どこまでネタバレするか(批評について⑤)
前回、「ネタバレしても映画『ルックバック』は面白かった」と書いたが、これは、作品にもよるかもしれない。
一般論として、ネタバレは悪とされている。
「ネタバレ」をいっさいしないために、いっさいの広告をしなかった宮崎駿氏の映画『君たちはどう生きるか』というものもあった。
私にとってはめずらしく、映画館に足を運んで見た映画だ。
これは、予告編すらなかった。
パンフレットもなかった。
ネタバレが一切ない、プレーンな状態で作品に触れることができない現代だから、ネタバレが一切ないとはどういうことかを経験をすることができた。
展開や映画の種類がいっさいわからないから、映画を見ている時に、多少混乱した。
でも、現実よろしく、次に何が起きるか分からない、予定調和ではない作品鑑賞は新鮮で、緊張感があった。
ネタバレした作品ばかりを見ていると、自分が求めるものしか手に入らなくなる。
これって、キュレーションされたニュースサイト、レコメンドリストに似ている。
現実は予想と違うことが多いし、現実は小説より奇なりとはよく言ったものだ。
予定調和ではない世界、そういう世界に慣れなければならない。
『ミスト』という映画がある。
スティーブン・キング原作だが、映画は原作と大きく違い、驚くべき体験をさせてくれた。
ホラー映画なので、苦手な人には薦めないが、この映画を見る時は、ネタバレしていたら、面白さは半減するだろう。
上記した、予定調和ではない世界、一寸先は闇という、そういう世界を思い出させてくれる。
現実世界と同じく、「他者」とは常に、「自分」の予想を裏切るものである。
他者を知る楽しみは、こういうところにもある。
半身社会になって、他者、他人への思いやりと好奇心を持つ、ということについては以前書いた。
『君たちはどう生きるか』は、噛みごたえのある作品だった。
この作品も『ルックバック』と同じく、創作について深く考えさせてくれる良い作品だった。
『君たちはどう生きるか』は、「宣伝しない」ということが逆に「宣伝になった」希有な例だ。
監督も超有名なので、クオリティーはお墨付き、というわけだ。
けれど、ある程度の前情報、予告、つまりネタバレがないと、作品の選別は難しくなる。
可処分時間が限られている現代人や、長時間労働の私たちにとっては、時間のムダは許されないのである。
そんな予告編について、いろいろ紹介してくれているサイトがあって、面白かった。
予告編に騙された…予告詐欺な映画15作品。こんな予告見たら逆に本編が気になってしまう…。
・興行的に成功しやすい”ジャンル”に偽装するか、予告編でミスリードを誘う
・本編には登場しない架空予告
・完全なるネタバレ予告
など、いろいろな予告編が楽しめる。
その他考えを深める:
「ワクワクとネタバレの違い」(論文)
「アンテベラム」 予告編ですべてネタバレ!それってどうなの? ネタバレなしからありへ | MOJIの映画レビュー
映画は「予告編」こそ面白い。 - ほぼ日の塾 発表の広場
おもしろい!

