【ドラクエ3】光速の勇者、駆ける(RTA挑戦の思い出)
1. 物語から記録へシフト
数十年の時を経て、再び手にしたドラクエ3。
かつてアリアハンの王様にゴールドもらって、旅のはじまりに胸を躍らせてた子供は、いつしか「RTA」という、1分1秒の削りあいを知ることになりました。
「RTA」つまり、「リアル・タイム・アタック」
ゲームのスタートからクリアまで、現実の時間がどれだけ短いかを競う遊び方です。
数週間、あるいは月単位で時間をかけてじっくり遊んだドラクエ。
RTAの走者たちは、わずか数時間で駆け抜けます。
どの武器を買い、どの順番で呪文を覚えるのが最短なのか。
敵との遭遇率やダメージの振れ幅みたいな運の要素を、知識と技術でいかにねじ伏せるか。
1秒のロスも許されない、格ゲーのような精密な操作。
数々の先駆者のレポートを参考にしました。
そこには勝つための論理が詰まっていました。
物語の舞台だったフィールドは最短距離で駆け抜けるためのマス目。
冒険は物語から記録へと変わりました。
2. 毎秒アドレナリン放出
RTAに挑戦してみてまず驚いたのは、その没入感です。
単なる効率プレイではないのです。
1フレームの操作ミス、1回のエンカウントが致命傷になる緊張感。
コントローラーを握る指先は、BGMのテンポとシンクロし、メニューを開く速度やコマンド入力の正確さに全てをかけます。
「毎秒、アドレナリンが出ている」
それは、ドラクエ3という世界の設計図を、自分の指先に写していくような、まさにトランス状態でした。
3. 全ての戦いを勇者のために
その熱狂が最高潮に達するのは、なんといってもラストバトル。
大魔王ゾーマ戦です。
RTAでの作戦は、通常プレイでは考えられないものでした。
主な攻撃手段は「やいばのよろい」による反射ダメージ。
それと「バイキルト」をかけた勇者の攻撃のみ。
勇者はパーティの最後尾に配置して被弾を極限まで抑える。
残りの3人は、全てを捨てて補助と回復に回る。
少年ジャンプの名作「ダイの大冒険」に、
「全ての戦いを勇者のためにせよ」
というセリフがありましたが、まさにその通りでした。
こちらの戦力は適正レベルより遥かに低い。
大魔王の攻撃が全て致命傷となる絶望的な戦力差。
仲間たちが盾となり、霧散していく。
ただ一撃、勇者の「おうじゃのけん」に全てを賭ける。
4. 震える指先と勇者の挑戦
大魔王がその身に纏う闇の衣。
竜の女王から託された「光の玉」でその闇を剥ぎ取った瞬間、流れてくる名曲「勇者の挑戦」。
そのイントロが響いたとき、震えが止まらなくなります。
子供の頃の興奮はそのままに、今度は自分が試されているように感じます。
ターンの終了時に誰が生き残っているかは、もはや運。
けれど、その運を手繰り寄せるために、1秒も惜しんで繋いできたのです。
「仲間3人は勇者の盾となり、勇者は想いを剣に乗せる」
RTAという秒を争う数字の世界で、わたしはこれ以上ないほど純粋な「ドラクエ」をしていました。
5. 記録「6時間」。わたしの伝説
結果。わたしの記録は「6時間」でした。
上の世界の魔王、バラモス戦では敗戦を経験し、
アレフガルドの地では攻略を覚えられず、迷走してしまうことも多々ありました。
大魔王ゾーマ戦は毎ターンが死と隣り合わせ。
結果、世界記録の倍以上の時間がかかりました。
競技者としては平凡以下です。
けれど、タイマーを止めた瞬間に訪れた静寂。
誰かと競うためではなく、自分の中にあるドラクエ3という思い出が塗り替えられた6時間でした。
それはわたしにとって「勇者の挑戦」だったのです
あとがき
【転職・性格について】
※スーパーファミコン版です。
勇者(男) ごうけつ。唯一のアタッカー。
戦士(男) 転職なし。遅くて高HP。賢者の石役。
盗賊(女) →賢者。素早いサポート役。
魔法使い(女) →戦士。バイキルト役。転職でHP確保。
仲間の性格は全てタフガイで統一しました。
