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2-5-② アクリドルの水晶②

*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません
おもいっきりネタバレしています!!!

目次  前書き&注意点  前の話(2-5-① アクリドルの水晶①)


仗助はハッと振り返ったが、中野と新田は無反応だった。

「きたッ!仗助君、僕は先に戻るッ!」
いうと典明は、ハイエロファントグリーンで蔵の入り口から文字通り飛び立って行った。
(今のは、兄貴のスタンドの銃声! こちらの仲間があっちに出たっつーことか!)
仗助は、蔵の扉を開けて庭に出て、母屋に向けて走った。典明は木を伝って屋根の上を飛び、母屋の屋根の上の方向に飛んでいってしまった。
(あっちか。やたら広くて木が多くて、夜だと真っ暗じゃあねえか。クソッ)
あちこちに植物が植えられた庭をなんとか走り抜け、さっき出てきた母屋の建物の前にたどり着くと、スタンドで壁を壊して1階に入り込んで壁を戻し、さっきいた客間に向けて突っ走った。

「待てッ!」
「待ちやがれッ!」
典明が廊下で庭に向かって叫びながら、ハイエロファントグリーンの触手を伸ばしていた。横にはホル・ホースも銃を構えている。
仗助も窓越しに庭を見た。
そこには、大きな黒い影があった。やたら長い手に足をしている。人影にしては手足が長すぎ、猿などの動物にしては大きすぎる。
(な、なんだありゃあ)
その影は、庭の木と木の間を上下左右にひょいひょいと猿のように飛び移っていき、暗闇に紛れて見なくなってしまった。

仗助が客間に入ると、肩に鸚鵡を乗せた花京院涼子に加えて、漫画本を抱えたボインゴがいた。

「ボインゴさん。電話どうもっス」
仗助はボインゴに手を挙げて挨拶し、
「先輩も大丈夫っスか? あいつらの仲間がやってきたんスか?」
と涼子に尋ねた。
「そう……みたいなんだけど……」
と涼子はボインゴに目を向けた。
すると、ボインゴは持っていた漫画本を開いて見せていった。
「吸血鬼です。あの、DIOと同じ……」
「DIOって、昼間その鸚鵡が見せた? 吸血鬼って? スタンド使いじゃあなくって?」
仗助は、ボインゴの漫画本を受け取って読んだ。

コマの中にシュールな人物の絵が描かれている。
モジャモジャの髪にBOINGOと書かれた服を着ていることからこれはボインゴらしい。
漫画のボインゴは両手を挙げて、驚いたようなポーズをとっていた。

《大変だ、ボインゴ!
花京院の家で楽しく飲み食いしてたホル・ホースが危ないゾ! 
涼子からきつい一発をもらっただけじゃあなくて、強盗からもーーーっときつい一発をもらっちゃったゾ!》

次のコマには、倒れて血を流しているホル・ホースらしき人物が描かれている。テンガロンハットに目がついているのは謎だった。

《早く他のスタンド使いたちと助けに行かないとヤバい! だって、その強盗は……》

次のコマには、倒れたホル・ホースの上に、やたら長い手足に長い爪、牙の生えた怪物が描かれていた。

《吸血鬼、だからね!
DIOと同じだ!
だから、早くホル・ホースを助けてあげないと、血を吸われちゃうよ!》

(なんだ、こりゃあ。吸血鬼っつーより、化け物じゃあねえか。)

漫画をあまり読まない仗助には、この漫画本の絵が上手いのかどうかわからなかったが、なんともふざけた内容に見え、笑い飛ばそうと一瞬思った。
が、この漫画はボインゴのスタンド能力なのだと聞いていたし、ボインゴも、そして涼子も真剣な表情だった。
「DIOは、人間じゃあなかったの。肉の芽っていうのを埋め込んで人間を操るのよ。典明お兄ちゃんもあいつに操られていたの。私も見たわ。」
「だから、吸血鬼……すか……」

「いるんだよ、吸血鬼ってやつは本当に」
帽子を直しながらホル・ホースが客間に入ってきた。
「DIOがそうだった。何人もの女たちがやつに血を抜かれて死んだし、同じように吸血鬼にされたやつもいた。男と女のつながった体にされたやつもいたぜ。」
「ま……マジっすか」
(スタンドの次は吸血鬼かよおおお。そりゃあ、おれもこんな不思議な能力持ってるから、オカルトとかには耐性ある方だけどよお。そうそう信じ難いっつーか……)

