【小説】メンズエステのめぐみさん⑪
童貞社会人編は⑩からの続きです。
11話 童貞社会人(2/5)
「それではこちら側を頭に向けて、仰向けになってください。」
渡辺はゆっくりとマットの上に寝転ぶ。
「うぁあ!目の前に鏡があるんですね!あ横にもある!」
言ってからはっと気が付く。
鏡に高さがない分、めぐみの乳房で途切れている。
がん見をしてしまい、思わず顔を伏せる。顔の赤らみを見せたくなかった。
「ん?どうしたの?」
「いえ、なんでもないです。」
「じゃあ、背中から施術していきますね。」
タオル越しに、彼女の手の暖かさが伝わる。
手を押し付けて、離して、また押し付けて。ちょうどいい塩梅で凝っているポイントを突いてくる。
指が体に触れる時の何とも言えぬ暖かさと言ったら、極寒の中の露天風呂に入る時のような快楽だった。
自然とながーい吐息が染み漏れる。
「渡辺さんは、今日はどうしてここに来ることにしたの?」
突然のめぐみの声にはっと我に返る。
「え!あ、実は僕、好きな人がいまして。」
「うんうん。」
「社会人になったのに女性の免疫がなくて、、だからそんな自分を変えたいなって。」
「そうだったんだ。好きな人はどんな人なの?」
「同じ会社の人なんです。とっても優しい先輩で。」
「そっか。その先輩優しい所に惚れたの?」
「はい。それに、凄く美人な人で。僕なんかが釣り合わないのは分かっているんですけど。それでも、それでも、ダメってわかっていてもここで諦めたくないなって。一生後悔するなって。」
「そうなんだね。本気で好きなんだ。」
「はい。ただ、わかっているんですけど勇気ができずデートも誘えてないんです、、、」
「先輩は年は何歳なの?」
「今年、26歳になると思います。僕は今年24歳なので、2歳年上ですね。めぐみさんも確か24歳ですよね?HPに書いてあった気がします。」
「あれねー。ごめん、お店側が更新してなくて。本当は今年26歳なの。」
背中の方から、めぐみのくすっと笑うのがわかる。
「でもなんか嫉妬しちゃうな―。私と同い年の人に思い寄せてるって聞くと。」
そう言うと、脇腹あたりをスーッと擦る。
「ひゃい!!」
思わず大きな声が出てしまった。
「ごめん!大丈夫?こんなに驚くと思わなかった!」
「こっちこそすみません!僕、くすぐりに弱いんです、、!」
「次からは気を付けるね。話戻るけど、渡辺さんって、顔もきれいだし、色白だし、その分小顔でスタイルも悪くないし、なんでそんなに自信がないの?」
渡辺は黙り込む。そして
「あの、、めぐみさん、聞いてもらえますか?僕の話」
勇気を振り絞ってめぐみに伝えた。
「うん。聞かせて?」
12話に続く(7月11日18:00に公開予定です。)
