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自閉症の疑いを感じたとき、親が考えるべき10のこと――そらの家がアメリカで最初に教わった「前提」

※この記事は、医療的・専門的な助言を目的としたものではありません。
本記事は、自閉症の疑いを感じた子を育てる一人の親として、
アメリカで専門家から実際に示された考え方・方針・前提を、親の視点で整理し直したものです。診断や治療に関する最終的な判断は、必ず医療・教育の専門家にご相談ください。

はじめに|診断よりも先に、親が突き当たる壁

「もしかして、自閉症かもしれない」

そう感じたあと、私たち家族が一番困ったのは、
診断そのものではありませんでした。

検査を受け、診断名がついたとしても、
その先に

  • 何をすればいいのか

  • どこに、誰に相談すればいいのか

  • どんな治療方針があるのか

が、はっきりと示されない。

これは、日本で自閉症の疑いを感じた多くの親が、
最初に直面する現実ではないでしょうか。

私もその一人の親でした。

そんなとき、私たちは義母の紹介を通じて、
一人の教育者に出会いました。

今回は、アメリカで出会った教育者
スーザン・ムラカミ氏(仮名)から教えてもらった、
「自閉症の疑いを感じたら、まず親が考えるべき10のこと」を
ご紹介していきたいと思います。


1. アメリカで出会った教育者 スーザン・ムラカミ氏

私たちが話を聞いたのは、
南カリフォルニア州で、幼稚園から小学3年生までが通う学校を運営している
教育者、スーザン・ムラカミ氏(仮名) です。

スーザン先生は、
ABA療育(応用行動分析)で有名な
イヴァ・ロヴァース博士 の指導を、
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)で
直接受けた経験を持つ教育者でした。

結論からお伝えすると、
そらの家は、現在ABA療育を行っていますが、
ロヴァース法そのものを最終的に採用したわけではありません

しかし、スーザン先生から最初に教わった内容は、
ABA療育を具体的に「どう実施するか」という話ではなく、

​​自閉症の疑いを感じたとき、

  • 親は何を理解し

  • どの順番で考え、

  • どのように子どもをサポートしていくべきか

という、全体像でした。

この「前提としての全体像」は、
私たちが帰国後、日本で専門家や療育先を探す際に、
非常に大きな指針となりました。

そのため、本記事では、
一人の親の立場から、できるだけ分かりやすく整理して共有していきます。

重要: この記事でお伝えしたいこと

この記事では、
自閉症の疑いを感じたとき
診断前、あるいは診断直後の段階で、

  • 親が何から考え

  • どう行動の順番を整理すべきか

について、
スーザン先生が前提として示した10の考え方をまとめています。

なお、ここで紹介する内容は、
スーザン先生の拠点である
アメリカ・南カリフォルニア州の制度や考え方をベースにしています。

アメリカは州ごとに、
法律・制度・教育・福祉サービスが大きく異なるため、
ここに書く内容がすべての州、すべての国に当てはまるわけではありません。

あくまで、
「一人の専門家が、こうした前提で話を進めていた」
という事実を、
一人の親の立場で整理した記録として読んでいただければ幸いです。

2. 自閉症の疑いを感じたとき、親が考えるべき10のこと

【その1】 自閉症の子供の発達を促すために、効果的な介入方法が存在するという前提を知る

スーザン先生が、最初にはっきりと示した前提は、
「自閉症の子どもの発達を促すために、効果的な介入方法が存在する」 
ということでした。

カリフォルニア州では、
ABA(応用行動分析)療育が、
自閉症の子どもに対して、行動改善を目的とした介入として
明確に位置づけられています。

そのため、
自閉症と診断される前の、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれる段階であっても、
子どもの発達を促すことを目的に、
専門家による介入が始まることは珍しくありません。

【その2】自閉症の治療は、早期発見・早期介入が原則である

幼少期にABA療育を開始した子どもほど、
その後の知的・教育的な到達点において、
より高い成果が認められたという
ロヴァース博士の研究結果を背景に、
カリフォルニア州では、
「自閉症の治療は、早期発見・早期介入が原則である」
という認識が定着しています。

幼少期に診断がつくことで、
子どもの発達段階に合った
適切な量の介入と、効果的な支援につながる制度を
早い段階から利用できるようになる。

これは、スーザン先生が前提として、
最も強調していた重要なポイントのひとつでした。

【その3】ABAを専門としたプロ集団(エージェンシー)が存在する

カリフォルニア州では、
ABA療育は個人の裁量や家庭の努力に委ねられるものではなく、
ABAを専門としたプロフェッショナル集団(エージェンシー)が介入を担う
という前提があります。

