ほんとうの働き方改革とは何か?~企業内「人権研修」のススメ
「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。
御覧いただき、ありがとうございます。
金曜は経済とかお仕事とか、何かビジネスまわりの記事を投稿していきたいと思います。
以前の記事で、働き方改革がその手段と目的が入れ替わってしまったのがその成果がよくわからないままに終わってしまった原因、という話を書きました。
おそらく現状、ほぼ誰も覚えていないかもしれませんが、同一労働同一賃金を目指していたはずなのですが、非正規雇用によって経済が支えられている状況はまったく変わっておらず、ただ働き甲斐を奪っただけの政策だった気もします。
こちらの書籍では、日本の会社員が「やる気」を失った原因として、下記の4つを挙げています。
・「安い賃金の国」への転落
・「脅しの経営」の弊害(社員を追い詰める減点主義的な処遇)
・コストカッターの罪(人材が育たず競争力が損なわれる)
・「無駄な仕事」のまん延と自主性・成長機会を奪く「マイクロマネジメント」
その上で、そこから抜け出せる処方箋として、下記の3つを提言しています。
・社員に報い、社員に投資する
・社員を信じ、加点主義で評価する
・起業家タイプのイノベーターに活躍の場を
まあ、おっしゃっていることは、わからなくもありません。しかし、実際、本当に根本的な問題なのはそこではない、という気がします。
最近、フジテレビの第三者委員会の報告書について、下記のような記事を読みました。
この記事の内容について、間違っているとは思わないのですが、追加で指摘したいことがあります。
この記事の中で、「男性優位の同質性の高い構造が、トップダウンで人権意識の鈍さ(女性を接待要員として動員することが人権侵害リスクを高めることにつながることに関する問題意識の低さ)をもたらし、ハラスメントが容認されやすく信賞必罰が徹底されない企業風土を作り出している面は否めない。」とあります。
ここでちょっと気になるのは、「人権」という言葉の使われ方です。記事を読むと、あたかも女性の人権のみが侵害されている、という風に読めますが、実はフジテレビでは、男性のイケメンアナウンサーも女性の接待要員で駆り出されていた、という話もありました。
日本の会社組織において、人権意識の鈍さ、というのは女性に対してだけではなく、男性に対しても同じである、ということについて、この記事の執筆者が気づいているのかいないのか、そこが気になるところです。
結論から言いますと、本来、働き方改革で行わなければならなかったのは、この「人権」についての意識改革でした。
日本国憲法から引用してみます。
〔基本的人権〕
第十一条 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与へられる。
〔自由及び権利の保持義務と公共福祉性〕
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。
〔個人の尊重と公共の福祉〕
第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
〔平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界〕
第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
憲法レベルでは理解できても、これを現場に落とし込むとどういう解釈になるのでしょうか?
働く、仕事をする、ということについて、自由とか幸福追求というのはどういうことなのでしょうか?
たとえば、フジテレビの問題になっているアナウンサーの方は、「ここで断ったら干されるかもしれない」という恐怖があって断れなかった、という発言もしているようです。この感覚はおそらく組織で働いている人の中にはかなり理解できる感覚だとは思うのですが、しかし、この感覚こそが人権意識の欠如であるとも考えられます。
つまり、この発想は、「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」という日本国憲法の条文に反している、と考えられるのです。
十三条に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」とあります。タレントの誘いを断ることが「公共の福祉に反」しているでしょうか?
前にこちらの記事でも触れましたが、アメリカ独立宣言の流れを組む日本国憲法では、幸福追求権が明確に記載されています。
公共の福祉に反しないのは当たり前としても、我々は、自らの幸福を追求しなければならず、その権利は、「不断の努力によつて保持しなければならない」のです。逆を言えば、自らの幸福を追求することを妨げるような上司や会社の命令、あるいは遠回しな要求については、これを断ることこそが、憲法を遵守することになるのです。
メディアでは、最近の若者は、とか、Z世代が、とかいろいろ言われていますが、個人的には彼らの行動基準の方が、民主的で人権意識があるようにも感じます。どんな服を着ようが、どんな髪型にしようが、パソコンをグッズで飾ろうが、「公共の福祉に反しているわけではないので、自由に自己表現していいじゃないか!」とむしろ勇気を持って発言したいものです。
たとえば、世界人権宣言には、下記のような条文もあります。
第十九条
すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。
何か会社の中で不正なことが行われている、あまりよくないことをしている上司がいる。自分はそれについてダメだと思う。会社でそういう主張ができる人が、日本の会社にどれだけ居るでしょうか?
