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宗教を分類するとはどういうことか ー 「一神教」や「多神教」という分類に意味はあるのか?(人類にとって宗教とは何か? その2)

「河童の目線で人世を読み解く」市井カッパ(仮名)です。
「すべての組織と人間関係の悩みを祓い癒し、自然態で生きる人を増やす」をミッションに社会学的視点から文章を書いております。

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ここしばらくは「人類思想史」からの「哲学」の再定義、というようなテーマで書いています。前回から、西洋というある意味、特殊なエリアに限定しない文脈での「人類にとって宗教とは何か?」という内容の記事をアップしています。前回の記事はこちら。

今回は2回目です。


宗教を分類するとはどういうことか ー 「一神教」や「多神教」という分類に意味はあるのか?

宗教を語るとき、私たちはしばしば「一神教」や「多神教」という分類を用いる。神が一柱であるか、複数であるか。確かにそれは、わかりやすい区別である。しかし、この区別は、宗教の何を説明しているのだろうか。神の数は、宗教の本質に関わる問題なのだろうか。

この区分は古代から自明であったわけではない。近代ヨーロッパにおいて、キリスト教を基準に諸宗教を整理する過程で、理論的に明確化されたものである。たとえばデイヴィッド・ヒュームは『宗教の自然史』(1757年)において、多神教から一神教へと移行する宗教発展の図式を提示した。そこでは、一神教がより洗練された形態として位置づけられている。こうした理解は、その後の宗教分類にも少なからず影響を与えてきた。

さらに歴史を遡れば、ローマ帝国におけるキリスト教の国教化は、唯一神を信じる宗教を帝国的統合の軸に据える契機となった。この出来事は、宗教を「唯一の神を信じる体系」として捉える視座を、政治的にも強固にした。神の数という区別は、単なる神学的問題ではなく、歴史的文脈の中で形成されてきた枠組みでもある。

しかし、例えば仏教は創造神を持たない。ではそれは一神教でも多神教でもないのだろうか。インド思想に見られる「一なるもの」や「全体」という発想は、神の数によって整理できるのだろうか。さらに、近代社会において「無宗教」と自己認識する人々の存在は、どのように位置づけられるのだろうか。

こうして見ていくと、神の数による分類は、宗教の多様性を整理する一つの便宜ではあっても、宗教そのものの成立条件を説明しているとは言いがたいように思われる。

では、問いをもう一段だけ掘り下げてみたい。宗教が内容の違いによって分類される以前に、そもそも人間はどのように世界を理解しているのだろうか。

人間は言語を用いる存在である。言語は、世界を区別し、名づけ、整理する働きを持つ。山と海を分け、自己と他者を分け、善と悪を分ける。言語によって、世界は把握可能な対象の集合として立ち上がる。この意味で、人間の世界理解は本質的に「分節的」であると言えるだろう。

しかし同時に、私たちは常に分節された対象だけを生きているわけではない。たとえば、壮大な自然を前にしたとき、あるいは音楽に没入したとき、あるいは深い喪失の経験の中で、世界が個々の対象の集合というよりも、ひとまとまりの場として感じられることがある。そこでは境界がやや緩み、自己と世界の距離が一時的に変化する。

こうした経験は、特別な宗教体験に限られない。日常の中にも、程度の差はあれ存在しているように思われる。本稿では、このように世界が包括的な場として感じられる経験を、「未分節的経験」と呼ぶ。そして、その未分節的経験が主観的に意識された様態を「全体感覚」と呼ぶことにしたい。

ここで言いたいのは、「全体が実在する」と主張することではない。そうではなく、私たちの経験の中に、世界がひとまとまりに感じられる瞬間がある、という事実を指摘しているにすぎない。

問題は、この未分節的経験と、言語による分節的理解とが、同時に人間の中に存在しているという点にある。

もし宗教が、特定の教義や神観念の違い以前に、人間の世界理解のあり方と関わっているのだとすれば、宗教を分類するという営みそのものも、あらためて問い直される必要があるだろう。

一神教と多神教という区分は、宗教の外形を整理するための枠組みではあっても、宗教がなぜ繰り返し人間社会に現れるのかという問いには直接答えていない。神の数を数えることはできる。しかし、その背後にある人間の経験の構造までは見えてこないのである。

宗教を理解するためには、神の数ではなく、人間存在の構造そのものに目を向ける必要があるのではないだろうか。


ということで、次回に続きます。

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