ホル・ホースの後から典明が入ってきた。
「逃げられた。しかも、水晶玉も取られた」
「なッ?!マジかよッ!さっき蔵にあったのに?今の間にかッ?」
「ああ、陽動に引っかかってしまった。仲間も複数いるようだ」
典明は額に手を当てて、悔しそうな表情を浮かべた。

「水晶玉?」
仗助は、涼子とホル・ホースとボインゴに、中野と新田から聞いた話を伝えた。
「目的のものを持っていったんなら、もう連中の仲間は逃げちまっただろうな。強盗に盗難はいいとして、化け物だの吸血鬼だのは警察に任せるのは無理だぜ。信じてもらえないか、返り討ちのどっちかだぜ」とホル・ホースがいうと、
「あの2人はまだ蔵にいる。吸血鬼について知っているか聞いてみよう」
と典明が答えた。
「じゃあさあ先輩、先に警察に電話しねえ? ここなら交番すぐそこだから、警察もすぐくんだろう。おれもじいちゃんに電話して篤先生にもきてもらうよう言っとくよ。」
と仗助が提案し、それぞれ電話をかけた。

良平はやっと酔いが覚めた様子で驚いたが、ホル・ホースが親しくした仗助に先に助けを求めたことにしておいた。
程なくパトカーのサイレンが遠くに聞こえ始めると、典明が、2人がけのソファーに横たえられた父母のそばにシュルシュルと細い触手を残し、蔵へと向かい始めたので仗助も、後を追って蔵へ向かった。吸血鬼について知りたいのかホル・ホースもボインゴも、鸚鵡を肩に載せた涼子も後に続いた。

蔵の中に入った仗助が先ほどのガラスケースを見に行くと、ガラスが破られて、水晶玉だけきれいに無くなっていた。
「僕のハイエロファントの触手をかい潜って潜み盗んでいったなんて」と典明は再び悔しがっていた。

仗助は、縛られた中野と新田のそばに行ってしゃがむと、
「あのガラスと水晶玉、どうなったか見てたっスか?」
と尋ねたが、気づいたら割れていた、盗まれた瞬間誰も見なかったと答えた。
「じゃあ、話を戻して、依頼主って、誰だったんスかね?」
「黒い服を着た連中だ。……奴らも人間じゃあねえんだよ。もちろん幽霊なんかでもねえ。聞いて驚けよ、奴らはよお」
「「「「吸血鬼」」」」
そろった声で反論され、中野と新田は聞いて驚いた。

「し、知ってんのかよ」
「ああ、おれは今さっきな」
「その吸血鬼たちはなぜのうちの水晶玉を欲しがる? ”アクリドルの水晶”とはなんだ?」
典明が尋ねると、
「なんだ、知らねえのかよ、ユーレイのくせによお」
と中野がバカにし、すぐさま緑の触手が巻き上げて中野をぎゅうぎゅうに締め上げた。
「が……」
「だから言ったじゃあないすか。祟りは怖いって」

苦しがる中野を横で見た新田が、青くなって代わりに答えた。
「な、なんか連中がいうにはよお、その水晶が吸血鬼をパワーアップさせるんだと。そ、そのための儀式を満月の夜にやるから、それに使うんだとかって」
「満月の夜に儀式?」
「明日の夜だな、満月は」
「なんでもパワーアップした吸血鬼は昼間も大丈夫になるんだと。無敵だよなあ、怪我も治るし年は取らないしよお。おれたちも上手く水晶を見つけたら、仲間に入れてもらう約束だったんだよー」
なぜか嬉しそうになった新田の発言に、触手が緩んだ中野が咳き込みながら追加した。
「き、吸血鬼の偉いやつ、な、なんだか、こ、この杜王町に恨みがあるみたいだったぜ。儀式が成功したら、こ、この町は吸い尽くして吸血鬼の町にするってよ」
「はあ?」
「何ッ!」
「なんですって」
仗助は驚き、典明と涼子も顔色が変わった。

「へへ、明後日が楽しみじゃあねえか。おれたちは吸血鬼にしてもらって女どもの生き血を吸わせてもらうことにするぜ」
「貴様ッ」
笑った新田は触手で締め上げられて泡を吹いて気を失った。
仗助は新田をスタンドで治しながらいった。
「本当に吸血鬼ってやつが集団でいて、杜王町が狙われるってことか?まずいじゃあねえかよ」

