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3-1-① ボインゴは山へ遠足に①

*注意*
本作は『ジョジョの奇妙な冒険』および『クレイジー・Dの悪霊的失恋』をもとにした非公式の二次創作です。
原作および出版社とは一切関係ありません
おもいっきりネタバレしています!!!

目次  前書き&注意点  前の話(幕間2 老警官の通勤)


「しっかし、日本のポテトチップスはいろんな味があるよなあ。なんだあ、これは?」
ホル・ホースが仗助の手から袋を受け取りながら言った。
「のりしお味っスよ、兄貴。結構うまいっスよ」
「この緑がのり、かあ? なんでポテトにのりをくっつけようなんて考えたんだ、日本人は……結構いけるじゃあねえか」
「でしょう? まあ、おれはワサビ味が好きなんスけどねえーなかなか売ってないんスよ」
「ワ、ワサービ?! クレイジーだなあッ!オイッ!」

大きなランドクルーザーの助手席に座った仗助と、その後ろの座席に座ったホル・ホースが、ポテトチップスをやり取りしながら、感想を言っている。
ホル・ホースの右隣に座ったボインゴの前に、右隣に座った涼子から6角形の筒が手渡された。
「ポテトの他にもお菓子あるわよ、ボインゴくん。これはどうかしら?」
「……これ……コアラ?」
筒から取り出した小さなお菓子は、丸く平たくなって、片面にコアラの絵が描かれていた。
「そう、コアラのお菓子。中はチョコレートで甘くて美味しいわ」
ボインゴがつまんで口に入れると、周りのサクッとした感触に中に詰まっていたチョコレートが口の中に広がった。
(……おいしい……)

「チーズ味に……こっちはピザポテトか。……僕の知らない味が増えた。」
運転席にいる花京院典明が、ハイエロファントグリーンの触手で仗助の抱えた大量のお菓子をつまみながらつぶやいた。
「悪いなあ、典明クンよお。食えねえのに横でパクパク食っちゃってさあ」
仗助の声に典明が少し表情を緩ませて答えた。
「いや、これから山で吸血鬼と戦闘だ。みんなには体力をつけてもらおう。僕には気にせず食べてくれ」
「典明お兄ちゃんは、お腹すかないの?」
と涼子が心配そうな表情で、後ろの席から前の運転席の典明を気遣った。両手をハンドルに伸ばしてはいるが、実際に運転しているのは彼の体から伸びるスタンド・ハイエロファントグリーンの手足だった。
「すかないね。幽霊に食事はいらないだろう。でも、僕の知らない新しい菓子をこうして色々見るのは面白いよ。」
典明は後ろを向いて涼子にも微笑んだ。横から仗助が後ろ向きに顔を出し、
「先輩もポテチどうぞ……って、先輩の金で買ったやつっスけど」
と涼子のお菓子の袋を渡し、涼子は受け取った。
「ありがとう。やっぱりコンソメよね。」

ボインゴが後ろを見ると、シートが倒されて荷物置き場になった3列目には、ペットボトルのお茶に水、ジュース、クーラーボックス、チョコレートに飴などのお菓子に、救急箱にタオル、ホッカイロにコンロ、魔法瓶、ロープやランプなどのアウトドア用品、リュックにナップザック、タイヤチェーンにスコップが置かれていた。
さらに、脱いだコートとダウンが畳んで置かれていて、コートの上に白い鸚鵡が気持ちよさそうに目を閉じていた。
その横には、乾燥ニンニクのブレスレッドに、薙刀と日本刀が斜めに置かれている。

ボインゴは、昨日からの目の回るような展開──鸚鵡、幽霊、吸血鬼……を思い出していた

始まりはホル・ホースの鸚鵡探しの手伝いだった。ボインゴが日本の杜王町に到着したのは、つい昨日のことだ。
その時は想像もしていなかった。吸血鬼退治に車で向かうなんて。

杜王町に到着するなり、ホル・ホースとはぐれてしまい、一時自分のスタンド・トト神も手放してしまった。ボインゴは警察に保護され、親切な初老の警官・東方良平と知り合った。
一方、ホル・ホースは良平の孫の仗助と知り合ったが、仗助は壊れたものや人の怪我を治す能力をもったスタンド使いだった。ホル・ホースは仗助に鸚鵡探しの協力を頼んだが、実は鸚鵡も過去を再現し体験させる能力のスタンド・イシス女神を持つスタンド使いだったと判明。人間に利用され杜王町で騒ぎを起こしていた。
仗助とホル・ホースで鸚鵡を悪用した人間を制圧したが、トト神を手に入れた花京院涼子が予言に従い鸚鵡を手に入れた。
しかし、その直前、鸚鵡のスタンド能力と、仗助のスタンド能力が干渉し合って新しい力が働き、10年前にDIOと戦い死んだ花京院典明が、幽霊となって蘇った。
トト神はボインゴの元に戻り、ホル・ホースは鸚鵡の交渉のため、杜王町にある花京院家に涼子と訪問した。そこへ賊が侵入し、ボインゴの予言で連絡を受けた仗助と花京院典明が向い制圧。その賊が吸血鬼の手先であり、吸血鬼がパワーアップするための宝石・アクリドルの水晶を盗みに入ったと白状した。直後別の異様な賊が侵入し、水晶を盗み出されてしまった。
吸血鬼は杜王町を狙っているという情報を得て、花京院典明・涼子・東方仗助は吸血鬼退治を決断。そのために涼子は鸚鵡の力を必要としており、ケリが付いたら鸚鵡を返却してもらう約束でホル・ホースも吸血鬼退治に協力することになった。

