世界は追い込まれてから勝つ。日本は先制しても勝てない――33年間変わらない「最後の数分」の課題
世界は追い込まれてから勝つ。日本は先制しても勝てない――33年間変わらない「最後の数分」の課題
日本代表は、本当に強くなった。
ブラジルを追い詰める。
ドイツやスペインを破る。
海外のビッグクラブで活躍する選手も珍しくなくなった。
ここまで来た日本を、弱いという人はいないだろう。
だが、ワールドカップ決勝トーナメントが進む中で、私はある共通点に気付いた。
世界の強豪国と、日本代表には、決定的な違いがある。
それは技術でも、戦術でもない。
「勝ち方」を知っているかどうか。
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ブラジルは、苦しみながら勝った
日本はブラジルを本気で苦しめた。
先制し、互角以上の内容で試合を進めた。
あと少しで延長戦。
世界最強をそこまで追い詰めたこと自体、日本の成長を証明している。
しかし、ブラジルは慌てなかった。
同点に追いつき、最後の最後で決勝点を奪った。
苦しい試合でも勝つ。
それが5度のワールドカップ優勝国だった。
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イングランドも同じだった
その翌日、イングランドはDRコンゴに先制された。
普通なら焦る展開だ。
だが、イングランドは試合を壊さない。
75分に追いつく。
86分に逆転する。
最後まで「自分たちが勝つ」という前提でプレーを続けた。
劣勢になっても、自分たちのサッカーを捨てない。
これもまた、勝者の国の姿だった。
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ベルギーも同じだった
さらにベルギー。
セネガルに2点をリードされた。
普通なら敗戦を覚悟する展開である。
しかしベルギーは違った。
86分。
89分。
そして延長終了間際。
3点を奪い、試合をひっくり返した。
彼らは、負けそうになってから強い。
これが世界の強豪国である。
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では、日本はどうだったのか
ここで日本代表を振り返ってみる。
1993年、ドーハ。
イラクに2対1。
あと数十秒。
ワールドカップ初出場目前で追いつかれた。
「ドーハの悲劇」。
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2018年、ロストフ。
ベルギーに2対0。
ベスト8目前。
しかし終了間際、わずか14秒のカウンターで逆転負け。
「ロストフの14秒」。
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2022年、クロアチア戦。
日本が先制した。
しかし追いつかれ、PK戦で敗れた。
勝ち切ることはできなかった。
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2026年、ブラジル戦。
また先制した。
また終盤までリードした。
そして、また最後の数分で決勝点を許した。
時代は変わった。
選手も変わった。
監督も変わった。
しかし、最後だけは変わらない。
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共通しているのは「有利になってから負ける」こと
ブラジルは、追い詰められても勝った。
イングランドは、先制されても勝った。
ベルギーは、2点差をつけられても勝った。
日本はどうか。
ドーハ。
ロストフ。
クロアチア。
ブラジル。
どれも、自分たちが有利な時間帯を作りながら、最後に勝利を逃している。
世界は、不利になってから試合を支配する。
日本は、有利になってから試合を手放してしまう。
この差は、偶然ではない。
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ジーコの言葉が、その答えだった
ブラジル戦後、日本サッカーの育ての親・ジーコはこう語った。
「今日は攻めることを手放してしまった。」
さらに、守備では人数が戻っていたにもかかわらず、一人の選手を自由にしてしまったことも指摘した。
人数ではない。
主体性である。
本田圭佑も言う。
「最後は個の力。」
冨安健洋も言う。
「守備でも主体的にプレーしなければ世界とは戦えない。」
日本代表の課題は、33年前から変わっていない。
試合を終わらせる力だ。
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日本は弱いのではない
誤解してはいけない。
日本は確実に強くなった。
ドーハではワールドカップにすら出られなかった。
今はブラジルを追い詰める国になった。
その成長は本物だ。
しかし、世界一を目指すなら、最後に越えなければならない壁がある。
それは技術でも、戦術でもない。
勝ち切る文化。
世界の強豪は、追い込まれても勝つ。
日本は、先制しても勝ち切れない。
この最後の差を埋めたとき、日本代表は初めて「強い国」から「勝つ国」へと進化する。
その日こそ、ドーハから33年間続く、日本サッカー最後の宿題が終わる日になるだろう。
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