【ボスキャリ・夏採用】不動産デベロッパー選考対策(三菱地所、三井不動産、住友不動産、森ビル、野村不動産)
不動産デベロッパーは総合商社を抜いて、JTC最難関だと思われる。
それは
①1社あたり100名を採用する商社より採用人数が少ない(地所や三井不動産は各々40-50名。ボスキャリだと片手で収まる採用人数。それ以下のデベロッパーは更に少ない)
②カッコイイ仕事ができて高給なイメージから受験者が多い
③不動産開発や社風にぴったり合致する人物を採用する
からである。
特に、③が鬼門である。良い大学に行っているから、優秀だから採用されるわけでもないということだ。総合商社に受かってMMデベロッパーに落ちるという人は存在する。
だから、本記事では不動産開発に向く人、各社の社風に合う人物とは何かについて、かなり文量を割いた。従って、選考対策は、その人物になり切ることに尽きる。
外銀や総合商社の内定者は、弊塾の生徒様であれ、進路相談だけ来られる方であれ、毎年よく見かけるが、不動産デベロッパーの内定者は殆ど目にしたことがない。特に、三菱地所や三井不動産の内定者(それもボスキャリ選考で)は伝説のポケモンレベルではないか。それくらい希少な存在だ。
筆者は不動産デベロッパーの仕事に関心はない。接待で酒を浴びるように飲むだろうし(筆者は酒を一滴も飲まない)、大人数のプロジェクトは物凄い手間のかかる仕事だと思う(個人主義的な仕事が好き)。しかし、都市には大いなる関心がある。
大学進学時に、田舎から東京に出てきた際に、東京のあまりの巨大さに衝撃を受けた。今でも地方から東京に帰ると、驚きを隠せない。先だって、田舎に2週間の長期旅行に出かけたのだが、既に1週目に東京に帰りたくなった。大都市の存在意義、且つ、魅力は、良くも悪くも、人が集まることである。東京が国際都市競争を勝ち抜くには、日本中から、世界中から人を集め続けなければならぬ。
地方創成というが、東京を巨大化させ続けることが日本の生きる道なのではないかとすら思う。東京の一極集中性は、プライメートシティと呼ばれる海外の一極集中都市(ソウル、メキシコシティ、パリ、ロンドン、バンコク、カイロ、ジャカルタ、マニラ)に比べると、まだまだ生ぬるい。
それだけ日本の地方都市は大きい。海外歴が長い人であれば、日本の地方都市の多様性を良くわかるであろう。大阪、名古屋、札幌、福岡、京都、神戸、仙台、広島、金沢など(これに準ずる地方都市がまだまだ存在する)、これだけ性質の違うインフラが整った大都市を抱える国はそう多くはない。もはや海外旅行に行かずとも、国内旅行だけで十分なレベルだ。
とはいうものの、地方は観光のポテンシャルは大いに秘めているが、これから大きく発展することはないだろう。静かに衰退するのを待つだけだ。外国人向けのビジネスで食べていくこと(農業含め)が基本戦略になるだろう。
しかし、東京だけは違う。国破れて山河在り、という杜甫の有名な詩があるが、日本破れて東京在り、というのが筆者の意見である。日本と言う国は没落しても、東京は繁栄し続けるだろうし、そうでなければ困るのである。
大英帝国は19世紀を境に、アメリカやドイツと言う”新興国”に負けて、英国病と言う不名誉なレッテルまで貼られて、現在に至るまで衰退し続けた。しかしながら、ロンドンは今でも世界1、2を争う大都市(コスモポリタン)であり続けている。正に、イギリス破れてロンドン在りなのである。イギリスで2番目の都市はマンチェスターであるが、まさに17-18世紀の繊維業が栄えて以降、没落し続けている。そんな古びた都市がイギリス2位なのである。今ではマンチェスターユナイテッドとマンチェスターシティが街の産業なのだろう。それくらいロンドンはイギリス中からヨーロッパ中から英国連邦中から、人・金・物を吸い続けている。
今後の日本は国単位での発展は見込めない以上、都市単位での成長を考えるのが合理的だろう。ではどうすれば、時代の試練を経て、東京はロンドンのように繁栄し続けるのであろうか?
