1-1-② 悪霊の街、スタンド使いの挨拶②
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません。
おもいっきりネタバレしています!!!
目次 前書き&注意点 前の話(1-1-① 悪霊の街、スタンド使いの挨拶①)
次の瞬間、カウボーイ男は長く長く続く廊下にいた。
どこまで続いているのか遠すぎて見えない。
今までいた裏通りにはこのような廊下は存在しない。それどころか見えない先まで整然とした柱が並び続く廊下は、現実味がなくまるで異空間にワープしたようだった。
男は慌てることなく、右手の銃を構えて周囲を見渡し、誰もいない空間に向かって話しかけた。
「おい、ケニーG。
ボインゴに会いにきたんだよ。
能力解除しろとは言わんがせめて目印を出せ」
すると空間から男の声が答えた。
「……あんたこそスタンドを解除しろ。ホル・ホース」
ホル・ホースと呼ばれたカウボーイ男が、
「へいへい」
と答えると、右手に構えた銃がフッと消えた。
するとガラガラという音がして、永遠に続くと思われた廊下の空間の一部が切り取られたように、別の部屋が現れた。
タイルの床に、白ちゃけた壁、天井から裸電球がぶら下がっていた。
備え付けの戸棚と、数脚の丸椅子。カウンターの奥には酒瓶とジュースのボトルがぎっしり並んでいた。
壁にはダーツセット、奥の方にはビリヤード台も見える。
場末のホテルや地下バーといった雰囲気が漂っていた。
ホル・ホースは新しく現れた部屋に身を屈めて入っていき、またガラガラという音がして、廊下の景色が消えた。
右手を壁につくと、バチンと刺激を感じた。見ると電化製品のプラグを差し込むコンセントがあり、その上に手を置く形になっていた。
「こ……こいつはッ……」
ホル・ホースの顔色が変わった。
するとカウンターに置いてあったコーヒースプーンがぴょんと飛んできて、ホル・ホースの胸に張り付いた。
「ふざけてる場合じゃあねえだろう、おいッマライア! 冗談はやめろ!」
ホル・ホースは、誰もいない部屋で見渡しながら声を上げた。次には、戸棚の引き出しが開き、スプーン、ナイフ、フォークがホル・ホースめがけて飛んできた。
横に飛んでかわすが、次は、ダーツの矢が刺さったボードから外れて、ホル・ホースめがけて飛んでくる。
「うおおおおおおおッ!!」
またホル・ホースの右手に銃が現れ、発砲し矢を撃ち落とす。
が、今度は鍵のかかった棚が、内側からひしゃげたように開き、中に仕込まれていた長剣が飛び出し、ホル・ホースを貫こうと飛んできた。
たまらず走って部屋の奥に逃げ出した彼に向かい、奥からビリヤードの台がズルズルと動いて近づいてくる。
剣とビリヤードに挟まれた進路から、右の通路に曲がって、突き当たりのドアを開けて中に入りドアを閉める。進路を曲げた長剣が、ドスドスドスっと、6、7本ドアに突き刺さり、刃の先を飛び出して止まった。
荒くなった呼吸を整えるホル・ホースだったが、逃げ込んだ先の狭い部屋はトイレで、水の流れるパイプに3本の腕時計が惹きつけられて引っ付き、手枷のように固定されてしまった。
「く……くそ……」
腕を外そうと力を入れるが外れず動けない。ドアに刺さった長剣はミシミシと音を立て、今にもドアを貫通してきそうである。
「ボクのトト神の予言は絶対です……」
とドアの向こうから若い男の声がした。
「お前ッ、ボインゴッ! よかったぜ、会いにきたんだッ! 積もる話はあるが、今はマライアの奴に能力を解除するように言ってきてくれッ!」
ホル・ホースはドアに向かって頼んだ。
「……そうしたいところですがそうはいきません……」
「矛盾したこと言いやがって、大人になったじゃあねえか!!」
「……半年前の手伝いの料金もまだ未払いです……今回の鸚鵡探し代と合わせて支払ってください……」
「お……そうか……今ちょーーっと手持ちがなくてよお! 出かけがてらおろして払わせてもらうぜッ!」
「……そうですか……残念です……」
声が遠ざかろうとした。
長剣が徐々にこちらに近づき、ギシギシと、ドアが今にも壊れそうな音をたてた。
「だああッ わかったわかった! 米ドルでいいか!」
その声の後に長剣がポロポロと音を立てドアの向こうに落ち、ホル・ホースの体もトイレのパイプから解放され、床にしゃがみ込んだ。
「観念しなよ ホル・ホース」
今度は女の声がした。
ホル・ホースがトイレのドアを開けると、カツカツというヒールの音を響かせ、ストッキングの美脚が目の前に近づいてきた。
顔を上げると、ミニスカートに、褐色の肌のヘソだしスタイル。加えタバコのまま、大きな胸の上から顔をのぞかせ、女がニヤリと見下ろしていた。
「あんたはボインゴをいいように利用してばかりだから、一度お灸を据えてやりたかったのよね~ フフフ」
女の後ろに、ものすごいボリュームの盛り上がった天然パーマの小柄な男が、分厚い本を持って隠れるように立っていた。
「勘弁しろよ、マライア。オレが世界一女に優しい男なのは知ってるだろ?」
ホル・ホースは帽子を被り直しながら、トイレの床から立ち上がった。
次の話(1-1-③ 悪霊の街、スタンド使いの挨拶③)
目次 前の話(1-1-① 悪霊の街、スタンド使いの挨拶①)
