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1-5-② 蘇る法皇②

*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません
おもいっきりネタバレしています!!!


目次  前書き&注意点  前の話(1-5-① 蘇る法皇①)


仗助は、ホル・ホースとボインゴと、旧校舎3階の廊下から廊下部分に移動した。花京院典明と呼ばれた通り抜ける存在は、教室部分の中に俯いたまま佇んでいる。
仗助たちが階段の一番上に移動すると、ホル・ホースが経緯を2人に聞いた。

「鸚鵡を捕まえてよお、先輩を呼び出そうとしたら……鸚鵡のスタンドからなんかよくわかんねのがバーってたくさんでてきて、したらアイツになってさあ」
「はあ?  わかんねーよ、おまえよ。最初から順番に話せ」
まだ混乱した様子の仗助に、ホル・ホースは落ち着くように言ってから話を促した。

ホル・ホースは仗助にゴミ箱へ閉じ込められた後、エンペラーの銃でゴミ箱の鍵を開けて外に出た。仗助たちを探してあちこち歩いている途中、気球で飛んでいた仮頼宿を見つけ、周囲の人間にどっちから飛んできたか聞き、この学校の旧校舎に辿り着いた。

一方、仗助は、漫画本を持った娘を連れて学校に移動した。そこで話を聞こうとしたところ彼女に逃げられた。
彼女がこの改装中の旧校舎に入っていくのを見て追いかけて旧校舎に入ったが、代わりに3階でボインゴが倒れているのを発見して介抱した。直後に2人そろってスタンド攻撃を受けた。実は鸚鵡が生きていたのだが、途中で攻撃が止まり、鸚鵡は肉片とさくらんぼのイヤリングを吐き出した。攻撃しなくなった鸚鵡を、仗助のスタンドがコンクリートを変形させた鳥籠に入れて確保した。そこへ現れた警官・仮頼宿が、肉片を鸚鵡に飲ませて操っていたことが判明し、気球にして撃退した。
鸚鵡の吐き出したさくらんぼのイヤリングが”先輩”のつけていたものに似ていたので、彼女を呼び出そうとスタンドの能力で”治した”。
……つもりだったが、スタンド能力で出てきたのは男だった。
と、仗助が説明し、ボインゴが横でうなづいていた。

「……仗助、オメーのスタンドは死人を蘇らせることができんのか?」
「いやあ、まさか! そんなのできねえっすよお!!」
昔死んでしまった昆虫を生き返らせようとして、死骸は綺麗になったが生き返らなかったと話した。彼のスタンドはどんな重傷も治せるが、完全に死んでしまっては生き返らないという。
「でも、あいつ、花京院典明は10年前に死んだ人間だ。死んだとこは、オレもボインゴも何人もの人間が見てんだよ。」

「……オウム……」
「あ? なんだボインゴ?」
「そうそう、あの鸚鵡のスタンド! イシス女神とか言ってたけど、おれが先輩を呼び出そうとしてイヤリングにスタンド能力を使ったら、そこから出てきたテープみたいなやつがぐるぐる固まってあいつを作ったみてえに見えたんす!」
「……つまり、あのイヤリングは嬢ちゃんのじゃあなくて、花京院のものだったつーことか? 鸚鵡のスタンドはおそらく記憶のスタンドだから、鸚鵡のスタンドの記憶のストックから花京院の記憶が引っ張り出されて、あの、あいつの幽霊になったって、そういうことになんじゃあねえのか?」
「……そうなんすか?」
「多分……だがよお……」
結論が出たようなわからないような話に3人は首を捻った。

「……オレもこういうことは初めてだかんなあ。スタンド能力が2つ同時に働くっつーことがまずねえことだし、なんか2つ合わさると、1+1とは違うことが起こるんかもしれねえなあ……で、だ。」
「で?」
ホル・ホースがずいと仗助に顔を近づけていった。
「どうすんだ、あの幽霊」
「ユーレイ? ゆ……幽霊っつーか、あ、足はあったっすよ」
「影はなかったじゃあねえかッ! 死んだ人間が現れて動いて喋ったんだから、幽霊だろうがよ。どうすんだよ、お前ッ! あの世から死人を引っ張り出しちまってよッ!」
「いや、おれ、そんなつもりじゃあ……」
「責任とって成仏させろよッ仗助!」
「マジっすか、勘弁してくださいっすよー おれだけじゃあなくて鸚鵡も関係してるじゃあないすかー」
仗助とホル・ホースが責任の押し付け合いをしていると、
「……あ……」とボインゴが階段の下の方を見た。
2人も見下ろすと、カバンを抱えた花京院涼子が、2階から3階に階段を上がってこようとしているところで、上を見て3人に気づくと振り向いて1階に降り始めた。

