極右カルト参政党(9)ナチズム憲法
「参政党」の主張は、もはやナチズムです。言葉のインフレを招くので、安易にナチスという言葉を使うべきではありませんが、参政党の主張には「ナチズム」と呼ばざるを得ない特徴があります。
血統に基づく本質主義
まず、参政党の「憲法案」に、次のようなことが書かれています。僕が参政党を「ナチズム」と呼ぶしかないと決めたのは、これを読んだからです。
(外国人と外国資本)
第十九条
4 外国人の参政権は、これを認めない。帰化した者は、三世代を経ない限り、公務に就くことができない。
三世代とは、日本国籍でない者が帰化し、その者を一代として、曽孫において初めて公務就任権が認められる。外国人の帰化による政治介入を防止する趣旨である。
「帰化した者」であれば日本国民ですが、参政党は帰化した当人はおろか、その後の三世代にわたって「公務に就く」ことを認めないとしています。
行政の吏員、警察官、消防署員、公立学校や公立病院の職員にもなれません。完全な就職差別ですが、その根拠は「帰化による政治介入」という意味不明なものです。
この主張には、以下の重大な問題があります。
国籍を有していても、血統によって、国から就職差別される
国籍を有していても、血統によって、国から思想が疑われる
端的に言うと、日本人であっても、血筋によって差別されるということです。このような差別を、法律どころか「憲法」に掲げようというのが参政党という異常な差別カルト集団です。
ナチスの人種差別法
人種差別を国策に掲げた悪名高いナチス・ドイツによる法律としては、「ニュルンベルク法」が有名ですが、その前年(1933年4月7日)に制定された「官吏層再建法」が嚆矢になっています。官吏層再建法は公務員の資格を定めた法律ですが、その第3条に次のような「アーリア条項」が示されたのです。
・アーリア系でない公務員は退職する。名誉公務員は解任される。
・過去の政治活動によって常に国家を全面的に支持することが保証されない公務員は、解任されることがある。
「アーリア系」というのは、ナチスが好んだ疑似科学である人種概念の用語で、当時「アーリア系でない」というのは間接的に「ユダヤ人」を指していました。
しかし、どうやってアーリア系であるかを証明するのかが問題になり、そこで考えられたのが「両親・祖父母のうち誰か一人でもユダヤ教徒であれば「非アーリア人≒ユダヤ人」とされたのです。つまり、ユダヤ教徒を祖先に持った場合は、3世代にわたって公務に就けないことになります。
ナチスの官吏層再建法の第3条、第4条は、参政党の掲げる「憲法案」第19条とまったく同じことを言っているのです。
ナチスの「アーリア人条項」は、そのまま適用すると大量の公務員が解雇されてしまうことが判明し、修正が加えられていきますが、相対性理論で有名なアインシュタイン博士は、この「官吏層再建法」で失職してアメリカに逃れました。
そして翌年に「ニュルンベルク法」(「ドイツ人の血と名誉を守るための法律」と「帝国市民法」)が制定され、ユダヤ人の公民権が完全に奪われます。その後に起きたことは、誰もが知るとおりです。
ナチスの掲げた人種差別法と同じものを、日本国の「憲法」に掲げようと言うのが、狂気のカルト差別集団である参政党です。
血統が帰化の条件にされる
また、参政党の改憲案では、帰化に関して奇妙なことが書かれています。
父または母の国籍という血統属性を条件にしているうえ、「日本語を”母国語”としていなければ日本人ではない」というのです。
(国民)第五条
国民の要件は、父または母が日本人であり、日本語を母国語とし、日本を大切にする心を有することを基準として、法律で定める。
当たり前ですが、日本語を「母国語」とするのは、日本国籍の人だけです。
外国籍であれば、その人の「母国語」は外国語です。
また、父または母が日本人でなければ日本人ではない、とされています。
つまり、これは事実上「外国人の帰化を認めない」ことを意味するとともに、「日本国籍は血統によって与えられる」ことを意味しています。
朝鮮籍や韓国籍の在日コリアンも、帰化は認められなくなります。生まれたときから日本で生活し、日本語を母語としていても、朝鮮籍の人に「母国語」は存在しないし、韓国籍の人は「韓国語」が「母国語」です。
