ICF(国際コーチング連盟)の倫理規定は何がどう変わったのか?
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
今回はこちらの記事の続きです。
前回はICF(国際コーチング連盟)の倫理規定の変更に伴い、まずはコーチングの定義の変更について書きました。
今回はそもそも、今回、何がどのように変わったのか、という全体像を示してみたいと思います。細かい変更部分については、それぞれまた別記事で展開したいと思っています。
まず構成から見ていきます。
変更前の構成はこちら
Introduction(前書き)
Key Definitions(主要な定義)
ICF Core Values & Ethical Principles (ICF のコア・バリューと倫理原則)
Ethical Standards(倫理基準)
Pledge(誓約)
そして変更後の構成はこちら
Purpose(目的)
ICF Core Values and Ethical Principles(ICF のコア・バリューと倫理原則)
Commitments for All within the ICF Ecosystem(ICFエコシステムにおけるすべての人のためのコミットメント)
Ethical Standards for ICF Professionals(倫理基準とICFプロフェッショナル)
The Pledge of Ethics(倫理誓約)
APPENDIX(付録)
Key Definitions of Terms used ㏌ the CODE(規定で使用される用語の主な定義)
Glossary of other Terms(その他の用語集)
見比べてみると、前のものが定義が最初にあり、統一見解を大事にしていたものが、かなりかっちりとした文書になったという印象です。
実はコア・バリューは前回の改訂の後、マイナーチェンジで入ってきまして、それでこのような形になりました。今回の構成の変更もその流れであるように思います。
つまりは、単にコーチングをしている際に気をつけなければならないこと、から、コーチという職業の人間、あるいはこの業界に関わる人間が、普段から気をつけているべきこと、というように、倫理が包含する内容が拡大している、という風に読めます。
その象徴的なものが、Commitments for All within the ICF Ecosystem(ICFエコシステムにおけるすべての人のためのコミットメント)という新しいパートです。
ICFエコシステムというのは、これは目的にも用語集にも書かれていますが、現在のICFが6つのファミリー組織で構成されていることを言っています。その6つの組織とは、以下の通りです。
ICF Professional Coaches:プロフェッショナル
ICF Credentials and Standards:資格と基準
ICF Coaching Education:教育
ICF Foundation:財団
ICF Coaching in Organizations:組織におけるコーチング
ICF Thought Leadership Institute:リーダーシップ研究
ICF本部サイトでも紹介されています。
ただ、ここで書かれていることは、実はあまり読者には関係がなく、このことは、プロコーチであるかどうかに関わらず、ICFに関わる人が増えていることを意味しています。
そもそも、個人的な意見では、これは都市伝説業界が言うところの怪しげな秘密結社モデルだなーと思っていますが、秘密結社というのはフリーメーソンもそうですが、もともとは職業ギルド。ICFはまさに業界団体ですから、同じモデルになっていくのは当然ではないかという気もします。
ICFというのは本気でコーチングの普及を通じて世界を変えていこうとしている団体、というわけです。ということで、マフィアの鉄の掟ではないですが、ちゃんと守るべきルールを定めた、ということです。
この流れかと思いますが、ICF Core Values and Ethical Principles(ICF のコア・バリューと倫理原則)もかなり文章量が増えています。
ただ、これは前の倫理規定から明確に表現されたことですが、こういうルールを定めるのは、人を縛り付けるため、ではないのが、このICFの倫理規定の特徴です。前回の倫理規定では下記のように表現されていました。
The challenge of working ethically means that members will inevitably encounter situations that require responses to unexpected issues, resolution of dilemmas and solutions to problems. This Code of Ethics is intended to assist those persons subject to the Code by directing them to the variety of ethical factors that may need to be taken into consideration and helping to identify alternative ways of approaching ethical behavior. ICF Professionals who accept the Code of Ethics strive to be ethical, even when doing so involves making difficult decisions or acting courageously.
倫理的にあろうとすれば、予期せぬ問題への対応、ジレンマの解消や問題の解決を必要とする状況に、否応無しに遭遇することになります。この倫理規定は、倫理規範を遵守しようとする者に対して、考慮すべき様々な倫理的要因に目を向け、倫理的に振る舞うための選択肢を見出せるよう支援することを目的としています。倫理規定を受け入れる ICF プロフェッショナルは、たとえ困難な決定を下したり、勇気を持って行動したりする場合においても、倫理的であるよう努めます。
今回のものでは、下記のように表現されています。
This Code of Ethics is intended to assist those persons subject to the Code by directing them to the ethical factors, values, and principles that need to be taken into consideration whenever they need to engage in ethical reasoning and ethical decision-making. The ICF Code of Ethics applies when people represent themselves as belonging within the ICF ecosystem and/or ICF professionals in their professional interactions. The challenge of working ethically means that those within the ICF ecosystem will inevitably encounter situations that require responses to unexpected issues, resolution of dilemmas, and solutions to problems. People within the ICF ecosystem strive to be ethical, even when doing so involves acting courageously and making difficult decisions that uphold the “DO GOOD” principle when it comes to their stakeholders.
この倫理規定は、倫理的な推論や倫理的な意思決定が必要なときに考慮すべき倫理的要素、価値観、原則を示すことで、規定の対象となる人々を支援することを意図しています。ICF倫理規定は、ICFのエコシステムおよび/またはICFの専門家として、専門的なやり取りをする際に適用されます。倫理的に仕事をするということは、ICFのエコシステムに属する人々が、予期せぬ問題への対応、ジレンマの解決、問題の解決を必要とする状況に遭遇することが避けられないことを意味します。ICFのエコシステム内の人々は、たとえそうすることが、勇気を持って行動し、ステークホルダーに対して「善を成す」の原則を守るために難しい決断を下すことを伴う場合であっても、倫理的であろうと努力します。
つまり、倫理的であろう、善を成そうとすれば、必ず予期せぬ問題やジレンマに当たる、と考えており、その際の拠り所になるものです、と言っています。決して、日本の学校の校則のように、人を縛り付けて自由を奪うことを意図しているものではないのです。
ICFエコシステムの概念に基づき、Key Definitions(主要な定義)の数もどんどん増えてしまいました。そこで、今回の改訂では、APPENDIX(付録)にしたと考えられます。これは日本の法律でもよくある「附則」というもので、本来は施行日などを記載するところですが、時代の流れとともにどんどん変化していく項目を記載する場所になっています。なので、倫理規定の5年後の改訂を待たずして、ここにはどんどん新しい言葉も付け加わってくるのかもしれないな、と思っています。
さて、長くなりましたので全体像についてはここまでとします。ここから先はマニアックな内容になりますので、詳しい内容の解説に興味のある方だけが御覧になれるような記事をいくつかに分けて、アップしていきたいと思っています。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。
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