「嬢ちゃんか!」
「待てよ、先輩! 聞きてえことが増えちまったんだよ!」
ホル・ホースと仗助が階段を降りて追いかけ始めた。
仗助は数段飛ばしで一気に2階へ駆け降り、さらにそこから階段の手すりに足をかけて手すり壁に手を置いて飛び越えると、くるりと体を空中に踊らせて1階に飛び降り、ダンッと涼子の前に降り立った。
「ッ!」
前に仗助、後ろに「若えなあ……」とぼやきながらやってきたホル・ホースとに挟まれる形になり、涼子は強張った顔で息を飲んだ。
「逃げんなって、先輩ッ! まずは話を……」

「……あ……」と上に残っていたボインゴは、今度は上を見た。
鳥籠から逃げ出したらしい鸚鵡が、自分のスタンド・イシス女神を従えて、廊下から階段を飛んで降りていった。

「「「鸚鵡!」」」

3人が同時に気づいたが、鸚鵡は人間の反応より早く涼子の顔の前に降り、スタンドを自分の前に回した。スタンドのパイプのようなものでできた足から生える爪で、涼子の前髪を切り裂き、切れた前髪を鸚鵡本体がパクリとくわえて、
モグモグゴクン、と飲み込んでしまった。
「「な?!」」
「……え……鸚鵡が私の髪を……食べた?」


ドクン

花京院涼子の胸がドキドキと脈打ち始め、何かが体の中から広がっていく感覚がした。

──「サルジュ。お前の名前はサルジュにしよう。アラビア語で雪って意味だ。真っ白なお前にピッタリだろう」
──「クワッ」
──「あはっ、かわいいやつだな、サルジュ」

(何ッ!何これッ!頭に……浮かんでくるッ!)

──「今度は鸚鵡のスタンド使いか。面白い。そいつをペット・サウンズと名付けよう。このペット・ショップと同じくらい私の意思に従うよう、調教しろ」
──「……はい、DIO様」

(あれは、DIOッ! これは……鸚鵡の記憶?)

──「なるほど、いい記念になりますね」
──「ぼくだっていやだ!」
──「花京院がやられたッ!うわあああっ かッ!花京院が目をーーーッ」
──「残念だが……この旅……花京院はリタイヤせざるをえないかもな……」
──「数日したら包帯がとれる……すぐに君たちのあとを追うよ……」

(今度は……典明お兄ちゃん!)

──「「「「花京院ンンンンーーーーーッ!」」」」
──「ええ……もう大丈夫です……少しキズは残ってるんですが、しっかり視力はもどりました」
──「花京院、きさまこのゲームやり込んでいるなッ!」
──「答える必要はない」

(……典明……お兄……ちゃん……)

──「ぼくもポルナレフと同じ気持ちです」
──「思いつきました。DIOのスタンドの正体をあばく方法を……」
──「くらえッ!DIOッ!半径20m エメラルド・スプラッシュをーーーーッ!」
──「マヌケが……知るがいい……『ザ・ワールド』の真の能力は……まさに! 『世界を支配する』能力だということを!」

──「花京院ッ!」

(う……うそ……)


──「花京……院……」

(典明お兄ちゃんは、お腹を貫かれて貯水槽に叩きつけられて死んだ……車の事故ではなくて……殺されたッ! DIOに、殺されたーーーーッ!!!)

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!」

花京院涼子は絶叫した。

その後、目を閉じると崩れるように倒れ込んだ。
床に頭がつく前に、慌てて仗助がしゃがんで体を支えた。
「せ、先輩! どうしたんすか!!」
ホル・ホースも階段を降りてきて側にしゃがみ込んだ「おい、どうした、嬢ちゃん。鸚鵡に髪の毛食われたと思ったらよ。」
完全に気を失った涼子をささえていた仗助が、自分のスタンドを出現させた。
ギョッとしたホル・ホースが「おい、何すんだ仗助、ちょっと待てッ!」と慌てて止めた。
「いや、さっきの犯人、鸚鵡に肉片を飲ませて操ってたらしいんすよ。”同期”とか言って。体の一部を飲ませて”同期”されるんなら、髪の毛でもそうなりそうだし、”同期”されて倒れちまったんなら、飲んだやつを戻せば……」
「だから、待てっつってんだッ! おめえのスタンドとこの記憶のスタンドの組み合わせはまじい!」というと、ホル・ホースは仗助の耳元に口を寄せ、階段の上を親指で指さしながら「また幽霊引っ張り出しちまったらどうすんだ」と続けた。

ホル・ホースの指差す先を仗助が見上げると、階段の一番上から、花京院典明の幽霊が顔を出して、こちらを見下ろしていた。

仗助は「っス」とスタンドを戻し、涼子を廊下の床に横たえた。
長かった前髪の一部は眉ぐらいに短くなっていた。
それを飲み込み終わった鸚鵡は涼子の頭の上の床に立って、涼子を見下ろしながら小さな足で頭の上を行ったり来たり歩いている。まるで涼子の目が覚めるのを待っているようだ。

