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「事故物件、浄化いたします。」第9話

☆9☆
 
 裕司は家に帰ると、ダイニングテーブルにスマホを置いた。椅子に座り、スマホを眺める。
(電話したら、でてくれるかな?さくら)
 3ヶ月前から別居している妻を思い浮かべる。ベルセレナマンションの件で忙しくしていた最中に、たくさんのすれ違いがあった。挙句、高校3年生になった娘・みゆが「親の不仲のせいで勉強に集中できない。頼むから、静かに勉強させて」と涙を流しながら頼んできた。そこで夫婦で話し合い、一時的な別居を決めた。お互いが冷静になるための時間が必要だった。

 さくらとみゆが家を出て行き、二人は今、みゆの高校の近くでマンスリーマンションを借りて暮らしている。通学が楽になった分、勉強する時間も増やせただろうか。様子を知りたいという気持ちはあったが、裕司は自分が邪魔になることを恐れ、一度も連絡できないまま今日まできてしまった。
(いつまでも、このままではいけないのは、わかっている)
 真理亜に今日連絡するよう言われたのは、隠しても隠しきれないほど、自分の心の声が溢れていたのかもしれない。今電話をしなければ、もう二度と三人家族で暮らすことはできないという予感もあった。今、自分から連絡しなければ、いつか向こうから連絡が来たときには、もう手遅れだという、確信に似た何か。
(良いきっかけを、貰えたと思おう)
 裕司は、妻の番号を表示して、力を込めてスマホの通話ボタンを押した。

第 10話へ続く:https://note.com/brainy_clover264/n/nc01a5367567b
 

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