見出し画像

【光り物】良い靴は良い場所へ連れていってくれる

────良い靴を履きなさい。良い靴は、自分に自信を与えてくれ、良い場所、良い出会いを運んでくれる。



0.「良い靴」の話(イタリアの諺)

‥‥というわけで、しまったここはblueさん空間だ!!今回の光り物は「靴」について。ブーツ回になります。なお前回記事はコチラから。


筆者は重度の光り物マニアであるが、その一環として「靴」が好きである。その靴にまつわる話で、イタリアにこのような諺(ことわざ)がある。

“Chi viaggia con le scarpe d’oro, può arrivare sino alla fine del mondo. “
『良い靴を履きなさい。良い靴は履き主を良い場所へ連れていってくれる。』

筆者は伊達男ではないのでイタリア靴は履かないのだが、この諺は靴好きなら誰もが「そうだ」と頷くところだろう。

オキニの靴と時計を身に着け、カメラを吊るし、やれたコートを羽織ってのんびり散歩をしながら、出会った景色を切り取るのが筆者のライフワークになっている。

どこまでも歩いて行ける。誰にも邪魔をされない至福の時間である。


1.落ち込んだ時こそ外の空気を吸ってくる

 さて、筆者の記事を読んでくれている方からは周知だが、筆者は普段MBTIの記事も書いている。‥‥書いていた。

ところがその界隈が5月末からバチボコに炎上してしまい、事態を招いたけじめから6月から丸1か月記事の執筆を自粛していた。コイツである。


これには色々と思うところはあったし、方々にも火種や犠牲はあった。そして筆者個人としても精神的ダメージが大きかった。自粛と言いつつも気が休まらず、一時は断筆してnoteを辞めることを真剣に考えた。

何とか外に用事を作るか楽しみでも見つけられればいいのだが、心身ともに消耗していてとてもそんな気分にもならない。

‥‥ならせめて靴でも新調すれば少しは外に出たくなるかなと思い、これもいい機会なのでワードローブの入れ替えを試みた次第になる。実に13年ぶりの更新だ。


2.家賃より高い英国靴

 そんなわけでブーツを物色してみるのだがコレが高い!!インフレ・関税・為替安のトリプルパンチである。10年前とは本当エライ違いで驚く。

筆者は革靴が主食なのでこれは死活問題である。牛肉が食えなくても別に死なないが、革靴が履けなくなれば餓死してしまう。光り物ジャンキーの性である。


革靴が高いのは原皮の高騰に加えて関税率が高いからなのだが、そこに為替安(円安)も乗っかるため10年前に比べると雲泥の差だ。レッドウイングが5万円、英国靴に至っては正規品をまともに買おうものならすぐ10万円オーバーになってしまう。

いかに傷心とはいえ家賃より高い靴をポンポン買うわけにもいかず、これでは貧乏サラリーマンの筆者にはとても手が出ない。さてどうするか。


3.魅惑の中古靴の世界

 そこで今回は中古靴に挑戦してみることにした。筆者は学生時代は古着が好きで、作業員(ブルーカラー)経験もあるため、その辺はまったく躊躇がない。お得な体質である。

そしてブーツはマニアが履く靴なので手入れがなされていることが多く、ワーク系なら休日にしか履けないので中古美品も多い。加えて今は7月、季節外れのためお買い得なのだ。最大のリスクは試着できないことだが、そこは目利きと経験で見切る。


予算は10万円に設定した。今精神ボロボロだし、まあどうせならいい靴を履きたいよねってことでちょいとばかし奮発してみた。代わりに手持ちのブーツはいくつか売りに出すつもりだ。スクラップ&ビルドってやつである。

前回靴を一括購入したには2012年なので実に13年ぶりとなる。RPGで新しい城や街に着いたらまず武器屋に行って装備品一式買い替えるみたいなノリで実に楽しい。


4.今回の戦利品

 そんなわけで今回の戦利品はこの4足。いずれもメルカリで購入・お迎えしたものになる。合計9.7万円でいずれも美品・マイサイズだ。トラッドゆえ流行の影響もなく、普遍的なデザイン・価値を持つ靴である。

それゆえ値崩れしないのが痛いところだが、正規品をまともに買えば30万円オーバーはするのでなかなかいい買い物だったと思う。

(‥‥ん?一足多くね‥‥?)

