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Fnac France Inter BD賞2025が発表されました!

2025年1月8日にフランスのFnac France Inter BD賞(Prix de la BD FNAC FRANCE INTER)2025が発表されました!
フランスの大手書店フナックと、ラジオ情報局フランス・アンテールが主催するバンド・デシネの賞です!

https://www.fnac.com/prix-bd-fnac

2025年で7回目となるこちらのマンガ賞。
2024年10月にノミネート20作品が発表され、12月に決定された最終ノミネート5作品の中から、2025年1月8日にグランプリが選ばれました!

2025年はどんな作品が選ばれたのか見ていきます!
Youtubeライブでも詳しく紹介しているので、こちらもどうぞご覧ください!

画像からYouTube動画にリンクしています

ノミネート作品

『La Cuisine des ogres. Trois fois morte』(鬼の台所 3回目の死)

作:Fabien Vehlmann(ファビアン・ヴェルマン)、画:Jean-Baptiste Andreae(ジャン=バティスト・アンドレア)、発行:Rue de Sèvres

山城に住んでいる人食い鬼は美食家として知られている。ブランシェットという名の孤児の少女が他の子どもたちと捕らえられ、人食い鬼たちの食事として提供されようとしていた。彼女らはそこから生き延びることができるのか。ゲーム「リトルナイトメア」を思い起こさせるような世界観。
脚本はかわいい闇のファビアン・ヴェルマン。
ACBD夏の必読10選2024に選出。

Le Dieu-Fauve(獣神)

作:Fabien Vehlmann(ファビアン・ヴェルマン)、画:Roger Deltour(ロジェ・デルトゥール)、発行:Dargaud

古代、孤児の猿のサン・ヴォワ(ボイスレス)は、年老いて傷ついた凶暴なワニ「ロングマウス」を狩ることで、一族を救った。食べるか食べられるかという弱肉強食の自然の掟。しかしサン・ヴォワは禁断の地である人間の世界に足を踏み入れることで残酷な運命に直面することになる。目の前で人々が虐殺され、捕らえられ、帝国の闘技場で暴力と戦闘術を訓練された神聖な戦士「獣神」となるために。

Randy Shilts et la fake news du patient zéro(ランディ・シルツと患者ゼロのフェイクニュース)

作:Clément Xavier(クレマン・グザビエ)、画:Héloïse Chochois(エロイーズ・ショショワ)、発行:Glénat

1980年代初頭、サンフランシスコ・クロニクス紙に採用され、マスメディアで働くゲイと公表した初のジャーナリストになったランディ・シルツ。その後ランディは、医療関係者が「ゲイのガン」と呼ぶ同性愛者にのみ影響を及ぼすと思われた壊滅的な病気に関心を抱くようになる。メディアの沈黙、公的機関の無関心、苦労して勝ち取った自由を守りたいLGBTコミュニティ…。同性愛との関連を否定したい周囲の拒絶に見舞われながら、ランディは調査を続けるが…。命を救うために真実を歪曲しなければならないとしたら。エイズがまだ一般的な病でなかった時代のフェイクニュースやその他の情報操作の時代におけるジャーナリズムの倫理という難しい問題を提起する。

Verts(みどりなるもの)

作:Patrick Lacan(パトリック・ラカン)、画:Marion Besançon(マリオン・ベザンソン)、発行:Rue de Sèvres

植物の突然変異が人類を襲う。新生児には葉が生えて生まれ、老人たちは植物の影響で元気を取り戻す。一部の人間にとって喜ばしいこれらの変化。しかし受け入れられない人間たちは…。変化を受け入れることの必要性について優しく思いやりのある寓話。

Idéal(理想)

作:Thomas Hayman(トマス・ヘイマン)、画:Baptiste Chaubard(バティスト・ショバール)、発行:Sarbacane

アンドロイドが世界中の日常生活に存在している近未来、唯一の例外は近代化と新技術に対して極度に保守的な島国キノだけで、徹底的な保護のもと20世紀末の日本を再現していた。エレーヌとエドの夫婦はこの理想的な鎖国で長年幸せに暮らしてきたが、陰りが見えていた。
ACBD批評グランプリ2025ノミネート。

