[書評] 予想どおりに不合理
みなさん、こんにちは。Naseka です。
私は 哲学者・書評家・エッセイスト として、
自らを定義しています。
学生時分ならともかく
大人が何か新しい学問に
手を出そうとするときというのは、
大抵は 何かしらの動機が
あるものである。
心理学を学んでみようとしたのは
当時 推理マンガにハマっていたので
心理トリックの理解に
つながればと思ったからだし
(期待は外れたが 大いに楽しめた)、
行動経済学に興味を示したのは
当時 趣味としていた株式投資に
何かしら活きるのではないかと
考えたからだ。
この本を「今週読んだ」のは
再読になるのだが、
今の私の悩みに対するヒントが
大いに散りばめられているように
感じられた。
合理的だからこそ分からない
自分で言うのもなんだが
私は世間一般の水準と比べれば
(記憶力には自信がないものの)
論理的で合理的な部類である
(と思っている)。
元々は現代文と歴史を愛する
文系人間だったものの
長らく理系畑で
(工学部生で技術職へ)
生きてきたからか、
第一感は大事にしながらも
基本的には理屈で物事を考える。
そして自分にとって
十分信じるに足る理屈
… たとえば科学法則であったり、
数学的に一意的に
解が定まるものだったり
… が根拠となる事象については、
当然 周囲もそれを考慮して
行動するものだと思ってしまう。
ところが日々を生きていると、
どうにもその "理屈" に合わない
判断をしているとしか思えない人を
これでもかと見かけるわけだ。
私には彼らが どうにも理解できない。
だが その不合理な行動が
彼らの知的水準の低さに
起因しているのかというと、
(そういう人が
ゼロとは言わないにせよ)
どうも そうでもないらしい。
行動経済学という学問
とにかく理屈で考える
習慣のついた私は、
"経済" についても
その理屈を追求したくなった。
理由は単純、お金目当てである。
私が資産家の下に生を受けていたら、
きっとこんな気は
起こさなかっただろう。
「これ」という真理が
既に世の中に出ているのなら、
資産運用など
皆 これほど悩むことはない。
まぁ市井の人々は
そこまで勉強することはないにしろ、
資産運用を仕事とするプロならば
修めて当然であるだろうし、
それが真理であるならば
百戦百勝の投資信託が
あって然るべき。
つまり そうでない運用を
している者は 経済学を
理解していない愚か者であり、
ましてや仕事で
人様から資産を預かり
減らしている者などプロ失格。
今すぐ職を辞するか廃業すべきである。
…などと粋がっていた時期があるのは、
私の若気の至りである。
そんな真理など、
少なくとも今はまだ
(仮に存在するとしても)
明らかになっていないわけで、
だからこそ資産運用だって
政府の経済対策だって
当たり外れが多いのである。
私など足元にも及ばないような
英知を持った世界中の経済学者が
(たぶん)日々頭を悩ませても
解き明かすことのできないのが、この
(あるのかないのかも分からない)
真理なのだろう。
今は だいぶ大人になったから
こう考えられるようになったが、
この本を初めて読んだのは
ちょうどこのあたりの価値観が
変わりつつあった頃だった気がする。
実験で分かる不合理さ
最近は(この本を読んだせいか)
昔よりも
「行動経済学」という言葉を
目や耳にする頻度が
増えたような気がする。
それを題材に扱った書籍も
多数出版されているし、
結論的な部分だけなら
しばしばネット記事などでも
見かけることもある。
この本のユニークなところは、
それぞれの知見に対して
エビデンスとなる実験や
そこまでに至った背景なども
記されている点にある。
これは私の記憶力が悪いせいでは
ないと思いたいのだが、
「〇〇は△△である」と
法則だけを示されても、
よほど印象にでも残らない限り
すぐに忘却の彼方へ
飛んでいくことが多い。
その点、この本のように
どういう疑問がきっかけで
どういった仮説の下で
どのような実験を行って
どのような結果が示されたのかを
知る流れは、さながら
ひとつの物語を
読んでいるようなものだ。
結論の羅列よりも
遥かに頭に残りやすい。
「合理的であるはずならば…」
という前提で立てた仮定が、
実験によって見事に覆される様は
普段 科学に関心がない人でも
楽しめることだろう。
とりわけ購入心理にかかわる
実験と考察は、
今 私が絶賛 苦悩中の
note 運営(収益化)にも
通ずるヒントが得られたように思う。
(何でも読み返してみるものだなぁ)
一番影響を受けたこと
そうそう、この本を読んでいて
とても印象に残ったことが
もうひとつあった。
(記憶にある限りでは おそらく)
この本が最初で、それ以降にも
似たような本と出合ってきたのだが、
アメリカ人の書いた本というのは
(和訳書でしか読んだことがないが)
なぜかこういう(かっこ書きによる)
ユーモアが ふんだんに
織り交ぜられている。
(私の文章がユーモラスかは分からぬが)
私は変わった文体や言い回しを見ると
すぐに真似してみたくなる
性分であるから、
(読む前から たまに使ってはいたが)
おそらく 一番影響が
表れた部分かもしれない。
実際の資産運用には
活かせた実感が皆無であったが、
読んでいて楽しく
収穫の多い1冊だったのは
(たぶん)間違いない。
こんな人にオススメ!
・行動経済学に興味がある人
・「人間は合理的な生き物だ」と
信じて疑わない人
・「なぜ人は こうも不合理なのだろう」と
疑問を抱えている人
・行動経済学を
ユーモアを交えて学びたい人
こんな人には合わないかも…
・この書評の文体(特にかっこ書き)が
生理的に受け付けない人
お読みいただき、
ありがとうございました。
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個人が愚かであれば、個人が上手くいかぬだけ。だが リーダーが愚かであれば、チーム全体が上手く機能しなくなる。たとえ どれだけ良質なメンバーを揃えようとも、だ。だからこそ リーダーたる者は、常に研鑽を怠るべきではないのだ。優秀な彼らを 無能な集団に変えてしまわないために。
— Naseka@令和の哲学者 (@philosopher_018) January 15, 2025
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