非営利組織に関する日本の研究者は何を研究しているのか?(前篇)
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
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noteのできるだけ毎日更新を実践しています。現在の曜日ごとのテーマはこちら。わかりにくいですが、今日は月曜なので、「【月】社会と組織を読み解く日:非営利組織の経営(連載)/社会学/ドラッカー/政策」となります。
大学で「非営利組織の経営」を教えている関係で、まさにこの分野での先行研究を調べていて、下記の記事では、書籍からいろいろ探ってみました。
いずれは大学のテキスト的なものも出したいと思っていて、過去にAIにも相談したことがあります。
で、最近、そういえば、と思ったのですが、この関連の学会というのも日本には存在しているはずで、どういう学会で、どのような研究が行われているのだろうか、ということが気になってきました。
日本には様々な学会があって、その学会の成立経緯というのもかなり大事で、その学会の組織文化を決めています。例えば、一時期、名前だけ有名になりました「日本学術会議」の「協力学術研究団体」というのがあります。これは会員数や論文数、会員の中の研究者数などいくつかの条件を満たすことで認められる学会で、まあ、言ってみればレガシーな団体だと言えます。
下記の記事で、日本のアカデミズムの界の問題について書きましたが、実際に2025年6月11日に日本学術会議法が成立し、日本学術会議は、令和8年10月1日に法人へ移行することとなりました。
「日本学術会議の法人化について」は、下記にリリースされています。
この件は賛否両論あるのですが、要は「中立性を持たせるために管理統制します」のような話になっていて、「類似するようなミッションを持つ組織も多いことから、一旦、切り離す」という話のようです。ただ、下記のような話も出ていて、「人文・社会科学分野を切り捨てて理系分野に注力を」とする国の方針に逆らったから、という話もあります。
個人的には、シン・ゴジラの例を見てもそうですが、官主導でイノベーションが起こったことはなく、むしろ新しいアイデアを潰す方向に官主導は働きがちですから、国のカネで学術を支えるのではなく、国民のカネで支えるように、という前記事の主張を持っているのですが、こちらのQ&Aにいろいろ反論もあって、この話は根深いので他記事で書くかもしれません。ちなみに学会ですが、日本学術会議のリストを見ていますと、「〇〇学」会、というのと、「〇〇」学会というのが意外に混在しているんだなぁ、とも思ってこちらも不思議な気持ちになりましたが、このあたりもどこかで深堀りしたいと思います。
前置きが長くなりましたが、というわけで、日本学術会議のリストから関連しそうな学会を探してみましたが、下記がひっかかってきました。
公益社団法人 非営利法人研究学会
学会で公益社団法人なのは珍しいですね。1997年 6 月に「公益法人研究学会」として、任意団体として創設されています。学術研究領域に「経営学」、設立趣旨に「本会は、非営利法人及び関連学術分野に関する諸問題を研究し、その研究成果の普及に努め、併せて会員相互及び内外の関連学会との連携協力を行うことにより、もって社会の発展に寄与することを目的とする。」とあります。経営学、とはありますが、実際にHPで研究内容を見てみますと財務系・会計系の研究が多いのかな?という印象です。
ちなみにこちらは全部載っているようではなく、紙の学会誌がメインのように見えます。12号から「特集」が組まれているようです。
どんな人がどんな研究をしているのか、というのは次回、後半の記事で見ていく予定です。
ということで、ひとつしか見つかりませんでしたので、普通に思いついた言葉をネットで検索してみます。以下からは日本学術会議のリストにはなかった学会です。
日本NPO学会
設立の経緯にこうあります。
1995年の阪神・淡路大震災を契機に日本でもNPOの役割が注目され、「NPO研究フォーラム」などの小規模な研究ネットワークが組織されるとともに、NPO法制定に向けた準備が、研究者、実務家、各政党によって進められた。こうしたなかで、NPOに関する本格的な全国学会を創設しようという機運が盛り上がり、1999年3月20日に、「NPO、NGO、ボランティア、フィランソロピーなど、民間非営利活動に関する研究および活動成果の発表と交流、教育の普及を行い、もって社会に貢献すること」(会則第2条)を目的として、日本NPO学会が設立された。初代会長は林雄二郎(日本フィランソロピー協会会長)、副会長は本間正明(当時、大阪大学院教授・経済財政諮問会議議員)。
上に「「〇〇学」会、というのと、「〇〇」学会というのが意外に混在している」と書きましたが、そういう意味では、こちらの学会は、「〇〇」学会のタイプのようです。日本NPO学、という学問分野があるわけではなさそうです。
学術誌は『ノンプロフィット・レビュー』(The Nonprofit Review)というようです。J-STAGEで全文読めそうです。