Lebensborn(レーベンスボルン)

作:Isabelle Maroger(イザベル・マロジェ)、発行:Bayard Graphic

ある日、イザベル・マロジェが息子を抱いて歩いていると、ある女性が呼び止められた。青い目と美しい金髪の子どもだと褒め、「そういう種類は珍しくなってきている」と付け加えた。イザベルはショックを受けた。彼女が背は高く、金髪で青い目をしているのは、ノルウェー人のハーフだからだ。彼女の母親は、戦時中、ナチスが優秀なアーリア人を大量に生み出すために設立した産科病院レーベンスボルンで生まれたのだ。

Racines(ルーツ)

作:Lou Lubie(ルー・リュビー)、発行:Delcourt

縮れたアフロヘアを持つローズは、自分の髪が好きになれずストレートにしたいと夢見ている。それがアフリカ系の血が流れている自分のアイデンティティを消すことになっても…。性差別、人種差別、伝統、自己受容について語る豊かで感動的なコミック。
作者のルー・リュビーはレユニオン島出身。レユニオン島で5冊出版した後、現在はフランスに在住。アフリカ系アイデンティティを問うアフリカマンガで、しかも絵がめっちゃ可愛い。アフリカ系のヘアスタイルについて描いたマンガだとえば、Jamila Rowser(ジャミラ・ロウザー)作、Robyn Smith(ロビン・スミス)画Wash Day Diariesもありますが、とても気になります。
ケ・デ・ビュル漫画賞2024Prix Ouest-France(西フランス賞)ノミネート。

Grand Petit Homme(偉大なる小男)

作:Zanzim(ザンジム)、発行:Glénat

スタニスラスは身長157cm、内向的な性格で、小さな屋根裏部屋のアパートで猫と暮らしている。靴屋で働いていて女性が大好きで、女性の足を美しく見せることが喜び。偉大な男になりたいといつも思っている。ある時お気に入りのブーツを撫でながら偉大な男になりたいと願ったら、なんと魔法にかかってわずか11cmの大きさに縮んでしまった。果たしてスタニスラスは偉大な男になれるのか…?
『男の皮』作画のザンジムの最新作!

Sa Majesté des mouches(蠅の王)

原作:William Golding(ウィリアム・ゴールディング)、作:Aimée de Jongh(エメー・デ・ヨング)、発行:Dargaud

飛行機が墜落し英国上流社会の少年たちは無人島に取り残される。パイロットや大人たちは死亡するなか、少年たちは無事に生き残ることができるのか。ウィリアム・ゴールディングの傑作小説『蠅の王』の70周年を記念してオランダの漫画家エメー・デ・ヨングがコミカライズ。世界15か国で翻訳予定。

L’Orfèvre(金細工師)

作:Aurélien Lozes(オーレリアン・ロゼス)、発行:Komics Initiative

舞台はデモと暴動に変容するパリ、擬獣化された登場人物たちが織りなすサスペンス。表紙は2つある。ひとつは警部が犯罪現場に到着し、忌まわしい連続殺人事件の幕が切っておろされる。もうひとつは洞窟の底で道に迷ったジュスティーヌが主人公。そこから抜け出し外に出るとパートナーを探している警察官、警部に遭遇する。試し読みを見てみると上下2段に別れていて、下段はひっくり返り後ろから読み進めるようになっている。マンガの作りとして面白い。

D’Or et d’oreillers(金と枕)

