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bokonyan
【毎週ショートショートnote】「涙」「鉛筆」
「あなたに伝えておきたいことがあって」
それは彼女からの突然の告白だった。
「実は私、過去のトラウマで涙が出ないの」
そんな馬鹿な。君は泣いていたじゃないか。
嬉しいときも。怒ったときも。哀しいときも。楽しいときも。
「それは道具を使っていたから」
君がポーチから取り出したのはもう削れないほど短くなった鉛筆だった。
「これは涙鉛筆。こうやって目尻にラインを引くとほら」
目を瞑るとラインが溶けて涙のようなものがこぼれ落ちる。
「残りが少ないから本当に泣きたいときのためにとっておきたくて。もう泣けない私でも、好きなままでいてくれる?」
そういうことか。なら答えは簡単だ。僕は君に恋したのであって君の涙に恋したわけじゃない。
返事の代わりに君をぎゅっと抱きしめた。
「ありがとう。え、あれ、なにこれ」
すると君の目から堰を切ったように涙が溢れ出てきた。さっき引いたラインはもうとっくに消えているのに。
なんだ、涙鉛筆なんてなくても泣けるじゃないか。
(410字)
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前回のお題「ショートショート」「王様」
次回のお題「カミングアウト」「コンビニ」
以下、今回の本文作成に至るまでのアイディアめも。
アイディアの羅列
涙:流れる、悲しい、ぴえん、泣く、溜まる、嬉しい、
鉛筆:書く、削る、芯が折れる、デッサン、HB、六角形、
アイディアの組み合わせ
泣けない彼女の涙を描く鉛筆:彼女は泣けない。鉛筆でアイラインを引くと涙が出てくる不思議な鉛筆。削るとなくなる有限アイテム。鉛筆がなくても泣けるようにしてあげたい。
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