4-2 墓参り1
*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません。
おもいっきりネタバレしています!!!
目次 前書き&注意点 前の話(4-1 カフェ・ドゥ・マゴにて)
花京院典明の墓前。
花京院涼子がしきりに話しかけていた。
4月から通い始めた短大のこと。広い校舎に階段教室、初めてできた友人に、選択した講義が変わった教授にあたりすでにレポートが難しいこと。英会話の授業では褒められたこと。薙刀サークルがなかったので空手部に入ったこと。
父親がアウトドアに凝り始めたこと。母親は付き合わず、テニス教室に通い始め、いい年して若い先生に夢中になっていること。
昨日久しぶりにあった、伯父と伯母──典明の両親の様子。
それから──
「夏休みにエジプトに行くの。お父さんもお母さんもずっと反対していたんだけど、ツアーに参加するならって条件で許可が下りたの。
あれからね、ボインゴさんと文通を続けているのよ。ボインゴさん、翻訳者になるつもりで、話し言葉や書き言葉を練習しているのよ。
この前の手紙には、お兄さんの結婚式に参列したって書いてあったの。ご夫婦そろってスタンド使いらしいのよ。今度合わせてくれるって。
それから、ホル・ホースさんからも電話がきたのよ。どこからかわからないけど遠くからみたい。ボインゴさんのお兄さんの結婚相手、とっても綺麗な方だって悔しがってたけど、『俺はこれからも世界中の女たちを喜ばせて過ごすのさッ!死ぬまでなッ!!』って。私が行く時に一緒に待っててくれるって。
サルジュも元の飼い主と静かに暮らしてるから、会わせてくれるって言ってたわ。それにマライアさんって別のスタンド使いにも。みんな私も見れるスタンドだからって……」
返事はない。
再び骨壷が納められ、綺麗に清められた墓の上を、涼しい風が吹き抜けた。
前髪は眉の上、後ろ髪は耳の下に切りそろえられた、ウェーブのかかった茶色の髪が、風に吹かれて揺れた。
花立に溢れんばかりに供えられた色とりどりの花々も、風に吹かれて揺れた。
もう花京院典明の幽霊が、涼子の前に現れることはないのだろう。
滲む涙をそっと拭う。
それでも。
それでも、あの奇跡の2日間、典明と一緒に過ごすことができて、本当に良かった。
自分の、自分自身の人生を生きる決心がついた。
そして今、涼子は、自分自身の今後の人生について、もう一度考えていた。
「また来るわ、典明お兄ちゃん」
立ち上がって手を振ると、くるりと墓に背を向けた。
また、涼しい風が吹き抜けた。
墓場から道に出る時、長身の男とすれ違った。
ここから先はうちのお墓だけなのに……と首を捻ったが、千年に渡る花京院一族は数多くこの墓地に眠っており、それぞれの外戚、友人、知人まで含めると多岐に渡る。当然涼子は全て知るわけはなかったので、その誰かの縁者だろうと思い気に留めなかった。
涼子は小さな腕時計で時間をみた。
時間はまだある。
伯母に勧められた駅前のカフェ「カフェ・ドゥ・マゴ」へ、行ってみることにした。