彼らの数世代前の祖先は「朝鮮戸籍」に登録された日本人(日本国籍)だったわけですが、もはや「父または母が日本人」という条件からも除外されてしまいます。
こんな狂ったことを「憲法」に書くのは、およそ正気の沙汰ではありません。現在の日本では、国籍法 第4条で帰化について定めていますが、もちろん「血統」を排除の条件にはしていませんし、まして日本語を「母国語」にしていなければいけないなどという、意味不明なことは書かれていません。
(言語に関しては「日常生活に支障のない程度の日本語能力」があれば良いとされています。)
意味不明な条文で外国人の帰化を認めない憲法は、国連憲章に定められる基本的人権の無視を宣言することであり、日本という国を非文明の野蛮国家にすることです。
参政党は、極めて幼稚な差別カルト集団であり、およそ「政治」などに関わる資質のある大人の集団ではありません。
「血と土」のナショナリズム
「血と土」というのは、人種的に定義された国民と居住地の一体性を前提とした、ナチス・イデオロギーの中心的概念です。
この運動を推進したのはリヒャルト・ヴァルター・ダレという政治家です。

ダレが推進しようとしたのは、シュタイナーの「人智学」というスピリチュアル運動に由来する、バイオダイナミック農法(一種のオーガニック農法)でした。
バイオダイナミック農法は、鉱物肥料を否定し、自然の相互作用に加えて「宇宙の力」(!)を土壌に呼び込み、占星術やらホメオパシーやらも動員した「スピリチュアル」な農業です。参政党の「アートテン農法」。


さすがのナチスも、これらをそのまま実行したわけではありませんが、参政党が基盤とする「オーガニック農法」や「スピリチュアル」との強い親和性があります。(ていうか、そのまんまです)
参政党の「憲法案」では、主食とする「米」へのこだわりなど、民族と農業を結びつけた項目が見られ、明らかに「血と土」に通底するイデオロギーが現れています。
(食糧と生活基盤)第十条
食糧は、主食である米作りを中心に、種子や肥料も含めて完全な自給自足を達成しなければならない。
2. 国は、農林水産業及び国民の生活基盤となる産業と従事者を保護育成する。
3. 農林水産業は、自然との調和を重視し、健康、文化の継承、国土の保全、食料安全保障等、国の重要な基盤として尊重されなければならない。
なぜナチズムに終着するのか
神谷宗幣がヒトラーの「我が闘争」を愛読していたという話は、籠池さんの証言がありましたが、それだけで参政党がナチズムに傾倒したと結論づけるのは早計だと思います。
ナチズムを生み出した根底にあるのは、偽科学に基づく妄想的世界観、神話などに依拠した偽歴史と、それに基づく民族人種概念を基盤にする国家観です。
ナチス・ドイツでは、偽科学に基づいた「アーリア人種」という民族人種概念を国家の基盤に置いて、人種差別を国策にしました。そこで「アーリア人」の優秀性を裏付けるものは、偽科学や神話に基づく空想的な偽歴史と、反ユダヤ陰謀論でした。
参政党をはじめとする日本の極右が、記紀神話に基づく空想的な民族観を奉じ、戦争責任を否定する偽歴史や、ディープステート陰謀論を唱えているのと、まったく同じ構図です。
そして、偽科学に基づく「民族農本主義」(血と土)への傾倒も、こうした思想傾向によって生まれているのです。
ナチスや参政党に見られるような思考態度は、極端な「ロマン主義」とみなすことができます。ロマン主義は、18世紀から主流になった「啓蒙主義」の合理的思考に反発し、19世紀の初頭に台頭した思考様式です。つまり、科学的合理性を重視するのではなく、自分に都合よく理想化された物語によって、世界観を作ってしまう思考態度です。
こうした傾向は、自ずと独善を生み、危険な差別思想の肯定と、非科学的な政策の強行を招くのです。
「自国に誇りを持てる歴史」としての歴史修正主義や、「近代科学への猜疑」としてのスピリチュアリズムやオカルティズムは、そのままナチズムに発展していくのです。
日本では、学術会議への攻撃や歴史修正主義への傾倒など、近代合理主義を否定する動きが国策として進められてきました。そうした反動的政策が結果的に産み落としたのが、参政党という狂気のカルト集団なのです。
つづき
第一回から
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