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1-4-③ 襲いくる過去、追いかける真実③

*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません
おもいっきりネタバレしています!!!

目次  前書き&注意点  前の話(1-4-② 襲いくる過去、追いかける真実②)


「先輩!!」

旧校舎内部を仗助が走っていた。

「くそ~、ここに入って行ったのは間違いねえんだけどなあ」

1階部分、2階部分と、を走ってざっと見渡し、階段を上がって、3階部分にたどり着くと、教室部分の真ん中に、小柄な男が倒れていた。
近寄って抱き起こすと、モジャモジャのそびえ立つ黒髪に季節外れのサンバイザー、褐色の肌に派手なダウン、ホル・ホースの連れのボインゴだった。

「なッ、ボインゴさん? しっかりしてくださいよ!」
「う……」
仗助が声をかけると、ボインゴは意識を取り戻した。

ボインゴは仗助に起こされて、目をぱちぱちしながら、その場に座り込んだ。
「……えっと……仗助……くん……」
「なんだって、こんなところに? ホテルで待ってろって、兄貴が」
ボインゴは混乱した様子で、口をもぐもぐさせた。
「……うん……ごめん……ボク……ボクも……」

ボインゴが仗助を見て、これまでのことを話そうとした時、
2人の目の前に、白い鸚鵡が現れた。

鸚鵡の背後に、映画のフィルムがリールが何重にも折り重なった、鳥のような形が浮かび上がった。

「鸚鵡?!! ホル・ホースの兄貴が始末したんじゃあなかったのかよ!!」

キイイイイイイイイイイーーー

「しまった、スタンド攻撃!!!」

仗助とボインゴは、別の街並みにいた。

よく見るとコンクリートの校舎の風景も注意すれば見え、街並みとコンクリートの壁とが二重写に写っている。眼球の上のコンタクトに、映写機で映像を写したようだった。
レンガの住宅地が並ぶ細い細い裏通りで、どうみても日本の街並みではなかった。夕暮れ時の薄暗い空の遠くに時計台が見える。
3月末の日本のひんやりした空気ではなく、乾いた暖かい砂まじりの風が舞っていた。

ボインゴにはわかった、エジプトだ。しかもカイロのどこかのようだ。

仗助とボインゴは、走っている男の中にいた。
ボインゴに似た褐色の肌に頭にターバンを巻いた、現地の若い男のようだ。
布で覆った何かを持って走っている。
感触では持っているものは鳥籠のようだった。

──「まずい、このままあの男の元にいてはッ あいつはもうだめだ……もう隼じゃあない、ただの殺戮マシーンだ……逃げようッ! サルジュ、お前だけでも……」
アラビア語で話す男の言葉をボインゴは理解できた。

しかし走っても走っても、同じような街並みをぐるぐる回っているだけだった。
男はそのうち息が上がり、足が遅くなっていった。

──「……とうとう追い詰められた、とでも思っているのか?」

背後で、英語の声が響いた。
仗助とボインゴから、今までと違う汗が流れ出し、体が震え出した。

ボインゴにとっては、忘れたくても忘れられない、恐怖の声だった。
(……ま……まさか……、あの……)

一方仗助は、アラビア語も英語もわからなかった。
なのに、恐ろしい、と感じた。

(なんだ、こいつ……英語みてーだから何いってっかわかんねーのに、冷たくて、圧倒的な……恐ろしいのに、聞かずにはいられないッ)

鳥籠を持った男、仗助とボインゴが振り向くと、190を超える長身の男が立っていた。
尖った靴、ゆったりとした黄色いズボン、ピッタリとした黒の上にボレロのような黄色い上着。月光に金の髪を揺らし、肩に隼を停らせ、赤い瞳でこちらを見据えていた。

──「それは違うぞ? 私から逃げられるかもしれない、などという不可能を妄想した時点で、お前はチェックメイトだったのだ」

──「……DIOッ!」
仗助とボインゴ、いや男がうめくように呟いた。

仗助はホル・ホースの話を思い出した。
(こ……こいつが、DIO!! 調教された鸚鵡が仕えていたっつー!)

DIOの肩に止まった隼が男に向かってきて、あっという間に鳥籠を加えて奪い取り、DIOに手渡した。

DIOが鳥籠の覆いを取ると、真っ白な鸚鵡がいた。
──「よし、戻ったか、ペット・サウンズ」
DIOは鳥籠の鸚鵡を見て満足げに頷くと、男にむきなおり、
──「せめてお前が調教した鳥に始末されることを誇りに思うがいい」

隼が再び二人に向かい、隼の背後に、骸骨のような鳥が浮かび上がった。

(こいつも鳥のスタンドッ! あの鸚鵡のやつとは違うッ!)
仗助は別の鳥のスタンドに驚いた。
ボインゴにとってはかつての仲間だったが、今は恐怖しか感じなかった。
(ペット・ショップのスタンド、ホルス神!)

