一反木綿【妖怪図鑑〔7〕】
日本の妖怪である一反木綿(いったんもめん)は、鹿児島県肝属郡高山町(現在の肝付町)に伝わる妖怪です。その名の通り、まるで白い布切れが空を舞っているかのような姿をしています。

一反木綿の特徴
・見た目: 長さ一反(約10.6メートル)、幅一尺(約30センチメートル)ほどの白い木綿の布のような姿をしています。
・行動: 夜の道を歩く人の首に巻き付いたり、顔を覆い窒息させたりするといわれています。空をヒラヒラと音を立てて飛び、人間を襲うとされています。
・性質: 普段は静かに空を漂っていますが、一度襲いかかってきたらなかなか逃れられません。ただし、刃物で切られると血を流して逃げ去るともいわれています。
現代における一反木綿
一反木綿は、水木しげるの漫画『ゲゲゲの鬼太郎』に登場するキャラクターとして特に有名になりました。漫画では、鬼太郎を乗せて空を飛ぶ心強い味方として描かれています。この作品によって、元々の恐ろしい妖怪というイメージから、ユーモラスで愛嬌のあるキャラクターへと変わっていきました。
もともとは人々に恐れられていた妖怪ですが、『ゲゲゲの鬼太郎』のおかげで、今では日本を代表する人気妖怪の一つとして多くの人に親しまれています。

【感想】
鬼太郎をふんわりのせている
アラジンの絨毯みたいなイメージですが、
元々の一反木綿は人を窒息させる
恐ろしい妖怪だそうです。
これは要するに、
死にも至らしめることがあると
言うことです。
民間伝承における一反木綿は以下のような方法で人間を襲うとされています。
•首に巻き付く: 人間の首に巻き付き、締め上げて窒息させる。
• 顔を覆う: 人間の顔面をすっぽりと覆い、呼吸をできなくさせる。
これらの行為は、人間が死に至る可能性が高いものです。そのため、地元では「子供が夜遅くまで遊んでいると、一反木綿が出るぞ」と戒めるために語られたり、一反木綿が出るとされる神社の前を子供たちが競争して走り抜けるという風習があったりしました。
このように、本来の一反木綿は『ゲゲゲの鬼太郎』の愛嬌あるキャラクターとはまったく異なり、人々が夜道を歩く際に実際に恐怖を感じていた、非常に危険な妖怪だったと言えます。
珍しく、場所まで特定された
具体的な妖怪です。
と言うのも、妖怪は大抵、
民間伝承
→江戸時代の木版印刷→水木しげる
と言うプロセスを通りますが、
一反木綿は、
民間伝承→水木しげる
という直通ルートだからです。
オーディションじゃなくて、
スカウトみたいな感じですかね😂
水木しげるが「一反木綿」を知ったきっかけは、鹿児島県出身の教育者・野村伝四(のむら でんし)と、民俗学者である柳田國男(やなぎた くにお)が共著した『大隅肝属郡方言集』という文献です。
水木しげるは、日本各地の民間伝承や民俗学の文献を熱心に収集していました。彼が妖怪を描く上で、古典的な妖怪画集(例えば鳥山石燕の『画図百鬼夜行』)だけでなく、全国各地の郷土資料や民間伝承を調べることが非常に重要でした。その過程で、この『大隅肝属郡方言集』に記されていた、鹿児島県の「一反木綿」の記述に出会ったのです。
水木しげるは鹿児島県に直接的なゆかりがあったわけではありませんが、こうした地道な文献調査によって、世間にはほとんど知られていなかった地方の妖怪を発掘し、自らの作品に取り入れていきました。この姿勢が、ぬりかべや子なき爺といった、一反木綿と同様にローカルな妖怪を国民的なキャラクターに押し上げる原動力となりました。
