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3-1 「問題」と「課題」を区別する:状況と行動を混ぜない

1時間の会議で「売上をどうするか」を議論して、出た結論は「みんなで頑張ろう」。何も決まっていないことに、全員うすうす気づいている——そんな会議、先週もありませんでしたか。

参加者の能力の問題ではありません。「問題」と「課題」という言葉の定義が、揃っていなかっただけです。

この記事で渡すのは、その思考の型です。

このレクチャーのゴール: 変える必要のある状況と、そのために選ぶ行動を分けて記述し、打ち手を決めつけずに考え始められる。

思考の精度は、意外にも言葉の定義から決まります。問題(あるべき姿と現状のギャップ)と課題(ギャップを埋めるために取り組むこと)——この2つを区別せず課題に飛びつくと、的外れな努力が始まります。


会議で「問題は、新しい顧客管理システムがないことです」という発言を聞くことがあります。しかし、これは状況の説明ではなく、すでに特定の解決策を選んだ言い方です。出発点に行動を埋め込むと、業務手順の変更や既存ツールの改善など、ほかの選択肢が見えなくなります。

この講座では、問題を「放置できない影響を生んでおり、変える必要がある状況」と捉えます。たとえば「問い合わせへの初回返信が平均4時間から30時間に延び、キャンセルが増えている」です。一方の課題は、その状況を変えるために選択した具体的な行動です。「問い合わせを種類別に振り分ける」「当番制を見直す」「返信案の作成をAIで補助する」など、同じ問題から複数の候補が生まれます。状況を確かめてから行動を選ぶ。この順序が、早すぎる決めつけを防ぎます。

状況を問題として記述するときは、4点を揃えます。
①観測できる事実——何が起きているか。
②影響——誰に、どんな不都合が出ているか。
③変えたい方向——何を増やす、減らす、保つのか。
④制約——期限、予算、安全性など、守る条件は何か。「なんとなくうまくいかない」という感覚も、この4点に分ければ、調べるべき情報が見えてきます。

同じ出来事でも、どの影響に注目するかで扱うテーマは変わります。返信の遅れを、顧客体験の問題として扱うのか、担当者の負荷の問題として扱うのか、情報管理の問題として扱うのか。最初から一つに固定せず、影響を受ける相手と結果を書き分けてから、今回扱う範囲を選びます。

AIと考えるときも、最初から「この施策を成功させる方法」を聞くのではなく、観測できる事実・影響・変えたい方向・制約を渡します。そのうえで「考えられる原因と行動候補を分けて挙げて」と依頼すれば、AIがこちらの思い込みを補強するだけになるのを防げます。思考の技術とプロンプトの技術は、ここでつながっています。

保存版・問題を記述する4点

  • 問題は変える必要のある状況、課題はそのために選ぶ具体的な行動

  • 状況は「観測できる事実・影響・変えたい方向・制約」の4点で記述する

  • 影響を受ける相手と結果を書き分け、今回扱う範囲を選ぶ

この4点を先に書いてから行動を選べば、冒頭の"頑張ろうで終わる会議"が具体的な打ち手に変わります。


やってみよう: 今気になっている仕事の悩みを1つ選び、「事実/影響/変えたい方向/制約」の4行で書き出してみましょう。行動案は、その後に別枠で3つ挙げます。AIと切り分けるなら次のプロンプトが使えます。

次の状況を
①観測できる事実
②影響
③変えたい方向
④制約
に整理し、そのうえで考えられる原因と行動候補を分けて挙げてください(私の思い込みを補強しないこと)。
状況:〔ここに書く〕

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