国際ボランティア学会
HPを見ると、いきなり「ボランティアに関わる研究者・実践者たちの交流の場」とあります。交流ってどういうこと?と思いつつ、設立趣意書からの引用が載っていますので、こちらを引用します。
国際ボランティア学会はボランティアに関わる研究者・実践者たちの交流の場として1999年に設立されました。
日本の市民は震災を契機にボランティアへの理解・関心を広げ、さらにそれが世界的な文脈で地球や人類の利益に関わっていることを認識するようになっています。また、政府、行政、企業もまたボランティアへの関心を持ち始めている今、学問研究分野も積極的なかかわりが期待されているといえます。ボランティアに関連する学問は大きな広がりの中で研究が進められ、かつそれらが有機的に結び付けられる必要があります。(設立趣意書より)
「ボランティアに関連する学問」とありますので、当初はやはり研究をメインとして設立されたのでしょうか? 会長の言葉に「国際ボランティア学」という言葉もあります。学会誌は『ボランティア学研究』だそうです。
「1号から15号は「国立国会図書館デジタルコレクション」にて無償で閲覧できる他、11号以降は国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営する「科学技術情報発信・流通総合システム」(J-STAGE)で無償で公開しています。なお、最新号は会員向けにのみ提供しております。」とあり、最新号以外は読めそうです。
以上ですが、ちなみに、調べたけど意外に存在しなかったという無かった学会は下記になります。
寄付学会(無し)
なんか、いの一番に思いつきそうな学会ですが、意外に無かったのですね。日本寄付学会とか。ちなみに今年、寄付白書も出ていたので発行者を調べてみたら、「寄付白書発行研究会」となっていました。
この「寄付白書発行研究会」も調べてみたのですが、実体はないようです。出版業界にはよくある話なのですが、例えば、私が大学時代のアルバイトでライターをしていた際、下記の本を同じ文芸サークルの後輩と一緒に書いたのですが、その際の著者名は「ニヴルヘイムお助け商会」でしたが、もちろん、存在してません。(どうでもいい話。)
ファンドレイジング学会(無し)
これもないんですね。「ファンドレイジング学」というのはアメリカあたりにありそうですが、日本では無いようです。Googleの検索結果でこちらの記事と、こちらの記事を元にしたまとめをGeminiがしてくれました。
海外の大学でファンドレイジング(資金調達)について学べるプログラムは主にアメリカに多く存在します。特に、非営利組織の運営やマネジメントの一環として、大学院レベルで専門的に提供されています。
主な海外大学・プログラムの例
・インディアナ大学 (Indiana University) ファンドレイジング・スクール:ファンドレイジング学を専門とする世界的に知られた独立したスクール(学部)を擁しており、この分野の権威とされています。
・コロンビア大学 (Columbia University):ファンドレイジング経営修士コース(Master's program in Fundraising Management)を設置しており、ファンドレイジングの技法、法的側面、マーケティングなどを専門的に学ぶことができます。
・その他のアメリカの大学院:アメリカでは、NPOマネジメントや非営利セクター研究の修士課程(Master's in Nonprofit Management / Philanthropy)の中で、ファンドレイジングを専門分野として深く学べるプログラムが多く存在します。
ソーシャルセクター学会(無し)
こちらも存在しておらず、ソーシャル・ファイナンス研究会というものならありました。こちらは、ソーシャル・イノベーション・フォーラムという小林立明さんが主宰する会の研究会部門という位置づけでしょうか?
小林立明先生のリサーチマップはこちら。学位に「修士(ペンシルヴァニア大学非営利指導者育成修士課程)」とあって、アメリカにはそういう修士課程があるんだなー、さすがだなーと思ったりしました。その概要を同じく小林先生が書かれていた記事もこちらにありました。ただ、プログラムのリンクは切れているようでしたので、調べたところ、こちらが元サイトかと思います。ペンシルヴァニア大学の SCHOOL OF SOCIAL POLICY & PRACTICEということで、「社会政策・実践学部」でしょうか? MASTER OF SCIENCE INNONPROFIT LEADERSHIP というプログラムもあり、「非営利指導者育成修士課程」というのはこれかもしれません。
ということで、日本で存在している学会はありました。アメリカはいいなーと思いつつ、日本での研究内容については次回、後半で深掘りしていきたいと思います。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。
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