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極右カルト参政党(8)近代国家の否定

「参政党」のやっていることは、カルト集団による社会の破壊です。
その意味では「N国」などに近いのですが、そういう「政党もどき」の集団による社会の破壊が可能になってしまうのが、近代「民主主義」制度の恐ろしさです。
これを防ぐには、有権者たる国民の教育水準を上げるしかありませんが、そういう社会教育が日本では行われておらず、むしろ国民の知的成長を妨げるようなビジネスが横行しています。
それが参政党のようなカルト集団を生んでしまう、大きな原因です。

社会秩序への無知と無理解

2025年6月、参政党が「新日本憲法(構想案)」と称する文書を発表するのと同時に、『参政党と創る新しい憲法』というトンデモ本が出版されました。そのトンデモ本を紹介するページには、以下のようなフレーズが載っています。

政治に無関心な国民の目を覚まさせた参政党!
憲法とは国民の将来のビジョンを形にするもの!

カルト集団の妄想と狂気に満ちた一冊

書籍の中では、以下のように書かれているそうです。

参政党の『創憲活動』は、憲法は西洋の価値観でつくるものだという戦後のマインドコントロールを打ち破るための国民運動であることを理解してください。

神谷宗幣編『参政党と創る新しい憲法』

参政党という集団(あるいは神谷宗幣という人物)が、現代の法や秩序の概念をまったく理解できていないことが、よく表れています。

彼らは、現在の憲法は「西洋の価値観でつくられている」と考えており、日本独自の「価値観」とやらで新しい憲法を作ることを訴えています。
そして、「憲法とは国民の将来のビジョン」だと言います。
憲法がなんなのかを根本的に理解せず、考えたこともない、子供の思い付きに過ぎません。
憲法学者の木村草太さんが、参政党の「新日本憲法(構想案)」を「ただの怪文書」だと評したのは、当たり前です。

否定される「西洋の価値観」とはなにか

近代国家は、それぞれの国が主権を持つ「主権国家」だとされます。これは近代になるまで存在しなかった概念で、それ以前は、中国やペルシャなど各地に成立した「世界帝国」や、ヨーロッパにおける「封建君主国家」などによって、文明社会が統治されていました。
現在のような「主権国家」によって構成される世界は、1648年の「ウェストファリア条約」によって、ヨーロッパで生まれたとされています。

このウェストファリア条約以降、それぞれの「主権国家」は条約によって互いの関係を結ぶような、近代の国際社会システムを形成していきました。このシステムは世界中に広がり、日本の明治維新や、中国における清朝の滅亡で、19世紀には東アジアの世界システムが終焉を迎えます。
ちなみに、ここで言う「東アジアに存在した世界システム」は、中華帝国システムと、その亜周辺に位置した日本の幕藩制封建制システムなどです。

もし現在の「国民国家=主権国家」概念を、西洋の価値観だとして否定するなら、日本は世界から孤立し、主権国家として認められなくなります。国家主権というのは、他の国々に承認されることでしか、成立しない概念だからです。

国際秩序と国際連合

主権国家同士の利害を国際法(条約)によって調整し、秩序を保つという精神は、20世紀に起きた二度の世界大戦を通じて、国際連盟や国際連合という機関の成立に繋がりました。
第二次大戦後にできた国際連合は、すべての加盟国の主権平等を謳い、国際秩序に服することを加盟国に義務付けています。そして、この国際連合に加盟し、規約を遵守することが、主権国家として国際社会に参加する条件となっています。

現在、台湾が主権国家として国際的に認められないのは、中華人民共和国が成立した際、自ら国連を脱退することを選択し、国連に残る努力も放棄したことが大きく影響しています。国連は、台湾の政府を見捨ててはいませんが、主権国家としての正当な地位が得られていないのには、それだけの理由があるのです。

敗戦後に独立国家としての地位を失っていた日本は、1951年(朝鮮戦争の最中)に連合国との間でサンフランシスコ平和条約を締結して、独立国として国際社会に復帰、その後は1956年に日ソ共同宣言、1965年の日韓基本条約、1978年の日中平和友好条約など、国際条約の締結を重ねながら、地位を築きました。
このように、国連の規約遵守と、国際条約に基づく国際秩序だけが、国家主権を保証する根拠なのです。
そして、国連憲章の前文にはこのようなことが書かれています。

  • 戦争の惨害から将来の世代を救う

  • 基本的人権と人間の尊厳及び価値

  • 男女及び大小各国の同権とに関する信念

カルト団体である参政党は、近代の世界秩序を全面的に否定していますが、これは主権国家たる資格の放棄を宣言するものにほかなりません。

第七章 重大事項(最高法規)
第三十二条 2 国際機関の決定や勧告は、憲法または日本固有の慣習に反する場合、効力を有しない

参政党の「憲法案」より
国際秩序からの離脱宣言

参政党の「憲法案」を読んで、これに賛同できるようなレベルの人が、公民権や選挙権を持っていることは、それ自体が危機的な事態ではないかと思います。


(つづき)


第1回から


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