で、ボインゴもそれに協力することになった。

特に戦闘向きではないスタンド能力のボインゴが吸血鬼退治に行くのは、なぜか。
成り行きといえば成り行きである。
また、予言が出たというのもある。
漫画本の形式で予言をするトト神で、吸血鬼退治にボインゴも行くと予言が出たのだ

《今度は山で吸血鬼退治だよ!
吸血鬼をぶっ飛ばしちゃうんだ!!
これでボインゴ!
君のバラ色に輝く未来が確定だーーーッ!》

セリフの下には、長い棒のようなものを手にしたボインゴが、黒いシルエットにむかっている。
いつもシュールに描かれるボインゴのイラストだが、この絵では必死そうな顔をしている。
(……こんな顔も描くんだ、トト神)

ボインゴの予言は絶対だ。
100%確実に起こる、運命だ。
たとえボインゴが嫌でもボインゴが吸血鬼退治に行くことは決定している。もっとも、ボインゴ自身が吸血鬼をぶっ飛ばすのかどうかはわからないが。
だから、ボインゴは吸血鬼退治に向かっている。

自分は、吸血鬼退治に行くのは、嫌、なんだろうか。
そしてこの予言は、預言、なのだろうか。

通報を受けて昨夜遅くに花京院家にやってきた警察の中には、良平もいた。
良平はスタンドも吸血鬼も知らないそうで、「すまんね、ボインゴくん。せっかくの日本旅行がこんなことになって」と謝ってくれた。
ボインゴは首を左右に振った。
しかし、警官がたくさん集まってバタバタしていたこともあり、探していた漫画本・トト神が見つかったと良平に伝えそびれてしまった。
良平に励ましてもらったから、ボインゴはトト神を探しにでることが出来たのだ。結果はどうあれ。
礼を言うべきだったし、本当は、いいたかった。
なのにボインゴの口は、いいたいことほど上手くでてこないのだ。

そうして、ボインゴはホル・ホースと警察の調書に協力し、夜遅くに泊まっているビジネスホテルに戻った。

ホル・ホースはつけていた3つの腕時計を外してベッドボードに置き、シャワーを浴びると、すぐに下着姿で布団にくるまって先に寝てしまった。

ホル・ホースとの付き合いは、ボインゴが7歳の時からで、12年になる。
DIOが消え、DIOの手下だったスタンド使いたちがSPW財団の傘下になってからも、こうやってホル・ホースの仕事に、たびたび付き合わされてきて、泊まりで遠くに行くことも多かった。
嫌だと言ってもほぼ強制的に連れていかれ、その上料金の支払いは悪く、何かというと怒って不機嫌になり、途中女に声をかけに行ってしまう。
しかし、ほぼ引きこもりのボインゴの人生の中で、兄以外で一番接した時間が長いのは、この男だった。
記憶をたぐると、以前仕事に付き合わされて泊まった時は、ホル・ホースは、ナンパだデートだと夜中歩き回っていつも朝帰りで、ボインゴは、ホテルや宿でひとり待っていたと思う。

ボインゴも、知らない日本にきて色々ありすぎて、疲れを自覚していた。
なので、のそのそとシャワーを浴びると電気を消して早く寝てしまった。

翌日にはホル・ホースと遅めの朝食をとりながら前日の情報をすり合わせ、ホテルを出て杜王町の町中に買い物に出た。
暑い国の生まれのボインゴにとって、3月末の日本の東北の寒さは堪えるもので、ホル・ホースに買ってもらったセーターにオレンジのダウンを着ていたが、これから雪山となるとこれでは不十分らしかった。ちなみに、ホル・ホースはいつも持ち歩いている黄色いウールポンチョを持っていた。寒さに強いからこれで大丈夫なんだという。
ホテルの店員に買い物先を訪ね、駅から見える亀のマークのついたデパートにやってきた。

デパートを入ると、丸テーブルに椅子が並んだ空間があり、その奥に飲み物やアイスを売っている店があった。そこで食べられるらしい。
「オレはここで待ってるぜ。この建物にいりゃあ流石に迷子にはならねえだろう。」
とホル・ホースは椅子に座った。
1人で買い物をすることがほとんどないボインゴはちょっと戸惑った。
が、19にもなって、しかもホル・ホースに付き合ってもらわないと買い物もできないのは情けない。昨日の迷子は異国で勝手がわからなかったのだから、仕方ない。
そう自分に言い聞かせたボインゴは、ホル・ホースを置いて、エスカレーターに乗り上の階に向かった。

ボインゴはスタンド能力のおかげであらゆる言語の聞き取りも読み書きが可能だった。会話ももちろんできるのだが、元々の内気さからどの言語でも母国語でも話すのは苦手だった。しかし、読むのは問題ないどころか、日本語のカタカナも漢字もスラスラ読め、書物の神の本領発揮といったところだった。
エスカレーターの横を見ると、各階ごとの売り場名が書かれた案内表が設置されており、4階・紳士服/紳士靴となっていた。
4階でエスカレーターを降り、大きな漫画本を抱えたモジャモジャ頭のボインゴが、紳士服の並ぶフロアをウロウロしていると、後ろから声をかけられた。

「いらっしゃいませ。本日は何かお探しのお品がございますでしょうか」

振り向くとスーツ姿の男が立っていた。


次の話(3-1-② ボインゴは山へ遠足に②)  
目次  前の話(幕間2 老警官の通勤)

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