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長時間労働者の誕生要因(文学的な弱さ考③)

長時間労働者が誕生してしまう要因。

①働かないと困る

生活費や将来不安から抜け出せないパターン。
住宅ローンを組んでしまった。
教育費がかかる。
親の介護負担。
老後資金への不安など。

②働かされている

しがらみがある。
上司との。愛する部下達との。
家族経営などで、血縁との。

社会的必要性がある。
エッセンシャルワーカーである。
労働可能人口が少なく、やるしかない。

ブラック企業で、業務がどんどん押し寄せる。
考え無しに受注する。
次の部署が待っているので、さばくしかない。
人員削減後の補充がない。
同調圧力で、自分だけ帰りづらい。

③やりたいから働く

出世したいから働いてしまう。

他に趣味もなく、充実感は仕事にしかないので、働いてしまう。

独身である。
あるいは家に帰りたくない。

「仕事ができる自分」に価値を感じる。
休むと罪悪感がある。

このような要因から、長時間労働者は誕生してしまう。

 ***

では、私、ちゃりほんつりーはどの要因で誕生、成立しているのだろうか。

①については、実は当てはまらない。
たくさん働けば、たくさん給料がもらえる契約にないからである。
たくさん働くのは、いわゆるサービス残業。
葛城みさと「サービス、サービスぅ♪」

②について、当てはまっている。

③について、「仕事ができる自分に価値を見出している」というのが、当てはまっている。

 ***

井上慎平氏の『弱さ考』から考える。

「②働かされている」について、第2章で、世の中に市場原理を持ち込みすぎると、エッセンシャルワーカーの給料は低くなってしまう、と述べられている。(p84)
結果、雇われる人は少なくなっていく。
でも、少ない人数で回さないと、社会が成り立っていかない。
強い義務感、使命感から、働かされる結果になる。
やめるわけにもいかない。

また、「③やりたいから働く」の、「仕事ができる自分に価値を見出している」ことについて。
まず、「仕事ができる」とは、「競争と負債」を運命づけられた会社において、「臨機応変に変化して、際限なく勝ち続けられること」である。(p60)
「仕事ができる人」とは、「成長」が見込めて、「市場価値」が高い個人である。(p78)
「仕事ができる人」であるために、努力している自分、に、価値を見出しているのだろう。では、努力とは何か。「努力とは「癒し」である(p106)」。結局、現実が不安だから、努力という癒やしを求めている。

 ***

岡田斗司夫さんの、サイコパスの人生相談で、一発大金を稼いで会社をやめたが、Fire生活が充実していない、みたいな相談があった。
要は、仕事をしていないと、社会から必要とされていないような気分になる。
やりがいのある、充実した趣味なんてものはなく、結局仕事が一番充実している、というような話だった。

うちの職場でも、実家でも、よくこんなことを言う。
「宝くじが当たったら、すぐやめるのに。」
でも、大金を手にして、仕事をやめて、本当に心が空虚にならないか、と問われると、うーん、となる。

少子高齢化社会になり、60を過ぎてもばりばり働いている方たちが大勢いる。
高齢になっても、バリバリ働き、若い人たちを教育し育てていっており(もちろん老害になんてなっていない)、むしろ活き活きしておられる、という方を見かける。

この方達は、成長、という意味では、そこまで自分を追い込んではいない。
新しいシステムに、最低限ついていくか、あるいは、その部分は若者に肩代わりさせたりしている。
それでも、生身の人間が必要とされる部分は多々あり、こういう方々は必要とされている。

AIは身体を持っていない。
だから、現実世界で働ける、ブルーカラーの需要が高まっている。

最低限健康でいること。
つまり、生き延びること。
そこまで、成長だ、努力だ、と気負わずに、細く、長く続ける、という才能。
そうすれば、案外、未来は明るいかもしれない。

村上春樹『海辺のカフカ』で、ナカタさんという60歳の男性が登場する。
以下は、星野青年が、ナカタさんに対して語っている場面。

「俺は思うんだけど、その中でもいちばん不思議なのは、なんといってもおじさん自身だ。そう、ナカタさんだよ。なぜおじさんが不思議かってえとだね、おじさんは俺という人間を変えちまったからだ。(…)これまでなんということもなくへろっと見てきたものが、違う見え方がするんだよ。それまでちっとも面白いと思わなかった音楽が、なんていうのかね、ずしっと心に沁みるんだ。」

村上春樹『海辺のカフカ』下、P320

宮崎駿のアニメ『天空の城ラピュタ』には、60歳の女性ボス、ドーラが登場する。
彼女は手下達を携え、主人公パズーとシータを助ける。

 ***

成長だ、努力だ、と気負わずに、について。
でも、年をとると、
体力は落ちる。
記憶力は落ちる。
頭痛や腹痛や腰痛や視力やめまいや、いろいろな健康不安が高まってきている。

メンテナンス。
維持。
そんなことについても、この頃考えている。

それは、「社会人の武装の仕方」シリーズに書いたような、「若い人が社会に出ていくときに必要なスキル」、みたいなものではない、新しい「社会人の武装の仕方」だと思う。
上手に老いていくための、社会人の武装の仕方、だ。

読み返したい:
外山滋比古『50代から始める知的生産術』
齋藤孝『50歳からの孤独入門』


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