなぜ他の店ではなくうちの店を選ぶのか?」を考えてみると、まったく違った世界が見えてくる。
その店は家族連れが多かった。だが、最近は単身世帯やカップル向けの店舗が増えていた。つまり、そもそも市場が変化し、自分たちが狙っていた客層そのものが減少していたのだ。売上が落ちた理由は単純に「顧客の変化に対応できていなかった」だけだった。
分析をするときには、「なぜ起こったか」を探るだけでは不十分で、「なぜ起こらなかったか」「他の可能性はなかったか」という問いかけが必要になる。視点を変えるとは、このように問いそのものを変えることなのだ。
ビジネス書やセミナーでは、やたらと複雑な分析手法がもてはやされることが多い。だが、本当に役立つのは、「正しい問い」を立てることができる人だ。適切な問いがあれば、分析自体はシンプルでも効果的な結果が得られる。
戦略的な分析とは、ただデータを細かく切り刻むことではなく、課題の本質を掴むための問いを見つける行為に他ならない。
さて、次回はこの分析から得られた課題をどう具体的な戦略に落とし込むか、その具体的な方法について掘り下げていこう。視点を変えることこそが、正しい戦略への最短ルートなのだから。