涼子と鸚鵡を見ていたら、いつの間にか花京院典明の幽霊が傍にやってきていて、仗助はギョッとした。
(気配も足音もしねえ……やっぱりこいつ……)
その幽霊は、「涼子ちゃん……」と横になった”先輩”を見ていった。
「涼子ちゃん? 知ってんのか、えっと……」
さっきまで戦っていたことも忘れて思わず幽霊の言葉に仗助が聞き返すと、
「花京院、花京院典明だ。この子は従姉妹の花京院涼子……だと思う。父の弟の娘だ。僕が知っているのはもっと小さな女の子だったが、面影があるし、叔母さん……彼女の母親の若い頃によく似ている。」
「あ~」とホル・ホースが帽子をかいた。「このお嬢ちゃんの髪型、お前のか……イヤリングもそうだよな。どっかで見たとは思ったんだが……」

仗助は横で涼子を見ている花京院典明を見た。
さっきまでの涼子と同じ前髪を一部伸ばした赤茶色の髪に、切れ長の目、高い鼻、横に大きな口。この男も女性的な顔立ちではあるが、どちらかというとクールで落ち着いた印象を与える。
花京院涼子の方は、丸い大きな瞳に丸みを帯びた頬から小さな顎にやはり小ぶりの鼻と口で、可愛い感じの顔立ちだ。少し茶色寄りのふわふわした印象の髪は色を除けば似ているかもしれないが、それ以外は親戚といってもだいぶ顔立ちが違っている。
(典明お兄ちゃんね……この顔でこいつの真似してたんなら、違和感ありまくりだよなあ)
しかし全体をまとう雰囲気はなんとなく似ている気がしていた。二人ともなんというかどこか品があるのだ。

「そのリョーコちゃん、どうします? スタンドで治さねえんなら、どっか担ぎ込みます?」
「うーん、怪我もなさそうだし顔色もいいし、ただ気ぃ失ってるだけに見えるけどなあ」
あ、と仗助が思いついて、
「ここからちょっと言ったところに、診療所があるんすよ。そこに連れてってみてもらうのはどうっスか? うちのじいちゃんの友達がやってるところで、おれもガキの頃から世話になってて、ここの校医もやってるんセンセーなんす。内科だけど怪我も診てくれるし。茂庭医院っつーんすけど」
「茂庭医院!? ここは、杜王町なのか?」と隣の幽霊が驚いて周りを見渡し、シートの隙間から校庭をみて、「ここは、ぶどうヶ丘高校なのか?」とまた驚いた。
「知ってんのか、花京院?」とホル・ホースも驚いて聞き返すと、
「通学して……いた」と校庭を見ながら答えた。
また先輩かよ……と仗助は内心ため息をついた。

ホル・ホースは立ち上がると、幽霊を見て「なあ、花京院、とりあえずオレたちと一緒に来ねえか」といった。
幽霊は少し驚いたようだった。
「さっきも言ったが、あれから10年経ってる。おれも今はしがない探偵だ。今回はこの鸚鵡を探しに日本へきて、こいつに会って手え貸してもらってた」と、鸚鵡と仗助と指さしていい、「どうもこいつとこの鳥のスタンド能力が合わさったことで、さっきお前が現れたらしい」と続けた。
幽霊も仗助と鸚鵡を見た。
鸚鵡は地面からパサパサと飛んでちょんと涼子の肩に止まった。結構な重さなので仗助がどかそうとすると、今度は涼子が両手で抱えていたカバンの上に乗る。どうも涼子から離れたくないらしい。

ホル・ホースが続ける。
「あの戦いで負けた、おれらDIOの配下だったスタンド使いたちは、今SPW財団の監視下に入っている。違法行為はしてない。しないって約束させられたからな、電柱頭のフランス人によ」
じっとホル・ホースを見て話を聞いていた花京院典明の幽霊は、「いいだろう、同行しよう」と返した。
ホル・ホースは仗助を見て肩をすくめた。
(花京院典明の幽霊が現れたなんて噂になったらコトだぜ。SPW財団どころかあの男がきちまうからな)

ホル・ホースは廊下部分においてある工事用品や袋詰めのところへ行って、風呂敷ぐらいの大きさのシートを持ってきて、花京院典明に渡した。
「じゃあ、スタンドでこいつ頭からかぶってろ。地元だったら顔見られるとよ、まあ……色々面倒だろう……10年経ってるんだから……嬢ちゃんもいるし体調が悪いとかなんとかでいけんだろ」
花京院典明はスタンドの腕だけ出して大人しくシートを頭から被った。
ホル・ホースは、仗助と上のボインゴに声をかけた。
「じゃ、そのなんとか医院か、いくぞ」


仗助は鸚鵡の乗った花京院涼子を抱き上げて、その軽さと柔らかさに驚いていた。
彼女の耳にはもうさくらんぼのイヤリングはなかった。


次の話(1-6 黄昏時、町は黄金色に)  
目次  前の話(1-5-① 蘇る法皇①)

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