画:Mayalen Goust(マヤレン・ガスト)、作:Flore Vesco(フロール・ヴェスコ)、発行:Rue de Sèvres

莫大な遺産を相続したハンダーソン卿は妻にふさわしい女性を選ぶためにテストを企画している。各候補者はブレンキンソップ城の、中央にありえないほど高いベッドがある部屋で一人で一夜を過ごすように招待される。候補者である良家の娘たちは、なんの説明もなく早朝に帰宅させられる。しかしたくましく素朴なメイドであるサディマが候補となり…。

Minuit passé(真夜中過ぎ)

作:Gaëlle Geniller(ガエル・ジェニール)、発行:Delcourt

ゲランは子どもの頃に3人の姉妹と一緒に住んでいた邸宅に、幼い息子を連れて住むことになる。ゲランにはこの邸宅に住んでいた過去の記憶がなかった。不眠症になりやすいゲランがこの邸宅に住み始めてから不思議な出来事が起こる。『Le Jardin, Paris』のガエル・ジェニールの最新作。小口印刷もされていて装丁も素晴らしい。

Le combat d’Henry Fleming(ヘンリー・フレミングの戦い)

作:Steve Cuzor(スティーブ・キューザー)、発行:Dupuis

18歳の若い農夫ヘンリー・フレミングは、英雄になることに憧れて、母親を置いて北部軍に加わった。しかし、戦闘にならないまま時間ばかりが経過するにつれて、ヘンリーの意気も薄れていく。そんななか戦闘が始まり、大虐殺が繰り広げらるなか、興奮と恐怖、苦悩が彼を襲う。
スティーヴン・クレインの小説勇気の赤い勲章を自由に翻案した、ヒロイズムに疑問を投げかける平和主義者の告発。小説のあらすじでは「南北戦争を舞台に色彩豊かに描かれるアメリカ戦争文学の傑作」とあり、バンド・デシネ版でその色彩がどのように描かれるのかは注目ポイント。
ACBD夏の必読10選2025選出作。

Salon de beauté(美容室)

作:Quentin Zuttion(カンタン・ズゥティオン)、発行:Dupuis

ジェシュアは美容室の若きオーナー。昼間は顧客のヘアスタイルやメイク、マニキュアを丁寧にケアし、夜になると女装をして友人たちと練り歩く。しかし壊滅的な疫病が到来して、この平穏な日常は崩壊する。ジェシュアは自分の美容室を病人のための避難所にする。メキシコの作家マリオン・ベラティンの小説を、『Toutes les Princesses meurent après minuit』『ナタンと呼んで 少女の身体で生まれた少年』のカンタン・ズゥティオンがコミカライズ。試し読みを見ると、熱帯魚の水槽に囲まれた美容室であり、疫病にかかった病人の肌は熱帯魚のようになるように表現されていて、とても幻想的。

L’escamoteur(魔術師)

作:Sébastien Goethals(セバスチャン・ゲタール)、Philippe Collin(フィリップ・コラン)、発行:Futuropolis

極左運動をしているレバノン出身のギャラリーオーナーであるガブリエル・チャヒネは、自らをパレスチナ人と戦った退役軍人だと称している。トゥールーズでのちにフランスの極左テロ組織「直接行動(Action directe)」の共同創設者となるジャン・マルク・ルイヤンに出会う。運動に必要な金を手に入れるためガブリエルは、サン=ジェルマン=アン=レーの博物館に展示されている15世紀オランダ出身の画家ヒエロニムス・ボスの傑作「魔術師」を盗むようルイヤンに提案する。歴史スリラー。

最終ノミネート作品

La Route(ザ・ロード)

作:Manu Larcenet(マニュ・ラルスネ)、発行:Dargaud

コーマック・マッカーシーの小説でピュリッツァー賞を受賞し映画化もされたザ・ロードを、『ありきたりな戦い』(「ユーロマンガ5号」から連載)のマニュ・ラルスネがバンド・デシネ化。世界は荒廃し、灰と死体で覆われたポストアポカリプス世界。その中を父と息子は、シビアな天候や残忍な略奪者たちから逃れ南へ向かう。
アングレーム国際漫画祭2025公式セレクション、ACBD批評グランプリ2025ノミネート作品です。