ホルス神がそのクチバシを開くと、空中に氷柱が出現し、飛んできて男の体を突き刺した。
仗助とボインゴに、体を貫かれた激痛が走った。

──「どんな気分だ? 自分が精魂傾けて育て上げた鳥に殺される気分は?」
──「このDIOが人間を辞めてから100年以上経っているものでな。人間はどんな考え方をするのか忘れてしまったのだよ」
──「人間が生きる目的がなんだったかもな」

貫かれた肺から血が溢れて口と鼻から溢れ、咳き込む。
膝をつき、苦しくて動けない。

──「私にお前の恐怖を見せろ。人間が心の底から恐怖すると、どうなるんだ? 怯え慄いてみせろ!!」

仗助とボインゴの体になまあたたかい液体がかかった。
(この匂い……)
(ガソリン!どこにあった?いつの間に?!)
目の前にガソリンのタンクが倒れてこぼれていた。

隼のペット・ショップが、主人の命令を遂行すべく、飛び回り、口に咥えたマッチを建物の壁ですり、ガソリンの上に落とし、男は、二人は炎に包まれた。
が、すぐに体が凍りつき、炎がかき消えた。

(もて遊んでやがる……!)
寒さの中で仗助は震えながら思った。
(この氷が溶けた瞬間、炎に焼かれて焼け死ぬ。あるいは氷で凍死するか、またさっきの氷柱で突き刺されて死ぬか……どうやって殺そうか遊んでやがる!なんてやつだ、このDIOってやつはよおおおお!!)

何とかこの状況を打開しなければ──仗助は考えるが、
(この鸚鵡のスタンド能力の解除方法は、外部から衝撃を与えられたり気を失う
……でも、鸚鵡が生きていて攻撃を仕掛けてきてるっつーことは、鸚鵡を操ってる犯人がさっきの清原とは別にいるっつーことになって、
……さっきのボインゴさんも囮だったっつーことだろうがよお! 
気を失ったら終わりじゃあねえか! ちくしょおおおお!)

一方、ボインゴは、別のことを考えていた、

(どうして……トト神……)

《やった!これで君の未来はバラ色だーーッ!》
と言われて手放した自分のスタンド。
それを持っていれば、この事態も予言されていたのかもしれない。
しかし、予言されたら避けられないのだ……

(このまま、氷か炎に焼かれて……死んじゃうのか……ボクが死んだら……トト神は他の人のところへ行ったまま……なのか……)

──「……サル……ジュ……」

2人の気が遠くなったその時。

周囲の何もがかき消えた。

「?」
「な……消えたッ?! スタンド攻撃が……」

目の前のコンクリートの床の上で、白い鸚鵡が羽をばたつかせて苦しげに暴れていた。

そして、嘴から床の上に何かを吐き出した。

「ドラッ」
すぐさま仗助が自分のスタンドを表して、鸚鵡のいる床を破壊し戻すと、鳥籠のような形に変形させた。
鸚鵡はコンクリートでできた鳥籠の中に閉じ込められた形になった。

「ああーいて……別に実際に怪我したわけじゃあないんだが、なんか痛い思いをしたっつーか、疲れたっつーか」
仗助は自分の首や肩をボキボキと鳴らして動かした。
記憶の再現で痛かったり暑かったり寒かったりする体験は、実際のようなリアルさを持って感じ、精神的に疲労感を感じていた。

ボインゴは、床にへたり込んでいる。
「大丈夫っすか?ボインゴさん?」
「……うん……」
ボインゴはもう2回連続で鸚鵡の攻撃を受け、気を失い、再び気を失う寸前だった。
もうぐったりして口をきく元気もなかった。

仗助はしゃがみこんで鸚鵡が吐き出したものを見た。
「なんだあ? こりゃあ……」
小さな肉片のようなかけらと、さくらんぼのイヤリングだった。

吐き出した後の鸚鵡は、狭いコンクリートの鳥籠の中でおとなしくしており、苦しげな様子はなかった。

そこへ走り込んできた人物がいた。

「ボインゴ君! 仗助君も!」

若い警察官・仮頼宿一樹だった。

仮頼宿はボインゴを見て、
「心配したんだよ、ボインゴ君ッ!突然変な事を言い始めていなくなるから」
といい、
「仗助君、君も……」としゃがんでいる仗助に走り寄ると、