①White's Boots Semi-dress ¥36,000

 まず一足目はホワイツ・セミドレス。これはファッション雑誌でも引っ張りだこの名品で、アメトラ・アメカジ好きでは知らない人はいないだろう。キングオブブーツとも、ワークブーツの王様とも称される至高の一品である。雑誌の向こう側で眺めるしかできなかった憧れの靴だ。

ホーウィン社・クロムエクセルの艶と柔らかい質感が素晴らしい。さすがはブーツ界のロールスロイスといったところだ。一方で銀面が柔らかいため傷がつきやすく、ラフな使用には気を遣う。油分の多いプルアップレザーなので指で揉めば目立たなくはなるのだが。

もう一つは履き心地だろう。ホワイツはワークブーツでもかなり重い部類で片足1,000gくらいある。大きなカメラと三脚を持ち歩き、ワークブーツを履き慣れた筆者でもこれ少々重たいと感じた。またアーチイーズ(土踏まずの当て皮)があるため、その意味でも履く人を選ぶ靴かもしれない。


実は筆者は既に似た靴を持っている。レッドウィング・ベックマンだ。お気に入りなのだが履きすぎてソールが大破して履けないので、ソール交換するか迷っていたところ‥‥

そこへ中古でいい感じのセミドレスが破格で出品されていたのでチョイスしてみたというわけだ。この靴は通常この価格ではとても買えない。そしてともにブラックチェリーで見た目は似ているのだが、履いてみたところ実態はかなり異なる靴だということが分かって興味深い。

②Wolverine 1000Mile boots ¥20,000

 二足目はウルヴァリン・1000マイルブーツ。レッドウイングがあまりにも有名すぎるためマイナーだが、チペワ、ダナー、ウルヴァリンもワークブーツ界隈では有名で、いい靴を作っている。

この子は珍しいブルーグリーンの個体で、ベジクロ鞣しらしい革本来の風合いを残した絶妙な雰囲気仕上がっている。レアカラーゆえに探しても見つからないことは明らかだし、しかも美品でリーズナブルだったため、たまらず保護してしまった一足になる。


この靴のワイズはDで、これは上記のレッドウィング・ベックマンと同じなのだがこちらの方が細い感じがする。ただベックマンは相当に履き潰して中底が沈み込んでいるので、まあこんなもんかもしれない。

あとやはりが好き。一目見て綺麗な靴だ。革靴ってどうしても赤・茶・黒系統にがメジャーなので重厚な雰囲気が出てしまうが、意表をついて青・緑・白といった涼しい色だとがらりと印象が変わるので面白い。

③Tricker's Malton ¥27,000

 三足目はトリッカーズ・モールトン。いわゆるカントリーブーツで、イギリスはノーザンプトンに工房を構える老舗なのだが、やはりファッション雑誌の常連としてあまりにも有名すぎる靴である。いよいよblueもこの靴を履く年齢になったようだ。

この子は珍しいネイビー(紺色)で、しかもこれまた珍しいコマンドソールがついた個体だ。レザーソールは雨に弱いため普段履きにはゴム製ソールの方が便利で、丁度探していたものになる。オフィスカジュアルを盾にして実は職場でコッソリ履いている。


履き心地としては、英国靴らしい非常にカッチリしたもの。大味なアメリカ靴とは対照的だ。質のいい厚手のカーフレザーを使用し、頑丈に縫い付けてあるだけあって履き心地は硬く、馴染むまで時間はかかりそうだ。

この子は新品同様品だが、筆者は甲高なのでレースアップの当たりが若干キツイ。もう1/2~1サイズ上でもよかったかとも思ったが、だがこの靴はジャストが正解だろう。またジャストで履きたい靴でもある。

この靴は頑丈な反面革が大変固く、ファンの間では修行と呼ぶらしい‥‥笑。中古在庫が比較的多く、割安になっているのはそういう事情もあるのかもしれない。



④Crockett&Jones Bedford ¥14,000

 4足目はクロケット&ジョーンズのベッドフォード。コレは短靴でストレートチップなのだがラインナップが多すぎて正直よくわかっていない。ホワイトのスコッチグレインレザー(シボ革)が目を引く一足。今回の中で一番の破格購入品で、掘り出し物になる。

筆者は油断するとすぐブーツだらけになってしまうので夏用に軽いヤツを、ということで入手。今回の中古靴の中でも一番状態が良く、かつ破格で購入できた掘り出し物となる。やはり白靴はコーデが難しく敬遠されるようだ。