Ulysse & Cyrano(ユリスとシラノ)

作:Antoine Cristau(アントワン・クリスト)、Xavier Dorison(グザビエ・ドリソン)、画:Stéphane Servain(ステファン・セルヴァン)、発行:Casterman

ユリスは高校の卒業のためのバカロレアの受験を控えた青年。理工科学校に行き、家業のセメント工場を継ぐという将来が約束されていたが、苦手な数学を避けることはできない。工場を継ぐことは父親の悲願だったが、その工場も10年前であれば戦争でドイツに加担していたという非難を受けることに。そんなユリスは不愛想で秘密主義な男シラノと出会う。そしてシラノと素晴らしい料理が彼の人生を大きく変える。栄光の30年間(1945-1975年)のフランスを舞台にしたグルメと人間ドラマ。
ACBD批評グランプリ2025ノミネート作品です。

Bobigny 1972(1972年ボビニー)

作:Marie Bardiaux-Vaïente(マリー・ボルディオ・ヴァイエンテ)、画:Carole Maurel(キャロル・モレル)、発行:Glénat

1972年、強姦されて妊娠したマリー=クレール・シュバリエは、加害者から密かに中絶したという理由で訴えられた。当時、中絶は高額な罰金や禁固刑さえも課せられる犯罪で、マリーを助けた母親やその他の女性たちも共謀罪で法廷に出廷させられた。当時社会に衝撃を与え、1975年に人工妊娠中絶の合法化(ヴェイユ法)につながったボバニー裁判を描く。

Impénétrable(不可解)

作:Alix Garin(アリックス・ガラン)、発行:Le Lombard

わたしを忘れないで』のアリックス・ガランの自伝的作品。美術科を卒業するやいなやマンガ家として活動をはじめ、長年の恋人と幸せに暮らす順風満帆に見えるアリックス。しかし心の中で苦悩を抱えていた。恋人とのセックスが苦痛でならないのだ。関係を続けるためには必要だと自分を責めていたが、すぐに耐えられなくなり、恋人に真実を告げることにする。女性の性的欲求といういまだにタブー視されているテーマに切り込み、多くの女性たちを代弁する。
アングレーム国際漫画祭2025公式セレクション、ACBD批評グランプリ2025最終ノミネート作品です。

グランプリ

Au-dedans(原題:In: A Graphic Novel)

作:Will McPhail(ウィル・マクファイル)、発行:404 Graphic(原書はMariner Books:英語)

The New Yorkerのアーティストであるウィル・マクファイルの『In: The Graphic Novel』。人とつながることができない若いイラストレーター、ニックは、近くの病院に勤務する皮肉屋で明るいガン医師レンと出会うことによって物語が始まる。人生の苦痛と孤独をカラーとモノクロで描く半自伝的な作品。
2022年アイズナー賞ノミネート2023年のイタリアのマンガ賞でもよく見かけた作品。ACBDコミック賞2024のグランプリを受賞しています。
アングレーム国際漫画祭2025公式セレクション、ACBD批評グランプリ2025ノミネート作品です。

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最終ノミネートやグランプリにはACBD批評グランプリのノミネートやアングレーム国際漫画祭公式セレクションに選ばれている作品が多かったですが、Fnac France Interにのみ選ばれる作品も多く今回もバラエティ豊かなラインナップでした。
私が持っていてすでに読んでいたのは『Verts』。現代のマイノリティ差別や差別を扇動するSNS上での動きなども考えさせられる素晴らしい作品でした。『男の皮』作画のザンジムの新作『Grand Petit Homme』がいち早くノミネートされていたのも嬉しいところです。ガエル・ジェニールさんの『Minuit passé』は購入予定、キャロル・モレルさんの『Bobigny 1972』も気になるところです。
皆さんの気になる作品があればぜひ読んでみてください!

参考資料

▼過去のFnac France Inter BD賞受賞作


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