それを考えて実行するのが、不動産デベロッパーの役割なのではないか?だから、本気で入りたい人は、ただのサラリーマンの域を超えるべきであろう。恐らく、ミーハー的な志向で受ける人は簡単に落とされる運命に合う。仕事をするならば、それくらいの使命感を持った方が何かと便利だ。
筆者は都市学については素人であるが、何年かの海外在住経験(アメリカ・アジア)とヨーロッパへの旅行経験を踏まえて思うに、東京の国際都市戦略のモデルは、パリではないかと思う。
現在、世界のグローバルシティ(コスモポリタン)と呼べる都市は、ニューヨーク、ロンドン、東京、パリ、シンガポール、香港だけである。
ニューヨーク
「世界の資本主義の中心」。覇権国家アメリカの経済首都。世界最大の証券取引所(NYSE/NASAQ)。国際連合所在地。世界で最もビリオネアが在住する都市。金融・ファッション・メディアの総本山で、「稼ぐ・挑戦する」エネルギーが圧倒的。英語圏。
ロンドン
「世界の金融首都」。大英帝国の遺産。欧州の経済首都。世界最大の外国為替市場(シェア40%)+English common lawで国際契約の標準。世界で最も外国人が訪れる真のコスモポリタン。世界最大級のハブ空港:ヒースロー空港。演劇やスポーツの首都。ロシア人のオフショア金融センター。英語圏。
東京
「大いなるローカルシティ」。世界最大の経済都市圏。世界で最も大企業の本社が多い都市。NYに次いで富裕層が多い都市。驚異的な地下鉄・鉄道・新幹線網。Livability(生活の質)で世界1位、安全性・清潔さ・交通・食文化が突出。アメリカ外で最初のディズニーランド。バンコクを抜いてアジア最大の観光都市へ?非英語圏。
パリ
「華の都」。世界一の芸術・ファッション・観光・美食都市。欧州大陸側の経済首都。ナポレオン3世の遺産。欧州唯一のディズニーランド。欧州大陸の交通の要所。区画化された美しい街並み。非英語圏。
シンガポール
「アジアのスイス」。イギリスが開発した中継貿易拠点。東南アジアの経済首都(グローバル企業のアジアHQの所在地)。中国語と英語の交錯地点。政治リスクが高まる香港の代替都市。世界2位のコンテナ港。世界最高のハブ空港:チャンギ空港。タックスヘイブン(低い所得税・法人税。キャピタルゲイン税ゼロ)。ウェルスマネジメントのハブ。カジノ(マリーナベイサンズ)とF1。英語圏
香港
「アジアの金融首都」。国際金融機関のアジアHQ。中国のオフショア金融センター。イギリスが開発した中継貿易地点(アヘン戦争後、イギリスが割譲→1997年に中国へ返還)。中国本土への玄関口。深圳・広州・マカオ・香港の珠海デルタ(世界最大の経済圏)。政治リスクで国際都市性が低下中。現地民は北京語ではなく広東語。英語圏
東京がNYになるのは不可能であろう。それは日本がアメリカのような覇権国家にならないといけないからだ。それに英語圏ではないからだ。今後、中国がアメリカを差し置いて覇権国家になったとしても、世界言語は英語から中国語にはならないのではないか?
同様の理由でロンドンにもなれない。理想を言えば、東京はアジアのロンドンになってほしいのだが。やはり、金融業の埋められない壁がある。
香港やシンガポールは大英帝国が開発した中継貿易港としての共通点がある。だから、英語圏と言う強烈な強みを有する。この両都市は似ていると言われるが、実態はかなり違う。それは後背地の違いによる。
香港は中国という巨大な後背地のゲートウェイであり、シンガポールは東南アジアという後背地のゲートウェイである。
ゲートウェイ性が強いのはやはり香港である。中国企業は資金調達をするために香港証券取引所に上場する。中国大陸のM&Aを助言するのも香港在住の金融機関だ。中国がまだ経済的に解放されていなかった時代には、自由港である香港を通じて、世界は中国と貿易を行っていた。最近では、中国と直接貿易ができるようになったので、その自由港的な役割は縮小した。現に、コンテナ港ランキングを見ると、1位上海、3位寧波、4位深圳、5位青島、6位広州、8位天津と中国の港がTOP10を独占している。中国以外の港は、シンガポール、プサン、ドバイくらいだ。香港はTop10圏外に衰退しており、隣接する深圳の後塵を拝している。
現代の香港は、金融と不動産でGDPの殆どが占められる。昔は半導体や電気製品の組み立て工場(日系企業も進出)拠点であったが、そういった製造業も中国本土へ移転してしまった。香港映画も今は見る影もない。香港は今でも世界三大金融センターの一角だが、徐々に中国の一地方都市に近づきつつある。
対するシンガポールは中国と言う巨大な後背地を持たない。だから、都市の規模、国際金融センターとしての重要性は香港に劣る。しかし、物流ハブとしての地位は香港を上回る。先ほどの通り、シンガポールは世界2位のコンテナ港だ。これは別にシンガポールが伝統的な中継貿易拠点(チョークポイントであるマラッカ海峡の要所)だからだ。