これらのエージェンシーは、
専門的な訓練と経験を積んだセラピストによって、
介入計画が設計・管理され、
責任をもって実行される仕組みを持っています。

そのため、高密度のABA療育が必要な場合でも、
親が中心となって療育を進めることは一般的ではありません。

【その4】ABA療育は、自宅での1対1指導が基本形である

スーザン先生は、
ABA療育では、
子どもにとって自然で安心できる環境の中で、
その子に合わせた介入を行うことが前提である
と説明しました。

そのため、
ABA療育は基本的に、
自宅で、セラピストと子どもが1対1で行われる形が基本になる
と教えられました。

【その5】療育と同時に、保育園・幼稚園に通う

スーザン先生は、
療育によって一定のスキルや集団性が身についた段階になったら、
セラピーと並行して、
通常の子どもたちが通う保育園や幼稚園といった
集団生活の場に身を置くことが、
子どもの成長を促すうえで非常に重要である、
と説明してくれました。

【その6】集団生活に慣れるための「シャドー」という支援の形がある

スーザン先生は、
療育で身につけたスキルを集団生活の場で実践するための支援として、
「シャドー」と呼ばれる仕組みがあると教えてくれました。

シャドーは、
子どもが集団の中で自立していくことを目的とした支援であり、
長期的に付き添い、身の回りの世話を続けるためのものではありません。

【その7】学校(園)と療育は、連携して子どもをサポートするべきである

スーザン先生は、
子どもが集団生活の中で支援を必要とする場合には、

  • 学校ではシャドーをつけ、

  • 不足しているスキルは療育で補い

  • 学んだスキルを実践する場として学校(園)を使う

という考え方を示していました。

このような支援を可能にするためには、
療育と教育を切り離すのではなく、
両者が同じ方向を向き、連携させることが不可欠である
と教えてくれました。

【その8】自閉症だからといって、バイリンガルが不可能というわけではない

この点については、すでに別記事でも詳しく紹介しています。

自閉症の疑いを感じていた当時、
日本の発達支援に関わる専門家や教育者から、
「バイリンガル環境は、子どもの発達に悪影響を与える」
という説明を受けることが何度もありました。

この日本の専門家の主張に対してスーザン先生は、
自閉症だからといって、バイリンガルが不可能になるわけではない
とはっきりと伝えてくれました。

その前提として示されたのが、
One Person, One Language の原則です。
一人の大人が一つの言語を一貫して使うことで、
子どもにとって分かりやすい言語環境を整えることができる。
このように環境を整理してあげれば、
バイリンガルであること自体が問題になるわけではない
という説明でした。

【その9】自閉症の軽度・中度・重度という診断上の分類に、親が振り回される必要はない

スーザン先生は、
自閉症の軽度・中度・重度といった診断上の分類に、
親がいちいち振り回される必要はない
と教えてくれました。

大切なのはラベルそのものではなく、
その子に対して、
どれだけ適切な量と質の療育が行われているかです。

【その10】まずは「子どものための治療チーム」を作る

スーザン先生が、
これまでの話を踏まえて最後に伝えてくれたのは、
「まずは、子どものための治療チームを作ること」でした。

その第一歩として、
信頼できる専門医を探し、きちんと診断を受けること。

次に、
子どもの行動やスキルの改善を目的に、
専門的な視点で介入してくれるABAの専門家を探すこと。

そして、
子どもの成長を一緒に喜び、
療育と同じ方向を向いて関わってくれる、
情熱のある学校(園)の先生と出会うこと。

「自閉症」という難問に対し、一人で抱え込むのではなく、
専門家と教育現場が連携した「チーム」として、
子どもを支えていくこと。

そして何より、
そのチームをまとめ、
方向を決めていく役割を担うのは、家族であるべきだということ。
決して簡単な道のりではない、
しかし決して子どもの成長を諦めず、
でも無理をしすぎず、
子どもの成長を長い目で支え続けていくこと。

これが何より大事であると、そらの家は教わりました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
今回は、
自閉症の疑いを感じたときに
スーザン先生が前提として示した10の考え方を、
全体像としてまとめました。

次回からは、
これら10項目を一つずつ取り上げ、
親が実際にどう判断し、どう行動につなげたのかを
具体的に書いていきます。

「既に知ってるよ」、という方も
まだ進む道がわからず悩んでいる方も、
色々な方がいらっしゃると思いますが、
自分なりの判断をするための
参考資料の一つとして捉えていただけたら嬉しいです。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。


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