前の記事でも説明しましたように、働き方改革が必要な根拠として、「日本の会社が武家屋敷をモデルにして生まれた」ことが挙げられていました。
例えば、日本では美談として語られる忠臣蔵。そのリーダーとして扱われている大石内蔵助。彼はリーダーとして素晴らしいと思いますか?と尋ねられたら、あなたはどう答えるでしょうか?
もし、あなたの上司が大石内蔵助だったら、あなたは彼を素晴らしいリーダーだと思いますか?
大石内蔵助は、人権という観点から見れば、必ず自殺しなければならないようなプロジェクトに部下を巻き込んでいる時点でアウトです。(そもそも、敵討ちとはいえ、個人的な殺人は犯罪ですし、公共の福祉にも反しています。)
成果を挙げられるのなら、仮に人の命が犠牲になっても構わない。この発想は、神風特攻隊にもつながる危険思想だと思います。少なくとも人権思想的にはアウトかと思います。
組織の問題もそうですが、個人ひとりひとりの価値観の中に、この忠臣蔵の世界を良かれとしているところが残っているのが、日本の職場が停滞している理由であると思っています。
では、そこで働く人それぞれが人権意識をしっかり持って、相互の幸福追求権を承認するような組織にするためには、どうすればいいのでしょうか?
AIに訊いてみました。
─ 労働環境における人権意識について、個人が自分の問題として気を付けることはありますか?
とても大切な視点ですね。「労働環境における人権意識」と聞くと、企業や組織の問題と思いがちですが、実は個人の意識や行動も大きく影響します。個人として「自分の問題」として気をつけるべきことを、いくつか挙げてみますね。
✅ 1. 自分の人権を理解し、大切にする
・自分が「当たり前」と思っている働き方が、実は**不当な扱い(ハラスメント、長時間労働など)**であることもあります。
・「我慢すればいい」「みんなやってるから」ではなく、自分の健康・尊厳を守ることが最初の一歩です。
✅ 2. 他人の人権を尊重する
・無意識の言動が差別や偏見になっていないか、常に振り返ることが大事。
例えば、「子育てしてる人は残業できないから使えない」といった発言は、立派な差別です。
・ジェンダー、年齢、国籍、障がいなどについての理解と配慮も求められます。
✅ 3. 不当な扱いを見過ごさない
・声を上げる勇気自分が直接被害者でなくても、同僚や部下が苦しんでいるのを見かけたときにどうするか。
・声を上げることは勇気がいりますが、沈黙は加担と同じになることもあります。
・小さな疑問や違和感も、誰かに相談してみるのが大切。
✅ 4. 学び続ける姿勢
・人権に関する知識や意識は、時代や社会とともに変わっていくものです。
・定期的に研修を受けたり、本を読んだり、ニュースを見ることで、アップデートしていくことが必要です。
✅ 5. 「風通しの良い」職場づくりに協力する
・自分のちょっとした声かけや態度で、周りが相談しやすくなることもあります。
・「話しても無駄」「相談しにくい」と感じさせない空気を作ることが、人権を守る土台になります。
この回答の中で、個人的に大事だな、と思ったのは、「4. 学び続ける姿勢」です。会社の中での人権教育というのは、あまりやられているという話を訊いたことがありません。
パワハラ対策研修とか、コミュニケーション研修ではなく、まずはもっと基礎の基礎である、「人権研修」というものを、もっとしっかりやった方がいいのではないかな、というのが私の今回の提言です。
現場からは以上です。お読みいただき、ありがとうございました。面白かった、参考になった、という方は是非、高評価いただけると嬉しいです。フォローも大歓迎です。
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