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[書評] あぶない法哲学

学生時代、
「コードギアス」というアニメに
友人とものすごくハマっていた。

全体的にワクワクや
涙なくして見られない場面が
てんこ盛りなのだが、
その中でも登場人物のひとり
"枢木スザク" の生き方に共感していた。

「悪法も また法なり」とは
ソクラテスの言葉とされるが、
まさにスザクの生き方も
それに通ずる愚直さだった。

その当時では既に正義のヒーローへの
憧れなんてものはなくなっていたけれど、
「ルール」という自らが尊ぶものに
殉ずる生き方には正直憧れた。

あれから10年以上も経った今では
法を変えるなり
(本来の意味での)確信犯的な
振る舞いをするなり、
もっと違う生き方も
あったのではないかと思うが。

法治国家とされる日本で
生まれ育った私にとって、
「ルールを守る」ということには
割と抵抗がない。

ただ、そこに
「何が何でも」とか「絶対に」と
言われると さすがに疑問符がついてくる。

当たり前のように存在し過ぎていて
普段は大して意識することもない
ルール や 法。

これについて様々な角度から
問題提起をしてくれるのが、
今回 紹介する本である。


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モノづくりの世界の中で

コードギアスに
ドハマりしていたのも今は昔。
大学を卒業した後、
私はエンジニアとして
製造業の会社員となった。

職場はいわゆる工場で、
モノづくりをしている機械設備の
メンテナンスや設計などをしている。

現代の工業的なモノづくりというのは、
とにもかくにも
「標準化」というものが尊ばれる。

いつ誰が作っても
同じ品質になるように、
原材料から作業手順まで
事細かく標準化を求められる。

要は作業をマニュアル化したり、
こういうときは こうしろという
"ルール" を決めていくわけだ。

あなたがウキウキして購入した
新しいスマホが
「新人が作ったので品質不良でした」
と言われたら、
「それじゃ仕方ないよね」
とはならないだろう。

たとえ新人だろうがアルバイトだろうが
同じ品質で製品を作り、
万が一 不備があれば出荷前に
流出を食い止められるようにするためにも
ルールや標準化が貢献しているわけである。

家畜と共に働く

ところが これも
良し悪しのところがあって、
ルールやマニュアルに従ってやれば
評価される仕組みになっているために、
人間というものは
次第に考えなくなっていく。

もちろんプロ意識の高い人は
その限りではないのだが、
淡々と仕事をして終業時間が来るのを
待つようなタイプの人は まぁ考えない。

それはそうだ、言われたことを
やればいいのだから。

客観的に見れば
「こうした方が もっと楽になるのでは?」
「こう改善した方が効率がいいよね?」
と思うことでも、
それの手順を変えようとは思わない。

私の仕事が そういう現場の作業を
改善することを求められる職場と
いうこともあるから余計にだろうが、
率直に言って 私は彼らのことを
家畜のようにしか思えない。

まさに羊飼いの指示に従って
ただただ移動する羊と変わらない。

私自身がとりわけ
思考することを尊ぶ性質だから、
余計に思考停止している人を見ると
もどかしくなってしまうのかもしれない。

思考停止は悪だ

そもそも ルールとは
自然発生的に生じるものではなく、
人間が必要を感じて作るものである。

つまりは必要となる理由があって、
ルールを守ることによって達成する
目的があるわけだ。

製造業の場合であれば、
「属人化せず一定の品質・コストで
 効率よくモノづくりするため」
といった具合である。

大事なのは 目的を達成することであり、
それを忘れてルールを盲信するのは
仏作って魂入れずというヤツである。

世界中の誰もが仕事に対して
高い意識やモチベーションを
持っているわけじゃないのは分かる。

それでもなお、敢えて言おう。
「思考停止は悪である」と。

「与えられたルールを守っているだけ」
「ルールに従っているのに何が悪いのか」

考えることをやめた家畜たちは、
そう反論するかもしれない。

では
「人を殺すのが仕事だ」
と言われたら、
「命令に従うのがルールだ」
と言われたら、
あなたは躊躇なく人を殺めるのか。

「何を飛躍した話を…」と思うなかれ。

たかだか数十年前に、まさしく
「私は命令に従っただけ」
という意識の下に 大勢の命を
奪った人間が実在したのだ。
アドルフ・アイヒマンについて調べるといい)

一度は考えてみてほしい

「悪法も また法なり」

その言葉は間違っていないだろう。

だが その言葉に甘えて
より良い法のあり方について
考えようとしないことは、
はたして正しいのだろうか。

日頃から もどかしさを抱える私ほど
憤ることはないかもしれないが、
むしろ日頃 法や
ルールというものに対して
考えることがない人にこそ
読んでもらいたい。

NARUTO や ヒロアカ などの
マンガを例に挙げた話題も出てくる、
テーマの割に親しみやすい1冊である。

こんな人にオススメ!

・法律やルールというものについて
 特別考えたことがない人
・「法律やルールって何のためにあるの?」
 と疑問に思っている人
・「法律やルールは守って当然」
 と信じている人

こんな人には合わないかも…

・自分の頭で考えることが嫌いな人


お読みいただき、
ありがとうございました。


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