[書評] 【推しの子】
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。
アニメ主題歌と共に
一大ブームを巻き起こした
【推しの子】が ついに完結した。
…というのは1か月前の話だが、
単行本で読んでいる私の感覚では
まさしく つい先日のことだった。
(最終巻が12/18発売)
話題からは
だいぶ遅れて読み始めたのだが、
予想以上に楽しませてもらった。
それは文字どおり
「物語として」の楽しさでもあるが、
同時に私にとっては
多くのインスピレーションを
与えてくれた作品でもある。
「アイドル」を聴いて
そもそも私が作品に
興味を持ったきっかけは、
アニメ第1期の主題歌
「アイドル」だった。
あまりの人気に、
テレビを点ければ
毎朝 流している情報番組でも
何度となく話題に取り上げられていた。
十代の頃であればまだしも、
今となっては すっかり流行歌には
関心がなくなってしまったが、
この曲に関してだけは
何度も耳にしているうちに
そのキャッチーな歌の
虜になってしまった。
聞けばこの曲も
YOASOBI の例に漏れず、
原作をオマージュして
作られているらしい。
あまりに曲に惹かれたために
「原作」を読んでみたくなったのだった。
第1巻を読み終えた時の感動は、
今でも覚えている。
まさしくこの作品のために
作られたような歌詞。
それまで「ただの楽曲」として
好きだったものが、
原作とリンクしていることを知って
「【推しの子】という作品」
としての愛に変わった瞬間だった。
その第1巻の発売から約4年半、
楽曲「アイドル」の発表から1年半以上。
ようやく ここで完結を迎えたわけだが、
顛末を知った今 改めて
アイドルを聴いて思う。
この曲は間違いなく
【推しの子】のための曲だった。
物語が進んでいくにつれて、
当初は想像すらしなかった
展開になる作品も多い。
そんな中で今 読んで聴いても
こう思えるのだから、
これは何より原作が
1本の芯を貫き通した証であろう。
一文字で表すなら
話は少々変わるが、
この12月といえば
毎年恒例の「今年の漢字」。
今年はパリ五輪があったし、
政治とカネの問題も
あったしということで、
2024年を表す漢字は
「金」だった。
誰が楽しみにしているのか
分からないが、
全く持ってつまらない。
五輪の年は大概メダルに
こじつけられるし、
政治とカネの話など
憲政史上なかったことがあるのだろうか。
閑話休題、同じように
この【推しの子】という作品を
一文字で表すとすれば、
おそらく多くの読者は
「嘘」と答えるのではなかろうか。
先ほど自分が言っていたことが
ブーメランの如く
返ってくるようだが、
何の捻りもなくて申し訳なくなる。
作中ですら何度も強調されてきたから、
ことさらに理由を述べる必要もないだろう。
【推しの子】は最初から最後まで
「嘘」の話だったのだ。
何から何まで嘘
アイドルを中心とした
芸能界が舞台となっていて、
そこがいかに
嘘と虚飾にまみれた世界であるかが
残酷に描かれている。
我々 市井の人間が
TV越しに見る華やかな裏には、
とても想像もできないような世界が
広がっているのだろう。
アイドルは偶像であり、
その実態は我々と同じ人間。
だから偶像であり続けるためには
「嘘」を吐く。
見る側も「嘘」である
可能性を知りつつも、
その嘘を「真実」だと思って応援する。
この作品を読めば読むほど、
芸能界の闇と汚さを
思い知ることになる。
…と、私は思わなかった。
昔は芸能界といえば、現代以上に
特別な世界だったかもしれない。
だが、現代はSNS全盛の時代。
容姿端麗な美男美女や
軽妙なトークを売りにする
タレントでなくとも、
手元のスマホやパソコンを通じて
世界に向けて発信ができる時代。
ひと度ウケれば、TVどころか
世界中の注目すら集められる世界。
そこは果たして、
芸能界を見下せるほど
「嘘」のない世界なのだろうか。
否、そんなわけはない。
世界中がSNSでつながって、
個人の噓が世界中に広がっていく。
もはや世界中に
「嘘」のない場所なんて、
どこにも存在なんかしない。
現代だから SNS にばかり目が行くが、
対面の相手ですら
その言葉の真偽は測りきれない。
なにしろ人は自分自身にすら嘘をつく。
マクロに見てもミクロに見ても、
世界は「嘘」で溢れているのだ。
嘘は愛
さりとて嘘で溢れた世界の中にも
真実は確かに存在するわけで、
だからこそ その言葉が
嘘か本当か知り得ない。
全てが「嘘」ならば、
どれだけ簡単なことだろう。
嘘というものを考えたときに、
改めて思った。
自分にとって都合の悪いことを
「嘘ではないか」と疑うのならば、
なぜ都合の良いことは疑わないのだろう。
自分にとって都合の良いことを
「嘘ではないか」と疑うのならば、
なぜ都合の悪いことは疑わないのだろう。
私たちは日々、嘘の中で生きている。
きっと私もあなたも、
大なり小なり嘘をついて生きている。
私たちが生きる上で、
嘘と触れずに過ごすことはできない。
だからこそ、
嘘との向き合い方が大切になる。
嘘は愛だ。
愛があるからこそ嘘をつき、
愛がなければ嘘はつけない。
相手を傷つけたくないから嘘をつく。
自分が傷つきたくないから嘘を信じる。
自分を守りたいから嘘をつく。
相手を追い詰めたくないから嘘を信じる。
嘘があるから私たちは救われる。
嘘があるから私たちは生きていける。
でも嘘だけで人は出来ていない。
私は今日「嘘」というものについて、
人生で一番考えたかもしれない。
こんな人にオススメ!
・芸能界の裏側を覗いてみたい人
・「嘘」というものを考えたい人
・ミステリーやサスペンス要素が好きな人
こんな人には合わないかも…
・コメディ色が苦手な人
・「推し」という言葉が苦手な人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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