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レティシア書房店長日誌

エドワード・ラブレース監督作品「ぼくの名前はラワン」
 え?これドキュメンタリー映画?と思うくらい、一人の少年の成長物語が劇映画のように綴られる傑作でした。
 イラクで育ったクルド人の少年ラワンは、生まれつき耳が聞こえないろう者です。家族で耳が聞こえないのはラワンだけでした。両親は、イランで障害者として虐められるよりは、より整った環境を求めて国外移住を決めます。命の危険のある旅、そして過酷な難民キャンプでの生活を経て、一家はイギリスのダービーという都市にたどり着きます。そこには王立のろう学校がありました。
 そこで、ラワンは自分を理解してくれる教師、初めての友達に出会います。イギリス手話を学び、言葉を獲得してどんどん成長していきます。やっとの思いで居場所を見つけ終の住処だと確信していたのに、英国政府は不法入国者として国外退去の命令をラワン一家に突きつけます。ラワンの運命はどうなっていくのか…….。映画は抒情的な映像と、心に染み込んでくるような音楽で彼の人生を描いていきます。
 

 学園にいる生徒がこんなことをいいます。「僕にとって<言葉>は<自由>を意味するんだ』と。イラクでは孤立していたラワンが、手話で「自由」にコミュニケーションを取り本来の明るい表情になっていく姿を、大げさになることなく淡々と描いていきます。ラワンの手が滑らかに動き出し、彼の伝えたいことが私たちにも響いてきます。言葉は、意思疎通の手段というだけでなく、自分は何者なのかを考える力です。言葉を得るまでのラワンは、「自分はポンコツ」だと思っていました。改めて言葉の豊かさということを考えさせられました。
 また、映画の中で「ビジュアル・バーナキュラー」という芸術が紹介されます。それは手話の視覚的表現をメインにして、表情や身振り、体の動きで物語を描くアート表現です。ラワンは、国外退去の危機を乗り越えるために学校の舞台で披露しています。
 

 イギリスからの国外退去を命じられたラワン一家を、ダービーの街の住人たちは彼らを支えようとします。ラワンの小さな一歩が、やがては大きな波となって国を動かしていきます。そんな街の雰囲気、そしてイギリス手話を教える学校のあり方も映画は丹念に追いかけます。ラワンと家族の未来を祝福するようなエンディングでした。

⭐️レティシア書房ギャラリー案内
1/21(水)〜2/1(日) オウ コウエイ個展
2/4(水)〜2/15(日) 福岡伸雄展
2/18(水)〜3/1(日) 奥野正史木版画展
3/4(水)〜3/15(日) もじゃハウス展

⭐️入荷ご案内
藤崎殊海「歩きタバコは滅びてください」1320円
ゆうあん「明日わたしが会社にいなくても」」800円
Shihomi(絵)Satchmo「ぼくたちふたご」1980円
矢萩多聞「ぼくのスパイス宇宙」1980円
「りんどう1号 特集まるごと水木洋子」1500円
「りんどう2号 特集字幕→越境」2500円
山田稔&黒川創「文章と夢想」2860円
丹渡実夢「迂闊in progress『プルーストを読む生活』を読む生活」
2970円
松永弾正「本屋の周辺 特集京都書肆」(1320円)
梨木香歩「小さな神のいるところ」(1980円)
ECRIT-O16号「リミナルスペース」(1980円)
「てくり35号ー土と果樹と」(770円)
平川克美「三歩あるけば旅の空」(2200円)
TSUTOMU IBUKI「悪い星の下に」(1540円)
エトセトラ「特集 SRHR」(1650円)
季刊「日記創刊号」(2178円)
ゆうあん「ソロアラサー・イン・ワンルーム」(1000円)
平城さやか「ふつうに働けないから、好きなことして生きています」
(1760円)
子鹿・紫都香「キッチンドランカーの本」(660円)
さのかずや編「33歳 人生行き止まり日記Remixes」(1650円)
「ちゃぶ台14号」(1980円)
「仕事文脈27」(1320円)
きくちゆみこ「人といること、すさまじさとすばらしさ」(2420円)
あさいまこ「ままならないまま、ママになった」(1000円)
「ほんと本屋とわたしの話23」300円
パン・カンパニー「ファミリ〜ドキュメンタリー漫画」(2640円)

「北海道SFアンソロジー」(1980円)
地図子「生きている実感がほしくて川を歩いている」(1320円)

 

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