海苔弁を食べていた夜も、投資の積立は動いていた。
仕事がしんどくて、
それどころじゃなかった時期、ありませんか。
私にはあります。
しかも投資を続けていた7年間のうちの、
かなりの部分を占めていました。
辞令が出たのは、コロナ暴落の翌月でした。
営業戦略の部署から、本社の人事部門へ。
エレベーターを降りて、会社の外に出た瞬間、
頭の中で考えていたのは転職のことでした。
投資のことは、これっぽっちも浮かびませんでした。
異動は、悪い話ではありませんでした。
本社勤務になって、年収が上がった。
額面だけなら、前の年より100万円ほど増えた。
でも単身赴任になった。
家族と離れて、見知らぬ土地でひとりで暮らす。
単身赴任手当は出るけれど、生活費もかかる。
手元に残るお金は、それほど変わらなかった。
そして、上司が合いませんでした。
役員の言いなりで、考えがコロコロ変わる。
昨日と今日で言っていることが違う。
こちらが必死で準備しても、翌朝には「やっぱり方向性が変わって」と言われる。
そういうタイプでした。
悪い人ではなかったと思います。
ただ、私には無理でした。
家族と離れて、合わない上司のもとで働く。
それが、当時の現実でした。
だから、転職しようと思いました。
年収が上がったことで、転職市場では少し有利に動けると思っていました。
実際の手取りは変わらなくても、
提示できる数字だけは増えていたからです。
家族のことを考えると、
年収は大幅に下げられない。
でも今なら、ある程度条件を保ちながら動けるかもしれない。
そう思って、転職活動を始めました。
気づけば、30回近く落ちていました。
感触がよかったと思っても、
不採用の連絡が来る。
理由はほとんど同じでした。
募集している枠に対して、
経験やスキルが足りない、と。
そんなのわかっていました。
そのうえで、自分なりに貢献できるポイントを伝えていた。でも、全然ダメだった。
何度も続くと、仕事の能力じゃなくて、
自分という人間が否定されている気がしてきます。
単身赴任先の自宅に帰って、
仕事着のまま近くのオリジン弁当に寄る。
海苔弁を買って、一人で食べる。
それがほぼ毎日でした。
夜ご飯を何にするか考えるのも、しんどかった。
エントリーシートを書き直す気力もない夜は、
海苔弁を食べながら、ぼんやりスマホを眺めていました。
求人票を見ることもあれば、
何も見ないこともあった。
証券口座を開いたことは、
ほとんどなかったと思います。
投資のことを考える余裕がなかった。
でも、積立の設定は動いていました。
毎月、自動で引き落とされていた。
私が海苔弁を食べていた夜も。
また落選通知が来た夜も。
何もする気になれなくて早く寝た夜も。
触らなかったのは、意志があったからじゃない。
触る余裕がなかっただけです。
もしあのとき、毎日、口座を開いていたら、
不安に駆られて途中で売っていたかもしれない。
しんどすぎて画面を閉じていたからこそ、
そのまま続いていた。
転職活動が終わったころ、
久しぶりに証券口座を開きました。
数字は、増えていました。
息がついた。
でもすぐに、また現実に戻りました。
面接のしんどさが消えたわけじゃない。
増えているとか減っているとか、感情的に受け取る余裕は、正直あのころはありませんでした。
ほんの少しの救いでした。それだけです。
画面を閉じれば、相変わらずしんどい現実が待っていました。
本当の意味で楽になったのは、
もう少し後のことでした。
言われた通りにやる。深く考えすぎない。
昨日と今日で話が変わっても、
全部を真面目に受け止めすぎない。
そうやって少しずつ、慣れてきた。
それが、ほんの少しの光明でした。
投資口座を開けない時期があっても、
積立の設定さえ生きていれば、
それで十分だったと今は思っています。
単身赴任でなくても、仕事の変化や人間関係で頭がいっぱいになった時期は、誰にでもあると思います。
そういうときほど、投資のことなんて考えられない。でも設定さえ生きていれば、その時間も無駄にならない。
転職できなかったことを、
後悔していないと言えばうそになります。
40歳を目前にして環境を変えられていたら、
違う景色があったかもしれない。
そこだけは、少し惜しいと思っています。
でも、こうも思います。
あのしんどかった時期に、積立を触る余裕がなかったから、余計な売買をしなかった。
余計な売買をしなかったから、続いた。
続いたから、今がある。
仕事がつらくて、それどころじゃなかった。
その「それどころじゃなかった」が、
7年後の資産の土台になっていました。
凡人に必要だったのは、正しい判断ではなく、
触れない時間でした。
あの夜、一人で海苔弁を食べていた私に、
教えてあげたい。
私は今日も、積立の設定を触っていません。
凡人太郎
あのとき、手動で積立をしていたら、
確実に今の資産はなかったと思います。
どんな方でも、少なからず投資どころではない
状態になるときはあるのではないでしょうか。
この記事をきっかけとして、
興味を持っていただけたなら、
「フォロー」しておくと、
次の記事も見つけやすくなると思います。
次回は、積み立てが止まる話。
積み立てが止まってしまう、
それって、どんなときですか。
相場が上がりすぎてるとき。
大きな含み損が出て、
投資に自信が持てなくなったとき。
たぶん、
もっと止まるときがあると思っています。
そんな話です。
👉️次の記事(投資家の積立を止めるのは、いつも人生だった。)
👈️前の記事(面接30回落ちた凡人が、7年後に「辞めてもいい」を手に入れた話)
いいなと思ったら応援しよう!
私の記事が参考になれば、それが一番の喜びです。
引き続き応援よろしくお願いします。