東アジアから運ばれるコンテナはシンガポールで一度荷下ろしされて、東南アジア等へ再輸出される。ヨーロッパと東アジアを結ぶ超長距離航路では、船はシンガポールで一度停泊して、船員の休憩や船舶のメンテナンスが行われる。マリーナベイサンズ沖に船が無数に停泊する光景は、シンガポールの中継貿易港性を象徴する。
更に、シンガポールは石油製品の再輸出港でもある。中東などの原油がシンガポールで精製され、東南アジアなどに再輸出される。
貨物ではなく人と言う観点でも、シンガポールは人流拠点である。チャンギ空港はトランジット空港(特にアジアと欧州)として建設された。チャンギ空港は世界最高の空港と評される。
国際金融センターとしての違いだと、香港はオフショア人民元センターである。株式取扱額では香港が圧倒的に大きい。(中国企業が上場するため)M&Aの取扱額も同様だ。
シンガポールは富裕層のウェルスマネジメント拠点としての性質が強い。中国本土の富裕層は良くシンガポールで資産運用するが、最近はマネーロンダリング規制上、厳しくなったようだ。日本で財を成した富裕層もまた節税目的で、香港ではなくシンガポールへ逃避していく。しかしながら、ホールセール業務拠点性(M&A、株式、債券、デリバティブ、為替取引)はまだまだ未開発だ。
そして、シンガポールGDPに占める最大産業は実は製造業である。世界的な製薬、半導体、家電、化学メーカーがシンガポールに工場を置いている。しかし、先ほどの通り、香港の製造業は中国本土に流れた。
非英語圏で英米法に準拠しない、税金が高い日本が香港やシンガポールのような金融センターを目指すのは非現実的だ。やはり、英語圏ではないという制約は大きい。イギリスの植民地にでもなっていたら、今頃東京がアジアの金融センターにでもなっていたのだろうか?
コスモポリタンで非英語圏なのは、偶然にも東京とパリだけなのである。だから、東京がパリの上位互換を目指す意義がある。
東京とパリの異質性は言語だけではない。NY、ロンドン、香港、シンガポールは全て金融業を主体とした国際金融都市(それも全て大英帝国が開発した)であるのに対して、東京は製造業主体であるし、パリはファッションブランド主体の都市である。時価総額でフランスTop3の企業はLVMH(ルイヴィトン)、エルメス、ロレアルである。言わずもがな、日本は自動車だ。
更にパリと東京には、観光都市(ヨーロッパ最大の観光都市はパリ、アジア最大の観光都市は東京かバンコク)、美食都市(世界で最もミシュラン三つ星レストランが存在するのはパリではなく東京)という共通項が存在する。
パリにあって東京にないものは、ナポレオン3世が作った区画された美しい街並み、厳格な建物制限、ハイブランド、フランス植民地・フランス語圏から吸収される人材・利権、芸術、世界的美術館だ。
だが、東京には西洋世界にはないオリエンタリズムが存在する。アニメ、ゲーム、魚主体の食文化、寺院、鉄道システム、清潔さ、街を歩いても殴られない治安、移民が少ないという保守的世界、良くわからない猥雑さ(雑居ビルが東京の魅力だという専門家すらいる)、高層ビルが立ち並ぶ新市街(フランスにラデファンスという高層ビル街があるがたった一区画程度だ)だ。さすがに、ルーブル美術館、ワイン、オペラ座に敵う観光資源はまだないかもしれないが、違うアングルで勝負することは可能だろう。
アジアの新興国から見ても、東京はノスタルジーにあふれた古い町という魅力がある。街並み自体は、上海、シンガポール、ソウルの方がずっと新しく先進的だ。
しかし、年のカルチャーは長い時間をかけて形成されるものだ。都市の魅力は高層ビルだけではない。80年代の映画ブレードランナーの舞台は未来のロサンゼルスであるが、モデルは明らかに東京であろう。そういったサイバーパンク的な都市が外国人から見た東京の魅力なのだと思う。あの雰囲気を醸成するのは、都市開発だけでは不可能だと思う。アジアの新興都市は新しいビルが林立するが、どこか面白みのなさを感じる。
前置きがとても長くなったが、デベロッパー志望者は自分なりの都市観=東京観を持つべきだと思う。東京がグローバルシティ足りえるために、どういう街づくりをすればよいのか、デベロッパーは重大な責務を負っている。同質的な高層ビルばかり立てて、東京の価値を落としているのでないか?という特定のデベロッパーへの批判が最近は存在する。
そういった問いは面接で聞かれてもおかしくはない。というかESで書かされる。都市に不動産に情熱を持つことが内定の近道だ。
本記事では、不動産開発に向く人、各社の社風に合う人物とは何かというテクニカルな面について、かなり文量を割いた。従って、選考対策は、企業研究を入念に行い、各社が求める人物になり切ることに尽きる。そして、自分はそういった人物であるということを証明するためのガクチカを事前に仕込むことである。
三菱地所で自分史を書かされるように、デベロッパーでは一次面接からガクチカの深堀をぐりぐりとされることになる。
総字数16,000字
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