【背景制作 #7】クオリティをどこで確定させるか
背景制作では、
あるタイミングで必ず迷うことがある。
それは
「どこまで作れば完成なのか」
という問題である。
岩を作る。
草を置く。
建物を作る。
どこまで作り込めばいいのか分からない。
足りない気もするし、
作りすぎている気もする。
新人が一番迷うのは、
ここである。
だが背景制作では、
この問題には実は答えがある。
それは
最初にクオリティの基準を作ることだ。
この記事では、気になるところから読んでも大丈夫です。
目次
最初に「基準になる場所」を作る
最初から完璧を目指さなくていい
迷ったら資料に戻る
そのクオリティを全体に展開する
クオリティがバラバラになる理由
これはアニメ背景でも同じだった
クオリティは「途中で決めるもの」ではない
背景制作は「基準の仕事」である
最初に「基準になる場所」を作る
背景制作では、
最初に
クオリティの基準になる場所
を作る。
ここで迷う人も多いのだが、
判断の目安はわりと単純である。
画面の占有率が高いものから作る。
例えば屋外の背景なら
地面
空
屋内なら
壁
床
このあたりが
画面の大部分を占める。
つまりここが決まると、
シーン全体の色や雰囲気もほぼ決まる。
象徴的なオブジェクトから作るのも一つの方法だが、
迷ったときは
まず面積の大きいところから作る
と考えると分かりやすい。
最初から完璧を目指さなくていい
ここで大事なのは、
最初から完璧を目指さないこと
である。
理想を言えば、
完成に近いクオリティまで作れると良い。
しかし新人のうちは、
そこまで一度で作れることは少ない。
だからまずは
7割くらいのクオリティ
を目指す。
それでも
基準としては十分機能する。
基準とは
完璧なものではなく、
「判断の物差し」だからだ。
背景制作では、
0から100を作るより
70を基準に全体を揃える方が重要
だからである。
迷ったら資料に戻る
制作していると、
どうしても迷う瞬間が出てくる。
この地面でいいのか。
この空でいいのか。
この色で成立するのか。
そういうときは、
資料に立ち返る。
実写の写真でもいいし、
既存のゲームでもいい。
自分が作ろうとしているものを
よく観察する。
そして考える。
ゲームにはポリゴン数やテクスチャ容量など
様々な制約がある。
その制約の中で
どうすれば近い表現ができるのか。
それを試行錯誤して作れたものが、
そのシーンのクオリティの基準
になる。
そのクオリティを全体に展開する
基準ができたら、
次にやることは単純である。
それに合わせる。
他の岩も、
同じ密度にする。
他の建物も、
同じ解像度にする。
他の木も、
同じ情報量にする。
背景のクオリティは、
平均で決まるのではない。
基準で決まる。
基準があると、
判断が早くなる。
これは作り込みすぎている
これはまだ足りない
比較できるからだ。
クオリティがバラバラになる理由
基準がない状態で作り始めると、
ほぼ確実にこうなる。
ある岩だけやたら作り込まれている。
別の岩は簡単な形のまま。
木の密度もバラバラ。
つまり
クオリティが揃わない。
背景は、
個々のモデルの完成度で評価されるものではない。
シーン全体の統一感で決まる。
どれだけ良いモデルが一つあっても、
周囲と合っていなければ
それはノイズになる。
だからこそ、
最初に基準を作る。
これはアニメ背景でも同じだった
私がアニメ背景を描いていた頃も、
同じ考え方だった。
まず
空の色を決める。
地面のトーンを決める。
遠景の山の色を決める。
それが決まれば、
画面の大半は自然と整う。
逆にここが決まっていないと、
いくら描き込んでも
画面はまとまらない。
3Dでも同じである。
背景は、
個別のモデルの集合ではない。
空間としての完成度で決まる。
クオリティは「途中で決めるもの」ではない
新人の頃、
よく見かけたのがこの状態である。
とりあえず作る
後でクオリティを上げる
最後に整える
しかし実際の制作では、
この方法はうまくいかない。
理由は簡単である。
作る量が多すぎるからだ。
背景は、
ひとつのモデルを作る仕事ではない。
何十、何百という
オブジェクトを扱う。
最後にまとめて調整することなど、
ほぼ不可能である。
だから
最初に決める。
クオリティは
途中で探すものではない。
最初に作る基準で決まる。
背景制作は「基準の仕事」である
背景制作は、
技術だけの仕事ではない。
判断の仕事である。
そしてその判断を早くするために、
最初に「基準」を作る。
何を基準にするのか
どこまで作るのか
どこで止めるのか
それを決めることで、
制作は一気に進む。
逆に基準がないと、
最後まで迷い続けることになる。
次回は、
「色はライティングである」
という話を書こうと思う。
背景では、
色は単なるテクスチャの問題ではない。
光の設計そのものだからだ。