ただしこの靴はフォルムが丸みを帯びていて、ロングノーズやウイングチップのような気障な感じがしないので白靴の中では合わせやすいと思う。


そのままだと綺麗すぎるのでシューレースをブラウンに換えてカジュアルダウンして履くことにした。Tシャツやパーカー、ジーンズみたいなラフな格好でもこの靴を履くと外行きっぽい感じになるので便利だ。

さすがにこの子を会社に履いていく勇気は筆者にはない笑


⑤Chausser C-7060 LACE-UP BOOTS CORDOVAN ¥45,000

 4足で終わるはずが追加で1足増えてしまった靴である。四天王はなぜか5人いるのがお約束というもの。プロレスならセコンドは乱入するのが常である。そんなわけでコイツが今回のキング。


ショセは日本のシューメーカーで恵比寿に直営店がある。他、セレクトショップでも取り扱いがあり業界での評価も高い。独特の丸みを帯びたデザインが特徴的だ。

このレースアップブーツはブランド初期の頃からあるモデルで、学生時代に代官山のOKURAで見かけたことがあった。その時の印象が忘れられず18年後巡り巡って手元に来たのだが、その時の記憶と寸分違わない整った佇まいをしている。艶とオーラも半端ない。


いろんな意味で究極の一足。9ホールとロガーブーツ並にシャフトが高く、しかも「革のダイアモンド」ことコードバンである。こんな靴まず買えない。そもそも売ってない。なので出会ったが最後、入手するか見なかったことにするかになるのだが、筆者は敢え無く好奇心に負けた。

お世辞にも普段使いしやすい靴とは言えない。これで会社通勤は無理だ。しかしそれを補って余りあるロマンの塊でもある。そして実際に手に取り履いてみないとわからない靴だろう。

そして履いて分かった。これは間違えなくいい靴だ。


まとめ

靴の回廊

 そんなわけで今回はブーツネタだった。炎上でフラストレーションがかなり溜まった結果、思い切っての豪遊だったが後悔はしていない。一見すると無計画な散財に見えるが、10年来欲しかったものを考え抜いて入手した形なので、こういうお金の使い方は割と有意義と思う。

前回に靴を集めたのは2012年なので実に13年ぶりの更新となる。人間13年も経てば好みや着こなしは変わるし、ライフステージも随分と進んでしまう。


あの時小僧だった筆者は今やすっかりオッサンだし、今を時めくZ世代の若者も遡れば小中学生である。有限の時を生きる我々にとって13年という時の経過は決して軽くなく、人を変えるには十分すぎる。

筆者はいわゆる平成敗残兵である。世の中が令和になって久しい中、心のどこかでまだ「平成」を引きずって生きている節があるのだが、これで少しは令和の世界に踏み出せただろうか。

①デジタルデトックスのお供

 とはいえ新しい靴があると履き慣らしたくなるし、必然的に外出するようにもなる。ネット炎上もあり、親族との別れもあり、転勤の内示もあり。かなりゲンナリした6月だったが光り物パワーで結果的には乗り切った。

ネットやSNSはかじりつきすぎるのもよくなくて、デジタルデトックスも一定必要だと思っている。この6月はnoteを自粛していたので、なるべく意識的に外出しようと心がけていていたのだが、そのきっかけをくれたのは「靴」だった。

ホタルを撮りに公園に通ったり、転居先候補の街歩きをしたりと、気が滅入った時に外出する元気を与えてくれ、普段身を置く生活圏から少し離れた場所に連れて行ってくれるのは「良い靴」の力だろう。何をするでもなく、歩きたくなってしまう。歩くのが純粋に楽しいのだ。

②いつもの仕事に花を添える靴

 これは仕事もそうだ。好きな靴を履けるなら会社へ向かう足取りもいくらか軽くなるというものだ。代り映えのしない灰色の日常でも、歩き出したそのつま先から少しだけ世界が鮮やかになる。

上記のトリッカーズは外羽根・ウイングチップ・ブーツと本来フォーマルじゃ履いてはダメな靴なのだが、筆者の職場はオフィスカジュアルゆえにセットアップやチノパンはOKで、周りを見るともっとラフにポロシャツ・スポーツシューズみたいな人も多い。


なのでそのくらいはいいんじゃないかな、ということでコッソリ履いて行っている。土日だとそれこそワークブーツで公然と出勤してることもあるのだが、好きな靴を履ければ休日出勤も多少は楽になるというものだ。もちろんドレスコード・TPOを弁える必要はあるが、こういう遊びもあっていい。

そんなわけで皆様も思い悩んだら「良い靴」を履いてみよう。きっといい良い場所に連れて行ってくれるから。

いいなと思ったら応援しよう!