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2026年、BizOpsに求められる3つの進化と壁

スタートアップやメガベンチャーの求人で「BizOps」の文字を見ない日はなくなりました。LinkedInやYOUTRUSTを開けば、BizOps募集、事業企画(BizOps担当)募集といったスカウトが飛び交っています。
しかし実態を覗いてみると、企業によって求めている役割が驚くほどバラバラなことに気づきます。

ある企業ではSFA/CRMへのデータ入力管理という名の事務を指し、ある企業ではデータ抽出やAPI連携による業務自動化を指し、またある企業では経営戦略の実行部隊を指しています。

定義が定まっていないこと自体は、過渡期特有の現象でしょう。しかし危惧すべきは、「BizOps=とりあえず何でもやる便利屋」という牧歌的な定義が、もはや通用しなくなっている事実です。
急速にニーズが高まる市場で今なにが起きているのか。組織フェーズによって細分化が進むBizOpsの進化形態について掘り下げます。


なぜ今、日本でBizOpsが増えているのか

背景にあるのは単なる流行ではなく、日本企業が直面している構造的な行き詰まりです。

労働集約の限界
まず、労働集約の限界です。人口減少が進む中、気合と根性で人を増やして売上を作るモデルは物理的に維持できなくなりました。1人当たりの生産性を極限まで高めるための仕組み化が、企業の生存戦略そのものになっています。

SaaSカオスの問題
次に、SaaSカオスの問題。便利なツールが増えた一方でデータが各所に散らばり、今会社がどうなっているか見えないという皮肉な事態が起きています。これらを統合し、全体地図を描く役割が急務となりました。

THE MODELの副作用
そして、THE MODELの副作用。マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスと分業が進んだ結果、部門間の連携不足というサイロ化が生まれました。この部門の隙間に落ちるボールを拾い、全体最適を図るハブ機能が必要とされています。

これらを解決する現実的な打開策として、BizOpsへの期待値がかつてないほど高まっているのです。

便利屋から設計者へ。BizOpsの3つの型

以前のBizOpsは、スタートアップ創業期における総合格闘技のようなポジションでした。採用もやる、営業もやる、管理部門の立ち上げもやる。いわゆる「社長の右腕」的なゼネラリストです。

しかし2026年に向けてのトレンドは明確に専門化・細分化へ向かっています。求められるBizOps像は大きく3つの型に分岐しており、それぞれに必要な設計図が異なります。

Tech Ops型(エンジニアリング・自動化)
一つ目は、Tech Ops型。エンジニアリングと自動化に特化した、Ops as Codeを体現する最も新しいタイプです。
彼らはオペレーションを人の手ではなくソフトウェアで解決しようとします。誰かがExcelで集計する業務自体を解消すべきボトルネックと捉え、SQLによるデータ抽出やPython、GASによるスクリプト作成、iPaaSの構築能力を駆使して自動化します。
非エンジニア職でありながら開発に近い知見を持つため、テック企業を中心に急速に需要が高まっています。

Revenue Ops型(売上最大化・科学)
二つ目は、Revenue Ops型。売上最大化を科学する、数値管理のスペシャリストです。
Sales Opsと呼ばれることもあり、SaaS企業で最も求人数が多いタイプです。営業組織の生産性向上に特化し、SFA/CRMを武器に売上プロセスを科学します。Salesforce等の高度な設計・運用能力に加え、予実分析やインセンティブ設計、イネーブルメントまで担います。
営業部長と同等、あるいはそれ以上の参謀として扱われ、成果が見えやすいのが特徴です。

Corporate Ops型(全社横断・ガバナンス)
三つ目は、Corporate Ops型。全社横断でガバナンスを効かせるアーキテクトです。
上場前後のレイターステージ企業で求められる、より経営企画に近いBizOpsです。事業部が複数に増え組織がバラバラになりそうな時、全社的なルールとスピードを両立させる仕組みを作ります。
内部統制やBPR、全社プロジェクトのPMO、法務・経理との連携を担い、将来のCOOやCFO候補として経営視座を持った動きが求められます。

越えるべき壁とは何か?

これからのBizOpsキャリアにおいて直視すべき現実は、現場の便利屋で終わるか、事業の設計者になれるかの分岐点です。

単にツールが使えて、気が利いて、仕事が速い。それだけでは、2026年のBizOps市場では評価されません。設計者へと進化するために越えなければならない、3つの構造的な壁が存在します。

御用聞きの壁、嫌われる勇気を持てるか
最大の壁は、現場からの要望を反射的に受け入れてしまう御用聞き体質からの脱却です。
現場の要望をすべて叶えるのは、BizOpsの本質ではありません。現場がやりたいと言っても、それが全体最適を損なうならNoと言う勇気。今はそのツールを入れるべきではない、その業務は不要だと、現場と摩擦を起こしてでもあるべき姿を提示できるか。
この嫌われる勇気を持てるかどうかが、事務屋から参謀へと変わる分水嶺となります。

ツール思考の壁、本質は業務にあると知っているか
Salesforceを導入すれば解決する、AIを入れれば効率化する。そう信じているうちは、まだ未熟な段階です。カオスな現場にツールを導入しても、待っているのはデジタルのカオスだけだからです。
優秀なBizOpsは、ツールを触る前に泥臭く現場に入り込み、業務フローそのものを書き換えます。ツールはあくまで最後の手段。まずは業務の交通整理こそが本質だと腹落ちできているか。この視座がないままDXを叫ぶのは、単なるツール導入担当で終わってしまいます。

足し算の壁、捨てる決断ができるか
仕事ができる人ほど、新しいフローやルールを作るのが得意です。しかし、真のBizOpsに求められるのは足し算ではなく引き算です。
会議やレポートの廃止など、何かを始めることより、何かをやめることの方が10倍のエネルギーを要します。
既得権益や慣習に切り込み、組織の贅肉を削ぎ落とせるか。捨てるという最も重い意思決定をリードできるかどうかが、市場価値を決定づけます。

2026年、どの地図を描くべきか

日本企業におけるBizOpsは、もはや単なる便利屋ではありません。事業の成長スピードをコントロールし、利益率を改善し、組織のカルチャーを作る事業のOSそのものです。

これからBizOpsを担う人材にとって、問うべき課題は明確です。自社のフェーズは今どこにあり、何が不足しているのか。そしてTech、Revenue、Corporateのどの領域を軸足とするのか。

解像度高く立ち位置を定義できたとき、BizOpsは単なる便利屋という枠組みを超え、組織に不可欠な事業参謀へと進化します。今、どのような地図を描くかが問われています。

#BizOps #TechOps #RevenueOps #CorporateOps #スタートアップキャリア


この道で生きていくという尖った専門性がないのではないかと感じていた自分のキャリアが、「BizOps」という言葉に出会い再定義された話。


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