2-9 制約とネガティブ指定:やってはいけないことを伝える
AIの出力から「頼んでいない部分」を消す作業が、いつのまにか日課になっている。毎回同じところが余計——この既視感、ありませんか。
AIは放っておくと「ありがちな方向」へ流れる仕様です。柵の立て方を教わっていないだけです。
仕組みさえあれば、解決できます。
◆この話が復習になる人:「やらないでほしいこと」を先回りで指定できている方。その場合は2-10_逆質問へ。

このレクチャーのゴール: 「してほしいこと」だけでなく「してはいけないこと」を設計し、出力の暴走を防げる。
AIは学習データの「ありがちなパターン」に流れる性質があります。だから「してほしいこと」だけでは足りず、「してはいけないこと」の柵が必要なのです。特に「資料にないことは推測せず『不明』と書いて」の一文は、ハルシネーション対策として最も費用対効果の高い制約です。
プロンプトの多くは「◯◯して」という正方向の指示ですが、それだけでは足りない場面があります。三つ目の応用テクニックは制約の設計——出力の範囲に柵を立てる技術です。
制約がないとどうなるか。ブログ記事を頼めば専門用語だらけになり、提案を頼めば予算度外視の案が並び、要約を頼めば勝手な解釈が混ざる。AIは学習データの「ありがちなパターン」に流れるので、あなたの事情に合わない方向へ膨らみがちなのです。
制約には2つのアプローチがあります。ポジティブ制約は範囲の限定です。「予算50万円以内で」「既存システムを変更しない前提で」「この資料の情報だけを根拠に」。ネガティブ制約は禁止事項の明示です。書き方は3パターンあります。①行為の禁止:「専門用語を使わないで」。②内容の除外:「競合他社への言及は含めないで」。③推測の禁止:「資料にない情報は『不明』と書き、推測で補わないで」。特に③は、ハルシネーション対策として実務で最も価値のある制約です。
効果的な制約を書く3原則があります。第一に、具体的に禁止する。「変なことを書かないで」では柵になりません。第二に、理由を添える。「読者は非エンジニアなので、専門用語は避けて」と理由付きにすると、AIは境界ケースを適切に判断できます。第三に、数を絞る。禁止事項を20個並べると、机(コンテキスト)が制約で埋まり、肝心の指示が薄まります。重要な3〜5個に絞りましょう。
よくある失敗は4つ。制約が曖昧、制約同士が矛盾、制約が多すぎる、そして「制約を書いたから大丈夫」という過信です。制約は破られることもあります。重要な禁止事項は、出力後の検証(2-14・評価と検証)とセットで運用してください。

保存版・柵の立て方
AIは「ありがちなパターン」に流れる。柵となる制約が必要
範囲を限定するポジティブ制約と、禁止を明示するネガティブ制約を併用する
「資料にないことは推測しない」は最重要のハルシネーション対策制約
これで冒頭の"毎回同じところが余計"が消えます。
やってみよう: いつもの依頼に「してはいけないこと」を2つ足して、出力の変化を確認しましょう。型はこちらです。
〔依頼〕してください。ただし次の制約を守ること:①〔範囲の限定〕 ②〔禁止+理由〕 ③資料にない情報は推測せず「不明」と書く。
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