見出し画像

USAIDを憎むトランプ政権とイーロン・マスクの背景

トランプ大統領によって、アメリカ政府の国際開発庁(USAID)の廃止と、国務省への統合計画が進んでいます。報道によるとUSAIDの廃止に関わる責任者はマルコ・ルビオ国務長官であり、彼は「USAID幹部たちは反抗的」だと非難しているそうです。

ドナルド・トランプとイーロン・マスクが強く非難するUSAIDとは、いったいなんなのか、なぜ彼らが目の敵にするのかをまとめておきます。
そして、いつもの人たちの反応にも触れておきます。


USAIDとは何か

なんのために設立されたか

USAIDは「United States Agency for International Development」の略ですが、合衆国からの援助(AID)という含意を持ったネーミングで、低開発国や人道危機にある各国へ医療や生活の支援を行う機関です。

USAIDはアフリカなどでの感染症予防や衛生環境改善、食料支援、パレスチナのガザ地区での人道支援のほか、ウクライナでも医療支援や人道支援を行っています。

このUSAIDができたのは米ソの冷戦が激しかった1961年、ジョン・F・ケネディ大統領のときです。この前年、1960にはアフリカの旧植民地で17カ国が独立を果たし、アジアやアフリカ、中南米などの低開発国では、ソ連・中国の社会主義陣営に加わろうとする動きが活発でした。

アメリカは、そうした国々の共産化を防ぐために、第二次大戦後にヨーロッパを援助した「マーシャル・プラン」と同様、人道支援を行う機関としてUSAIDを設立したのです。つまり、人道主義と経済力で第三世界を味方につけようという反共戦略が、USAIDだったのです。

どんな活動をしているか

USAIDは人道支援機関ですから、他の国際的機関とも協力しながら、低開発地域での感染症予防や、衛生状態の向上、啓蒙などを行っています。職員約1万人を雇い、その約3分の2がアメリカ国外で働いているそうです。
とはいえ、海外拠点は60カ国以上に及んでおり、業務の多くには現地で契約した企業や組織が関わっています。

USAIDでは、たとえば人々に食料を提供するだけでなく、飢饉を予測するシステムの開発なども行い、これは世界標準として広く活用されているそうです。進んだ技術や組織力で効果的な人道支援を実現できる組織として、USAIDはアメリカの存在感を高めているわけです。
また、イギリスBBCの国際慈善団体である「メディア・アクション」も、5億円近いUSAIDの資金提供を受けていると報告しており、USAIDが2番目の大規模寄付者だそうです。

USAIDは、ロシアの侵攻を受けているウクライナにも、負傷兵の治療など医療支援を行っているほか、イーロン・マスクの所有するスターリンク衛星による通信を提供しています。
こうした支援が打ち切られることは、ウクライナにとって重大な打撃です。

イーロン・マスクやロシアとの関係

USAIDを槍玉にあげたDOGE

USAID攻撃の先鋒となったのは、イーロン・マスクが率いる「政府効率化省(DOGE)」でした。
イーロン・マスクは、DOGEの職員として応募してきたエンジニアたちを採用しており、行政経験もない20歳そこそこの若者が、各省庁の機密データにアクセスして、大問題になっています。

これらの若者は「DOGEキッズ」と呼ばれていますが、彼らがUSAIDの機密情報にアクセスすることを防ごうとしたUSAIDのセキュリティ責任者2人は、2月1日に休職扱いになってしまったと報じられています。
もはやトランプやマスクの私兵のような若者たちが、アメリカ政府の省庁で好き放題に機密情報にアクセスしている状況なのです

こうした様子を、中国の文化大革命における紅衛兵に喩える人も多いですが、さすがの紅衛兵も国家機密にアクセスしていたわけではなく、これは歴史上に類を見ない異常事態と言ってよいでしょう。

USAIDに関わるフェイク動画を作成するロシア

ニューズウィークの報道によると、ロシア政府の偽情報ネットワーク「マトリョーシカ」によって、USAIDを攻撃する内容の動画が作成されており、これをトランプの息子やイーロン・マスクが、リツイートで拡散していたそうです。

ニューズウィークで指摘された動画ツイートの一つ

また、ロシアの元大統領であるメドベージェフも、USAIDの閉鎖を称賛しています。

USAIDの閉鎖を称賛するメドベージェフ

USAIDの閉鎖で、ロシアはウクライナとの戦争が有利になり、低開発国におけるアメリカのプレゼンスが確実に低下しますから、ロシアが歓迎するのは当然です。

ニューズウィークでは「トランプ・ジュニア氏とイーロン・マスク氏がロシア政府の偽情報ネットワーク「マトリョーシカ」に手玉に取られていた」と書いています。しかし、イーロン・マスクには他にも動機がありました。

USAIDの調査対象になっていたスターリンク

下の画像は、2024年5月14日のUSAID発表ですが、同庁はウクライナに提供されたイーロン・マスクのスターリンク・サービスに関して、部内調査を開始したと述べています。
具体的な内容は不明ですが、USAIDが提供したスターリンク端末が、どのように使用されていたかを精査していたようです。

スターリンクに関するUSAIDの調査

これまで既に報道されていることですが、イーロン・マスクは、ウクライナに提供されたスターリンクの使用を自ら妨害して、ウクライナ軍の攻撃を失敗させています。
明らかにロシアを利する行為ですが、マスクは「スターリンクは無人機攻撃のためにあるのではない」として、ロシア攻撃に使われないようにしたことを自著で語っているとのことです。

スターリンクの使用を妨害したイーロン・マスク

USAIDはアメリカ政府機関として、アメリカの国策に則り、イーロン・マスクに金を払ってスターリンク衛星をウクライナに提供していました。この事業をイーロン・マスクが個人的な動機で妨害することは、いくらスターリンクのオーナーであっても許されることではなく、重大な契約違反あるいは反逆に問われかねない行動です。

イーロン・マスクとトランプは、こうした問題が追及されないように、USAIDを攻撃していることが疑われます。もちろん、トランプの当選に大きく貢献したとされるロシア政府も、同じ考えでしょう。つまり、少なくとも本件については、トランプやマスクがロシアの手玉に取られているのではなく、仲間同士だというわけです。

ぶっちゃけた話、ロシアがトランプを当選させて、アメリカを滅茶苦茶にしているのです。

いつものみなさん

さて、ここで日本版Qアノンと化している「ゆうこく連合」原口さんたちの反応を見て見ます。

原口さんは、マスクに「USAIDによる日本への資金提供」について、情報を求めているそうです。

原口一博さんのツイート

原口さんたちによると、USAIDは「ディープステート」の手先であり、USAIDによって日本のメディアや政府機関が操られてきたのではないか、ということのようです。

完全に陰謀論なのですが、トランプ大統領やイーロン・マスクの撒き散らす無根拠なデマも、彼らにとっては「隠されてきた真実」なのです。
完全にカルト宗教なので、立憲民主党も手を打たないといけないのではないでしょうか。

いいなと思ったら応援しよう!

ブースカちゃん よろしければご支援をいただけると助かります。