仗助のスタンドが、仮頼宿を殴り飛ばしてた。

床に吹き飛ばされた仮頼宿の手から、溶接用のトーチが落ち、くるくると回りながら床を滑っていった。

「……は……?」
ボインゴは訳が分からずポカンとした。

仗助は仮頼宿の持っていた溶接用のトーチを見下ろし、
「こんなもんで攻撃しようとするなんて、とんだ警官もいたもんだぜ。
なあ、真犯人さんよおおお~ー」

殴り飛ばされた頬を押さえながら、「な、なんのことだ?」と仮頼宿が喚いた。
「オメーの左耳、見てみ」

ボインゴが見ている間に、鸚鵡の吐き出した肉片がふわふわと空中を浮かび上がり、仮頼宿の左耳に向かった。
左耳に貼ってあった絆創膏が剥がれ落ち、その下の傷にぴたりとくっついて、傷ひとつない左耳になった。

「何ィィィィーーーーーッ!!」

「鸚鵡の吐き出した肉片だ。2つあったぜ。さっきの清原って男も左耳に絆創膏が付いてた。
ホテルの部屋でみた時、あんたも全く同じように貼ってたから、あれって思ってたんだ。
それで、ここに、このタイミングで1人でやってくんなら、そりゃあ、クロだ。
そいつが動かぬ証拠ってやつだぜ。体の一部を食わせて操ってた……とか、そんなところか?」

仮頼宿は喚いた。
「な、なぜだああああッ! 
どうやってペット・サウンズの、イシス女神の記憶から抜け出したーーーッ! 
なぜぼくの同期を解いたーーーーーッ!!」
「そいつはおれもわかんねーんだけどよお」
仗助はスタスタと仮頼宿に向かっていった。

「うわああああ、くるなああああ」
仮頼宿は再び溶接トーチを拾って火をつけ、仗助に向かってブンブンと振り回した。

「ドララララララララララララーーーーッ!!!」

仗助のスタンドが浮かび上がり、仮頼宿に向けてラッシュを放つ。

吹っ飛ばされた仮頼宿は窓へ吹っ飛んで、シートにぶつかった。
シートと溶接トーチがなぜか仮頼宿の体に絡まり、溶接トーチの火がシートに向かって放たれてシートを膨らませ、
まるで不恰好な気球のようになって、
仮頼宿は宙をまった。

「うわああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーー」

そのまま遠くへ飛んでいった。

「やれやれ……これで一件落着……とは行かなかったスねえ」
ボインゴを見て仗助はいい、再び鸚鵡のそばにやってくると、鸚鵡の吐き出したさくらんぼのイヤリングを拾い上げ、「これ絡まってるの、髪の毛だよなあ……多分」とブツブツといった。

ボインゴも近くにやってきて、「それ……何?」と仗助に尋ねた。
仗助はニカっと笑った。
「ボインゴさん疲れてるみたいだし、またはぐれるのも心配だから、向こうからきてもらいましょうかね。そんでちょっと相談があるんスよ」
首を傾げるボインゴの横で、仗助は再び自分のスタンドを出現させると、

「持ち主を連れてこい……ドラアッ!!」

と、イヤリングを殴りつけ、イヤリングは空中に浮かんだ。

するとおとなしくしていた鸚鵡・ペット・サウンズが、

クワアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーー

と叫び始め、
後ろにスタンド・イシス女神を出現させた。

「なッ!またやる気かよこいつ!」

と仗助は自分のスタンドを体の前に出し、ボインゴを自分の後ろに下がらせ、自分も鸚鵡から距離をとった。

鳥のスタンドを形作る、映画のフィルムが巻かれたリールのような丸い束から、コンサート会場のテープのように、いく筋ものフィルムが一斉に空中に流れ出だ。

そのフィルムは空中に浮かんだイヤリングの周りを竜巻のように囲いぐるぐると回り始めた。

さらにどこからか、もう1つ、さくらんぼのイヤリングが飛んできて、竜巻の中に吸い込まれていった。

「な……なんだよ……こりゃあ……」

回転するフィルムは、収束して棒状になり、さらに筒状に変化して「いく。
ミイラのように巻かれたフィルムは、人型をかたどりながら、白く輝き始めた。

イシス女神から伸びていたフィルムは、ぷつりと断ち切れ、
独立したその塊は、仰向けに横たわる姿勢をとった。

頭ができ、首がつながり、肩が張り、腕と足が伸びていく。
髪が揺れ、目と鼻と口が形を持ち、指が5本に分かれた。
最後に、緑の服が表面を滑るようにまとわりつき、
赤茶色の髪、両耳に揺れるさくらんぼのイヤリング。

──目を閉じた男が、静かに地面に落ちていった。


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目次  前の話(1-4-② 襲いくる過去、追いかける真実②)

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