ご馳走は思い出の味
こんにちは。ぼーんぐんです。
大阪の下町を舞台にしたアニメ「じゃりン子チエ」をご存じでしょうか。
仕事をしない父に代わり、自分でホルモン焼き屋を切り盛りする小学5年生の元気な女の子チエちゃんと、彼女を取り巻く個性豊かな人々の生活を描いたアニメです。関西地方を中心に繰り返し放映されていましたからこのエリアにお住まいの方は懐かしく思われていると存じます。
大阪には昔この舞台となった下町と同じような地域がたくさんありました。
・隣の家と壁を共有する「長屋」、
・地元民でも迷いそうな「狭い路地」、
・舗装されていない「ジャリ道」、
・「空き地」にはビー玉の穴、隅っこで忘れられた庭球ボール、
・高い煙突が目印の「銭湯」、
・「バキュームカー」の通った後には少し糞尿がこぼれ、
・ヨーヨー釣りやりんご飴でにぎわう「夏の夜店」、
・五時になればどこからか流れてくる「夕刻を告げるメロディ」、
とにかく経済成長期。どこに行っても「子供だらけ」で街には笑い声と活気があふれていた時代です。懐かしい。
やんちゃを咎められいつも説教された、どこの誰かも知らない街の小うるさい「じーさん」も、手作りのお菓子をくれる、近所のやさしい「おばあちゃん」も当時の街には住んでおりました。当時人気のアニメのカードが付録のスナック菓子で沸いた駄菓子屋さんも、もうどこにもありません。
たのしかった昭和の時代、遠い昔の記憶ですね。
野原も川も自分の庭のように駆け回り、お腹が空いたらお小遣いの十円玉を握りしめ”たこ焼き”ですね。3個10円の時代ですから子供のお小遣いでも十分お腹を膨らませるのです。
そして”ホルモン焼き”は懐かしい思い出の味です。
しかしホルモン焼きを食べるのは勇気がいるのです。「なぜかって」それは食べるために戦う相手がいるからなんです。その相手は「腹ペコの野良犬たち」・・
昔は役所も手が回っていなかったのでしょうね。街のいたるところに野良犬がいました。彼らもお腹が空きますから、いい匂いのするホルモン屋のあたりをうろつく事はしかたありません。
子供にとってこの野良犬との戦いに勝たなければ美味しい”ホルモン焼き”を食べられませんから必死になります。ですからホルモン焼きを買う前には、まずは店の前に野良犬がいないか偵察に行き、いない時を見計らい急いで買うのです。
時には買っている間に野良犬達が戻ってきて、追いかけまわされることもあります。大胆な犬などは前足を子供の両肩にのせ串を横取りに来るんです。「怖いったらありません!」もちろん野良犬は一匹ではないので前後左右を挟まれますとジ、エンドですね。
そういったスリルがありますから余計にホルモンをうまく感じるのかもしれません。自分達のなけなしの小遣いで買ったホルモンを持って、いつものメンバーで、広場で作った自分達の秘密基地に戻って食べるんです。次はどうやって野良犬を巻くかなんて話で盛り上がりながら食べるホルモンはもう味わえませんね。
このチープなホルモン焼きが最近無性に食べたくなるんです。
何のしがらみもない子供時代に戻って、いつものメンバーで、思ったままを言葉にし、腹の底から笑って泣いてみたいんです。そして久しぶりに小うるさい街のじーさんに叱られたい。近所のおばあちゃんのおやつを食べたい。仲間と一緒に野良犬に追いかけられたい。そんな気になります。
たまに出かける日中の外回り。熱中症になりそうな日差しの中を歩いていますと、陽炎の中に前歯の抜けた子供のころの友達の顔がこちらを向いて笑っています。そして何か言ってるんです。
「ホルモンでも食おーや。いま野良犬おらんで」「おぅ食おう」
「じゃりン子チエ」の世界は実在していました。もうどこを探しても見つかりませんが確かにありました。そう、この場所にね。
さあ、みなさんの思い出の味とは、どのようなものでしょうか。
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第六回:ご馳走は老舗の味?
https://note.com/booooooongun/n/ne0e883053d7c