典明が次に中野を触手で徐々に締め上げながら聞いた。
「その”アクリドルの水晶”を取り戻しにいく。連中のねぐらはどこだ? 教えろ」
「れ……嶺冥山だよ」
「レーメーサン?」
ホル・ホースが聞きなれない言葉を尋ね、仗助が答えた。
「山の名前っスよ、隣の県にある結構でかい山。ここからだと車で、2、3時間ぐらいスね」
「なんだ仗助、行ったことあんのか?」
「おれ中学ン時、ダチと参加した体験教室で行ったんス」
「ずいぶん平和な話だなあ、おい、吸血鬼のねぐらに体験教室たあ」
「うーん……だいぶ前の記憶っスけど、5合目ぐらいまでは車で行けて、6合目の湖とか公園までは誰でも行ける感じで、そっから上は立ち入り禁止になってたはず……」
「典明お兄ちゃんは、行ったことあるの? その、体験教室?」
不意に涼子に聞かれて、典明は一瞬戸惑いながら答えた。
「え? い、いや…」
「って、もうやばそうだぜ」
「……あ……が……」
中野の顔色が青く変わり始めているのを仗助に指摘され、典明は締め上げていた触手を緩めた。

「……も……っと登ったところにねぐらがあって、き……吸血鬼の溜まり場になってるらしい……おれたちも行ったことはねえ……聞いた話だ……」
やっと顔色が戻った中野が咳き込みながら答えた。

「するってえと、車で行けるところまで行って、あとは山登りって感じスかね」
「伯父様の車をお借りして、あとは食料に防寒具……」
「夜なら懐中電灯とかもいるっスよ。」
「そうね、暖を取るためのキャンプセットも……」
「って、待て、涼子ちゃんッ!仗助君もッ!!何を行くつもりで計画を立てているんだッ!!」
山に向かう計画を相談し始めた仗助と涼子に、典明が驚いて止めに入った。
「DIOのような吸血鬼のいる巣窟だぞ!涼子ちゃんッ!危険すぎる、君はここにいるんだッ!!」
「それで? また典明お兄ちゃんは戦いに行ってしまうの?独りで?」
涼子はまっすぐ典明を見返して、言った。
「私も行きます。私も行って戦います。伯父様と伯母様を守ります。だって、」

ダッテオニイチャンハモウイナインダカラ。

まっすぐ自分を見つめる涼子に典明は返す言葉を失っているようだった。
そんな典明に仗助は、明るく続けた。
「杜王町に変なやつがこれ以上増えちまうと、うちのじいちゃんも困るからさ。スタンド使い?がこんだけいりゃあ、吸血鬼なんて大丈夫っしょ。なあ、兄貴?」
「え?」
突然振られてホル・ホースは困惑した。

「オ、オレ?オレはよお、元々その鸚鵡を返してもらいにきただけで、」
「協力したじゃあないっすか、鸚鵡探し。今度はおれたちに協力してくださいよ。乗りかかった船っつーじゃあないっスか?」
「し、知らねえよ、そんなことわざはよお」
「……We can not just go back now」
「お、おめーも訳してんじゃあねえぜ、ボインゴ!」
「……予言は絶対です、ハイ」
とボインゴはホル・ホースに漫画本を見せ、ホル・ホースは「マジかよ……」と項垂れた。

苦虫を潰したような顔になったホル・ホースだったが、ため息をついて帽子を被り直した。
「要するにヌケサクみてえな吸血鬼どもをぶっ飛ばして、水晶玉とやらを取り換えしゃあいんだろ?わあったよ。いきゃあいんだろう、いきゃあ。」
涼子の肩に停まった鸚鵡を指さして、
「そいつが終わったら鸚鵡は本来の持ち主の元へ返す、それが条件だ」
涼子はホル・ホースを見て、
「わかったわ」
と答えた。

「涼子ちゃんッ」
再び咎める典明に振り返った涼子は、
「典明お兄ちゃんが独りで行っても行かなくても、私たちは嶺冥山へ行きます。吸血鬼たちを倒して”アクリドルの水晶”を取り戻し、杜王町を守ります」と宣言した。
涼子を、仗助を、ホル・ホースを、ボインゴを、そして鸚鵡を見た花京院典明は、ため息をついて、「……わかった。戦闘には関わるな。危なくなったらすぐに逃げるんだ。いいな」
と不服そうに答えた。


次の話(2-5-③ アクリドルの水晶③)  
目次  前の話(2-5-① アクリドルの水晶①)

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